固定ウキ完全フカセが釣れる理由

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釣れる理由は何?

マニア向きの釣り本なら、必ず完全フカセがいいとか、固定ウキの方が遊動ウキより釣れると書いてあります。私自身も確信をもっています。本日は「なぜ固定ウキの方が釣れるのか?」その理由に迫ってみましょう。

固定ウキ+完全フカセはウキ釣りの大基本

ウキ釣りの歴史で最大の発明と言われているのは、遊動仕掛けだと云われています。たしかに固定ウキだと、いくら頑張っても竿の長さ+α程度のウキ下しかとれませんが、遊動ウキなら半ヒロから10ヒロ以上までウキ下は自在です。海面近くの魚から、海底に潜む魚まで狙えるわけです。しかし仕掛けのメカニズムと、釣果は必ずしも結びつかない所が、釣りの面白い所です。

実はシンプルで時代遅れな固定ウキの方が、近代的な遊動ウキよりはるかに合理的なのです。固定ウキのメカニズムを把握し、その利点を駆使してこそ釣果は期待できるというものですし、遊動ウキの使いこなしも一段と冴えたものになるのは間違いありません。

まずは完全フカセのメリットを考えよう

理解しやすいよう2段階で説明しましょう。下の図はオモリ付と完全フカセの仕掛けが馴染むまでを図解したものです。どちらも固定仕掛けです。

図は仕掛けを投げて、ウキ下分手前に引き戻した(=仕掛けを一直線にする)状態を表しています。オモリを付けた仕掛けは真っ先にオモリが馴染んでいきますから、仕掛けが鋭角のVの字状に馴染んでいきます。オモリが落ち着いてから、今度は鈎が馴染んでいきます。落ちる形は一直線ですが、実際はハリスがついているので絡んだような形で馴染んでいきます。

一方完全フカセは、鈎が一番重いので鈎から、ウキを中心に鈎が半円状に馴染んでいきます。形としてはずっと綺麗ですね。この違いが大きいのです。完全フカセのメリットを上げてみましょう。ここでは仮にウキ下を3ヒロとしてみます。

  • 重い仕掛けの方が早く仕掛けが馴染むよう思えるが、実はオモリが早く馴染むだけで、鈎が馴染む速度は、実は完全フカセとほとんど変わらない。単なる錯覚にしかすぎない。
  • 完全フカセは馴染んでいく途中でも、常にウキが支点となり、仕掛けが直線上になっているので、魚が喰ってくればまずアタリが出る。つまりウキ下0から3ヒロまで、落ち込みのアタリが取れる。
  • オモリが付いた仕掛けでは、オモリ先行となり、サシエ先行とならない=つまり落ち込みのアタリを期待することはできない。よしんば喰っても、いわゆる食い上げという状態になり、アタリを見逃しやすい。つまり鈎がタナに馴染むまでは勝負にならないと考えてもよい。
  • またオモリが付いた仕掛けで、人為的な操作を加えない限り、ハリスは最終的に絡んだ形で馴染む。つまりトラブルが出やすいと云うこと。ハリスにワッカ(結び目)がよくできる人は、これが原因といっていい。
  • コマセが流れる姿も想像して欲しい。コマセは必ず仕掛けより早く、しかも上層を流れるので、完全フカセの方がより同調しやすいと云うことは図からも明確。

固定仕掛けと遊動仕掛け

では次に遊動仕掛けと完全フカセ固定仕掛けとの違いを考えてみましょう。

もうおわかりですね。上記の図と同じような形になりますね。やはり完全フカセ固定仕掛けの方が馴染むまでの姿に分があります。トラブルも少ないです。

ちょっと釣り込んだ読者の方ならよくご存じのように、時合いになれば流していて出るアタリよりも、仕掛けが馴染んだ瞬間に出るアタリの方がはるかに多いと云うことに、気がつかれているはずです。いわゆる落ち込みのアタリという奴です。

