磯釣り師必携ピトン

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ピトンって何?

磯釣りをする人ならピトンと呼ばれる荷掛け棒、あるいは竿受けは必携。磯釣りでなくとも、鯉釣りやブッコミ釣りなどで使われることもあります。今回はその使い方も含めて、ピトンのご説明をしましょう。

ピトンってなんだろう~

元々は登山用語

波止釣りが主体の釣具屋さんなら、ピトンといっても在庫していないような所が多いでしょうが、大きい釣り具店や釣りといえば磯釣りというような南紀方面の釣具屋さんなら、用途に応じて種々のピトンが用意されています。ピトンとは、本来登山用語で岩の隙間に打ち込んで確保点にする鉄製のくさびのことを云います。ハーケンとも云いますね。カラビナと呼ばれる金具でロープを確保するのを映画でも、見たことがあるでしょう。釣りのピトンも同じように、岩の割れ目に打ち込んで使うのです。

どうしてピトンが必要?

皆さんも投げ釣りで使う三脚はご存じですね。カメラの三脚のような構造で、三つ又状に伸縮式の脚がついています。脚の上には折りたたみ式の竿受けがついており、竿を2~4本程度並べて使います。軽量アルミ製が主流で、投げ釣りでは必需品です。しかし磯では、この便利な三脚も役に立たないのです。理由としては…

  • 足場の悪い磯では、安定して設置することが困難。
  • 上物釣りでは、竿掛けとしての機能よりも、荷掛け、バッカン掛けとして使うことが多く、強度が不足
  • 底物釣りでは、パワーのある魚が掛かることが多いので、固定されてない竿掛けではトラブルの発生が予想されるし、実際に使い勝手もよくない。

ということで、フィールドも用途も異なる投げ用三脚の出番は少ないのです。しかし足場さえ平坦ならば、アブラメなどを狙う磯投げで使われることもありますので、決して三脚が使えないと云うことではありません。また和歌山の田辺方面のようにn岩質が滑らかで割れ目がないような磯では、逆にピトンが使いづらく磯専用の三脚が用いられることもあります。

上物用ピトン

荷掛けとしての用途

グレやチヌで使われるピトンの用途としては、荷掛けとしての用途が一番です。何故荷掛けが必要なのでしょうか。ずばり波に荷物がさらわれないようにするためです。足場が高くて、多少のうねりでも波をかぶらないような磯ならよいのですが、磯によっては干潮時でないと渡れないような磯や、うねりをかぶりやすい地形の磯では、荷物が波にさらわれることもしばしばです。実際海面から5m以上ある高場でも、うねりをかぶりクーラーがさらわれて、回収するのに難儀した経験もあります。

ちゃらんぼ

この荷掛け用の棒は「ちゃらんぼ」などとも呼ばれています。関西では中紀方面の磯(切目崎から田辺方面)はとても足場が低い磯が多いので、たいていの渡船には備え付けられています。業務用ですから重くてごつい鉄棒ですが、このぐらい頑丈な方が、荷物を安心して懸けておけるのです。予めちゃらんぼが備え付けられているのが分かっている場合は、ピトンを持っていく必要はありません。借りればよいのです。このような釣場では、たいてい磯に渡船業者の手で穴が空けられていますので、ちゃらんぼは、そこに差せばすぐに使えます。

使い方は図の通りで簡単です。図からも分かるように流出防止の荷掛けとして使うためには、ある程度の長さが必要です。市販されている軽量かつ長さが90cm程度の物は役に立たないと考えて下さい。タモの柄の荷掛け紐に注意~高級タモの柄に肩掛け用のベルトが付いておらず、短い紐が付いているのはこれが理由ですよ。

バッカン掛け

これも荷掛け棒なのですが、荷掛け専用のピトンが磯の高場に設置されることに反して、自分の釣り座にセットして用います。足元に波をかぶるような低い磯では、バッカンが流されたり、潮をかぶってコマセが使えなくなることがあるからです。ですからバッカンを掛けやすい形態・長さが都合よくなります。

ここがツボ!

市販の上物用ピトンは必ずバッカンを掛けられる設計になっていますが、携帯性を優先するあまり軽量化しすぎて、強度不足の物が多々見られます。大きめのバッカンにコマセを満載すると10kg以上になりますから、ぐらついて頼りないわけです。特に伸縮脚を持ったアルミ製のものの実用性は低いと考えておいて下さい。

使い手に便利なように、小さなサシエ入れが取り付けられるようになっている物や、上物用の小型竿受けがオプションのものもあります。カゴ釣りのように重い竿を使う人には、この竿受けを重宝している人も多いです。なぜか若い人ほど竿受け付きのピトンを好むようです。仕掛け作りがまだ下手なので、竿置きがあると便利なようです。ベテランは何事もシンプルが一番という考えが染みついていますし、竿を持ったまま仕掛を作る人が多いので、竿受けの必要性は低いですね。
※写真は専業メーカー昌栄

底物用ピトン

さて南方宙釣り釣法の九州はとにかく、置き竿主流の関西の底物釣りは、竿受けが必然です。三脚では用を足さないと云うことは、始めに書きましたが、底物釣りは竿を水平近くに構えますので、その点からも穂先が高くなる三脚では都合悪いわけです。底物釣りを含めクエなどの大物釣りでは、置き竿が殆どですから、竿受けの性能が重要視されます。上物釣りではあくまでも用具用品の一つですが、底物釣りでは立派な釣り具です。

