対象魚に合わせて作ってみよう
基本的にどんなマキエでもある程度魚を寄せることはできます。しかし自分のイメージする釣りに合わせて、的確なマキエをつくることができれば釣ったも同然。それだけ釣りに対するハウツーが、身についてきたということですからね。この章では、現在もっとも安価で威力のあるオキアミと、ハイテク集魚材を組合わせたチヌ/グレ用マキエについて解説します。私が普段使うセッティングに近いものですが、比較的オーソドックスなので皆さんの参考になると思います。
集魚材については、具体的にイメージがつかめるようマルキューの製品を例にあげました。他のメーカーやショップオリジナルのものにもいいものはたくさんあります。ご研究下さい。
なぜ集魚材が必要なの
風が強いとオキアミは飛ばん!
集魚効果だけでいえばオキアミだけでも充分~しかし海には風の強い日もあります。オキアミだと風に翻弄されて、沖のポイントまで飛ばすことができません。足下だけで勝負できる釣り場だといいのですが、沖を攻めなくてはいけないときも多々あります。こんな時に集魚材を配合すると、オキアミがまとまり飛ばせるようになります。「○○遠投」と銘打たれた商品は、特によく飛ぶようチューンされたものです。
潮が速いと底までオキアミが届かん!
キアミの比重は水の1よりもやや重いだけで、非常にゆっくり沈みます(条件によりますが1分間に1mちょっと程度)。ですから潮が速いと、底に届くまえに流されてしまいます。集魚材を混ぜ合わせると、沈下速度をコントロールすることができます。つまりタナを調整することができるわけです。底狙いのチヌ釣りには有効です。ただし対象魚や釣り方に合わせた比重の集魚材を選択する必要があります。
濁りや臭い、視覚に訴える集魚力
オカラによる濁り、サナギやニンニクの臭い、白く舞う押し麦など、昔から釣り人は色々なものをマキエに添加することで、集魚力を高めてきました。現在の集魚材はこれらを対象魚ごとにブレンド、手間いらずのマキエづくりを可能にしています。液状で小瓶に入ったものや振りかけタイプのものも出ていますが、要するにスパイスです。使うのならば、オキアミの補助と考えておきましょう。
増量材にもなる
集魚材にもよりますが、オカラやパン粉は非常によく膨らみます。かなり増量しますので、エサ取りの多い季節や長時間の釣りには助かります。
集魚材の見分け方 星の数ほどあるぞ
商品による集魚効果を神経質に考えすぎる必要はありません。集魚材はあくまでもスパイス、あるいはマキエを飛ばしたり、沈めたりするためのつなぎと考えておくと、考えが整理できます。高価なものだとよく釣れるような気もしますが、釣れない日はどんな高価な集魚材を使ってもダメなものです。一二度使って「これは!」と思えばそれでいいでしょう。ある程度自分の釣りのスタイルができてくると、自分の釣りに合った集魚材がどんなものかということが、分かってくるはずです。
とりあえず魚種専用を選ぼう
チヌならチヌ用、グレならグレ用が基本と考えておきましょう。いずれもメーカーがテストして開発している商品なので、まず問題なく使えます。マダイやカレイ用などもあります。他魚狙いならチェックしておきましょう。
チヌ狙いならイカダ用も面白い
チヌ狙いの場合、人によってはイカダ用をチョイスしている人もいます。底狙いに徹したり濁り重視ならば、面白い選択で私も時々やります。元々が掛かり釣り用なので、抜群の比重で必ず底が取れます。最近はそのまま使えるウェットタイプが主流なので、手軽です。若狭などでは、段ボール入りの筏ダンゴをそのままウキ釣りに使う人が多いですね。これも面白い釣り方です。
比重を重視しろ
集魚材にはそれぞれ釣りに合わせて、重い軽いなど比重があります。たいていは袋に書かれていたり「深ダナ○○狙い」など商品名で分かるようになっています。集魚効果の能書きよりこの比重が大事です。タナをピタリと合わせないと魚は釣れません、集魚材にはこのタナを合わせる役目があるのです。袋を持っただけでもある程度、分かります。目安は…
