ウキフカセとは?

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いよいよウキフカセ釣り

この章からは、現在磯上物釣りの主流であるウキフカセ釣りを取り上げていきます。釣場における具体的なテクやヒントを連載していきますので、参考にして下さい。

混同されやすいウキフカセ

最近は釣りの情報化の影響からでしょうか、波止釣り専門の方でもウキフカセという言葉を抵抗なく使われているようです。その殆どが言葉のイメージから、ウキ釣り=ウキフカセという解釈をしていらっしゃるようです。100%間違いという訳でもないのですが、ウキフカセとは仕掛けを指す言葉ではなく、どちらかといえばその特徴ある釣り方を指して云う言葉であり、熾烈なトーナメントで練り上げられてきた釣法です。

ですから、本を見て仕掛けの作り方を覚えたからと云って、ウキフカセをマスターしたことになりません。まして一般的な波止釣りのウキ仕掛けや、昔からある釣法では、ウキフカセの真髄からは遠く離れたものです。ですから私自身、磯ではウキフカセ、波止ではウキ釣りと使い分けています。仕掛け、釣り方共に大きな差異があるからです。今回はこのウキフカセという釣り方を、ある程度定義してみたいと思います。

ウキフカセの背景

非常に明快な落とし込み釣法などと比較すると、ウキフカセ釣りには曖昧な部分が多々あります。磯という特殊なフィールドで発達したテクニックですから、同じような仕掛け、技でも非常にバリエーションが多く、定義がしにくいのです。一本のウキで1日釣りができるような波止の棒ウキ釣法のような明解さがありません。経験を積んだベテランでも、ウキフカセに対する解釈はそれぞれ異なります。まずウキフカセが生まれてきた背景を考えてみましょう。

磯釣りがルーツ

磯で育てられた釣法である。いわゆるトーナメントを席巻した阿波の円すいウキ釣法=阿波釣法が体系化したものとも考えられる。

高度に進化したトーナメント釣法

ミャク釣りのバリエーションであるフカセ釣りとは、似て非なるものである。言葉では近いイメージを受けるが、フカセ釣りが鈎一本という仕掛けで釣る原始的な釣り方であることに比較して、ウキフカセはトーナメントで磨かれてきたシステマチックな釣法である。複雑な地形、刻々と変化する天候、潮流への対応度という点で、素朴なフカセ釣りは今日のウキフカセの敵ではない。

グレ釣りスペシャル

ウキフカセという言葉からも分かるように、仕掛けをふかせる技術がその根底にある。これは潮流に馴染みやすい軽い仕掛け、長いハリスを表している。つまり磯の上物、それもグレ釣りから生まれてきた技術であり、ウキフカセによるチヌ釣りはそのバリエーションと考えてもよい。

ちょっと難しく書いてしまいましたが、お分かりでしょうか。要はウキフカセとは磯でグレを釣るために生まれてきた専門釣法であり、トーナメントを勝ち抜くために磨かれてきた技術といっても過言ではありません。

では、一般的な波止釣りではメリットがないのかと云えば、得失半々といったところでしょうか。おいおい解説しますが、波止と磯では狙う対象魚の違いはもちろんのこと、フィールドも全く違います。そのため求められる技もやや異なるのです。しかしウキフカセは体系的な釣り技術ですから、エッセンスを波止釣りに応用することは可能ですし、自身の釣り技術を向上させるという点では、磯釣り師ならずとも、ウキ釣り師ならばウキフカセを学ぶことに全く問題はありません。

ウキフカセの定義

ウキフカセが、磯でグレを釣るための技であることはお分かりいただけましたね。磯チヌを釣るウキフカセは、バージョンの一つとお考え下さい。では仕掛け面から見たウキフカセの特徴を考えていきましょう。

円すいウキを駆使する

実はここがとても大事なところで、棒ウキではウキフカセの威力が半減します。もちろん棒ウキでもばんばん釣る名手はたくさんいますが、道糸がウキの頭に出る円すいウキの方が、仕掛けの操作性が圧倒的によいのです。道糸が水没する棒ウキではラインメンディングが難しいですし、仕掛けに張りを掛けたときの挙動も、円すいウキほど素直ではないのです。ウキフカセは、円すいウキを使うことが前提といってもいいでしょう。

オキアミコマセを使う

長ハリスを使うことも軽い仕掛けにこだわることも、感度を上げることが目的ではありません。サシエとコマセの同調を狙ったものです。コマセを打たないウキフカセはないのです。ウキフカセはコマセを打つ、それも軽いオキアミ主体のコマセを打つ釣りです。もっと分かりやすく云うと、安価で喰いのよいオキアミコマセが登場して生まれてきたのが、ウキフカセなのです。極めて海水に近い落下速度の遅いコマセと仕掛けをいかに合わせるか、これがウキフカセの真髄です。

この2点に焦点を絞って練り上げてきたのが、ウキフカセの仕掛けと技術です。その結果として感度がいい、よく飛ぶ、潮のりがいいなど、様々な特徴を持つ仕掛けバリエーションが開発されてきました。コマセを大量に使う釣りですから、潮を読む技術、ポイントへ流し込む技術、エサ取りをかわす技術、シチュエーションに応じたコマセ使いも開発されました。またグレに対しては、細ハリス小鈎有効ということから、根ズレに強いライン、レバーブレーキ、結びの技術など、タックルや仕掛け作りも発達してきました。およそ磯にグレという魚がいなければ、これほどこの釣りが研究されることもなかったでしょう。

ウキフカセはとても面白い釣り

潮を読むというとさも名人のように聞こえますが、要はコマセとサシエの関係が海中でどうなっているかを推測すると云うことです。潮が読めるようになれば、釣果は半分約束されたのも同然です。グレは潮を釣れと云います。仕掛けも流し方も、すべて潮を基本に考えるわけです。観察力と洞察力が人一倍求められる面白い釣りです。

さて先ほど、私自身磯ではウキフカセ、波止ではベーシックなウキ釣りと書きました。どこが違うのでしょうか。具体的に波止のスズキと磯のグレを比較してみましょう。スズキは必ずしもエビまきのようなマキエをせずとも、時期になればバンバン釣れる魚です。グレはコマセをしないと99%釣れません。そういう魚なのです。スズキはタナ読みが大事な魚で、仕掛けの工夫はそれほど必要ありません。大ざっぱでもそこそこ釣れてくれます。変に工夫をして、もたついたりすると短い時合いを外すこともあります。

ベテランになるほどメバル釣りが面白いと云い、スズキに興味を示さなくなるのは、そのような魚自身の生態の違いがあります。もちろん流れの違いもあります。変化に乏しい波止では、磯ほど仕掛けバリエーションも必要ありませんし、海の色が変わるほどのエサ取りをかわす技も必要ありません。釣りの組み立て方が全く異なるのですね。

ウキフカセは、磯のグレを釣るためのテクニックですが、好敵手チヌやメバルにも有効なテクニックです。潮を読むというゲーム性の高さがこの釣りの真骨頂です。ぜひあなたも奥の深いこの釣法を学んで下さい。

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