底物用のピトンといっても、用途価格によってピンから切りですが、高価な物には思わず見とれてしまうような造りの物も少なくありません。詳細を述べることはこの章ではふさわしくないと思いますので概要のみを解説します。基本的にはパーツは磯に打ち込む棒(ピトン)の部分と、竿掛けの部分を二つに分けられます。底物用は上物用よりはるかに頑丈に作られていますが、チタン使用の軽量品も市販されていますし、携行にかさばらないよう折りたたみできる物が殆どです。また竿先角度の微調整が可能なように工夫されています。専門ショップのオリジナル製品にいいものが多いですね。

興味がある方は、底物釣り専門のページにより詳しく的確な解説があると思いますので、それを参考にして下さい。

その他のピトン

巨鯉釣り

鯉釣りにもピトンは使われます。mクラスの大型を狙うブッコミ釣りでは、ピトンは必需品になります。竿も石鯛竿と変わりません。大型鯉を狙うような釣場は、一般的に砂礫、土、葦などのため、磯用のピトンでは使い勝手が悪いようで、専用品が市販されています。磯釣り用よりはかなり脚高ですし、柔らかい足場でも安定できるようスタビライザーを取り付けるなどの工夫がなされています。コンクリートの護岸目地に打ち込んで使うのならば、一般の底物用が便利でしょう。
※写真は銭屋巨鯉館より引用

アオリイカ釣り

昨今のアオリイカブームに対応して、アオリ用のピトン竿受けも登場してきました。スピニングリール専用ですので、フカセ釣りでも転用できるようになっています。また筏にセットできるよう専用受け座とセットで発売されている商品もあります。筏用の竿受けよりも使いやすさはかなり上でしょう。
※写真は専業メーカー昌栄製

ペグ型ミニピトン

磯釣りをしない人でも、一つ持っておけば役立つグッズをご紹介しましょう。まさに登山用のピトンと同じ形態をしたピトンです。使い方はスカリ(魚入れ)やアジの生かしバケツ、ストリンガーなどのロープを止めておくのに使うのです。波止の場合なら、コンクリートの割れ目地に差し込んで使います。竿を持って行かれないよう、竿ベルトのロープを掛けておく場合も便利です。磯用は丸い物が多いですが、波止で使うなら、平たい形状のペグがいいでしょう。チタン製なら軽量かつお洒落ですね。写真は昌栄製ですが、いろいろな形状の物がありますので、使い勝手のよさそうな物を探して下さい。磯釣り用品がなら大豊富な店ならたいてい置いてあるはずです。テントを固定するペグでも、機能は果たせますが、すぐ錆びるので転用はやめましょう。

選ぶとき・使う時のヒント

予算用途によって異なりますが、基本的にピトンに共通すると思われる買い物と使い方のツボを書いておきましょう。我が家は上物釣りはもちろん、ちゃりこが磯でブッコミ釣りをするので、ピトンは各種6~7つばかり使ってきました。やはり使ってみないと分からないことも多いようで、見た目だけで判断すると失敗します。

アルミ製竿受けはやめた方が無難!

底物用で本体アルミ製のものが安く出回っていますが、お薦めできません。ガタが多いですし、アルミですので海水ですぐ錆びます。ネジ部の造りも悪く、すぐ消耗します。上物用でも、本当はお薦めできません。多少重くともステンレス製、予算があるならチタン製が最高です。

アルミ製三脚はダメ!

穴が開いていなくてもどこでも置いて使える三脚式のバッカン掛けも市販されていました。岩の種類(水成岩)によってはピトンを差し込む割れ目のない磯もありますので、重宝かなと思って一つ購入したのですが、全く強度不足~すぐに壊れました。

高価なハンマーでなくともよい

ピトンを割れ目に差し込み固定するためには、ハンマーが必要です。磯釣り用品には、オールステンレスの小型ハンマーが売られています、一見かっこよくていいのですが、重たくしかも振りにくいという欠点があります。どこの家にでもある木の柄の付いたトンカチで充分です。まず軽いですし、振りやすくしっかり打ち込めます。錆び防止のため、油を少し差しておきましょう。

軽量よりも強度を優先して

使えば分かることですが、軽量性を追求した物はどこかに破綻が来ます。ピトンは結構荒く使われるからです。多少重くともしっかりした物を選んで下さい。長さも同じことで、短すぎるものだと波の高い日には役立たないこともあります。

シンプルなものを

ハンマー不要という便利ピトンを買ったことがありますが、結果ハンマーで打ち込む普通のものの方が使い勝手がはるかによく、軽量という結論が出ました。皆さんもあまり新機能・アイデア機能に飛びつかないように。

割り箸をつかいこなせ

ピトンの直径と、岩の割れ目、あるいは先人がドリルで空けてくれた穴がいつもピタリと合うわけではありません。むしろ合わないことが殆どだと思って下さい。そこでピトンと穴との隙間にくさびを打ち込んで、しっかりピトンを固定するという作業がつきものになります。一般的には高価な鉛製のくさびや、電線のモールカバーなどが使われていますが、ここで管理人のアイデアを一つ!割り箸を使って下さい。木ですからよく馴染みますし、安く~しかも残していっても環境にいいという優れものです。予め少し削って、くさび状にしておくと完璧ですよ。

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