完全フカセは「軽いから違和感が少なく結果、魚の喰いがいいのだ」という理論もありますが、私自身オモリの有無による喰いの差はないと考えています。それよりもここで検証したように、馴染むまでの姿に優れるというのが私の考えです。

グレ釣りに道糸ハリス直結派が多いのは、仕掛けの結節強度を上げるという狙いもありますが、海中での仕掛けの屈折を嫌う(サルカンがオモリになるため)という意味もあります。図でよくご理解いただけたかと思います。

重要 投入後、ウキをウキ下分(遊動式ならハリス分)引き戻すことを忘れないように!まず仕掛けを一直線にさせてから馴染ませることが、この理論の大前提です。的確なサミングをできる人ならば、引き戻し量は少なくて済みます。←この意味が分からない人は、とりあえずポイントよりかなり沖に投入して、ぐ~んと引き戻すこと。

弱点と応用

固定ウキ完全フカセは、グレ釣りだけの専売特許ではありません。あらゆる魚種を対象にしたウキ釣り全てに通じる技です。波止のチヌ・スズキ・メバルにも応用できますので、ぜひ日常の身近な釣りに取り入れていって下さい。

さて無敵の固定ウキ完全フカセですが、泣き所もあります。固定ウキでは深いタナが釣れないとか、完全フカセでは複雑な潮流に対応しきれないと云う問題点です。では一つずつ解消していきましょう。

固定式でウキ下はどれだけ取れるのか

一般的に固定にした場合、ウキ下は竿より60cm程度は長くバカ(余分な長さ)が取れます。ですから5m30cmの竿ならば、4ヒロ(6m)ぐらいが限界と云うことです。しかし、これは足場が海面よりかなり高い所と考えて下さい。海面に近いテトラや磯際では竿一本の長さが無難です。軟調の竿、釣りに慣れていない人、一人でタモ入れするのが下手な人も、ウキ下を取りすぎないように注意して下さい。穂先を折る一番の原因になります。

通う釣場の水深を知ろう

釣場の水深を正確に把握している人は案外少ないものです。特にチヌ狙いの方なら、チヌは底を釣れと云うぐらいですから、タナ取りをして正確にマスターしておきましょう。地方よりの磯や、テトラが入っているよう所は案外水深がなく、固定で一日中釣れる所は少なくありません。そういう釣場なら、ぜひ固定仕掛けでチャレンジして下さい。固定仕掛けのメリットが100%生かされます。

完全フカセでは、風や潮で仕掛けが馴染まない時もある

ガン玉が必要になりますね。完全フカセの理屈の応用です。完全フカセのよい所はサシエが常に先行して馴染んでいくこと~では同じ姿になるようにガン玉を打ってやればいいのです。G6~G2というような小さなガン玉を分散して打つのが賢いやり方です。日頃B以上の大きいガン玉を打っている人には頼りなく思えるかも知れませんが、G6でも効果は絶大です。大きいガン玉を一発打つというテクもありますが、フカセ釣り初心者は、まず小さなガン玉を分散して打つと云うことを覚えて下さい。

深いウキ下を釣りたい

遊動ウキ仕掛けの出番になります。ここでも完全フカセ固定仕掛けと同じように考えればよいのです。落としオモリより上は無視して考え、オモリより下を完全フカセ固定仕掛けと考えれば理屈は同じことです。ただし仕掛けを投げ込んだだけ、流すだけでは、オモリが針より先行する悪い形になります。そうならないようにデリケートな仕掛け操作が必須となります。このテクニックは文章では表現し切れませんし、またその必要もないでしょう。皆さんへの宿題としておきます。

最後に

実は私自身はあまり固定仕掛けを使いません。たいていの釣場なら、始めから遊動仕掛けです。仕掛け交換が面倒くさいという実に横着な理由です。しかし、これは固定式でかなり長く釣り込んだ経験があり、遊動式でもある程度、仕掛けを操作する自信があるからです。釣りは固定式が理にかなっています。皆さんも、まずは固定ウキ完全フカセをものにしてみて下さい。

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