- 持った時、軽くてほわっとした袋は、たいていパン粉など比重の軽いものがベースになっていますので、浅いタナを狙うグレ向きです。上から流し込んで浮かせて釣るチヌ釣りにもいいでしょう。水中ではばらけやすく拡散します。
- ずしりと重くて固い袋は、比重が重く濁りがよく出ます。底狙いのチヌに向いています。比重が重いとよくまとまりよく飛びますから、風の強い日の遠投には強い味方にもなります。水中ではばらけにくいのが特長です。
マキエのブレンド 上から攻めるか下から攻めるか
ブレンドの仕方には人それぞれ理論、好みがあってどれがいいとは一概にいえません。釣り方や技術とのマッチングがあるからです。ここでは参考として笑魚のセッティングの一例を挙げましょう。季節や気分で集魚材を替えたりしていますが、基本としてはこの考え方に基づいています。
黒鯛:底を攻めるスタイル
水深があっても潮が速くなっても確実に底に届くマキエづくりが鍵です。ですから比重の重い集魚材を多めに配合します。チヌは濁りが大好きですので、濁りのよく出る集魚材も混ぜてやります。※分量は約半日分の目安
オキアミ6kg+チヌパワー2袋+オカラダンゴ1袋
重く集魚力のあるチヌパワーをベースに、これも重くて濁りのよく出るオカラダンゴをブレンド。底まで届く比重と遠投性が強みです。昔からあるスタンダードな組み合わせ。
黒鯛:中層部を攻めるスタイル
上から流し込んでいくフカセ釣りスタイルのためのマキエです。
オキアミ6kg+チヌパワースペシャル1袋+チヌパワー遠投1袋
上記よりは比重が軽くバラケ性の強いセッティング。サシエとマキエを併せやすいフカセ釣り用のブレンドです。沖を釣るための遠投用の集魚材も混入しています。
グレ:完全フカセスタイル
浅いタナで釣れるときのセッティングです。ハリスにオモリを打たない仕掛けが中心になりますので、オキアミと同調する比重が重要ね。※分量は約半日分の目安
オキアミ6kg+グレパン1袋+グレパワー1袋
比重の軽いパン粉ベースの集魚材が決め手です。嬉しい増量効果がありますし、エサ取りを上層に集めます。添加スパイスとして、かなり臭いの強いグレパワーも入れています。
グレ:寒の時期のスタイル
水温が下がると魚が浮かなくなりますから、上から深みまで丁寧に探って行かなくてはいけません。上層だけではなく深タナへの対応を考える必要があります。
オキアミ6kg+グレパワースペシャル1袋+フカセグレ遠投1袋
ある程度の拡散性をもち、上下に分厚くマキエの層を作る集魚材を入れ、グレが潜むタナを探ります。風の強い日が多いので、まとまりがよく遠投できる集魚材も用意します。
上記はあくまでも参考です。ブランドそのものにはあまりこだわる必要はなく、自分の好みで使い分けていったらいいでしょう。貴方ならではの優れブレンドを研究して、ぜひ好釣果をものにして下さい。
マキエづくりのコツ
作り方の手順
- 解凍(ないし半解凍)したオキアミをバッカンに入れ、ミキサー(ヘラ)でよくほぐす。必要に応じた集魚材の分量を入れる。
- 少しずつ水を入れミキサーでよく混ぜ合わせる。
- バッカンをとんとんと上下させ、空気を抜いてお終い。
オキアミについて
よく解凍しておくことです。まだ凍って固いものをスコップで刻んでという方法もありますがお勧めできません。凍っているオキアミは半分氷ですから沈まず、潮に流されてしまうからです。解凍済みのオキアミは通常売られていませんから、予約を入れて解凍してもらっておきましょう。取りに行く時間を告げておくと、馴れたお店ならちょうど半解凍の状態にして置いてくれます。これなら鮮度も落ちませんし、釣り場でちょうどいい状態になります(溶けきっても黒変しますからダメです)。
水について
水を入れすぎてはいけません。しっとりとした加減になるよう少しずつ水を加減して混ぜ合わせます。ちょっと少な目ぐらいにしておくといいでしょう。オキアミが完全に溶けると余分な水分が出るからです。
混ぜ合わせ方について
むらがないようにしっかり混ぜ合わせるのが基本です。理由があってわざと混ぜ合わさない人もいますが例外と考えましょう。
雨降り対策
雨が降るとマキエがびしょびしょになり使い物にならなくなります。こうなるのが予測されるときは水分をよく吸うパン粉系統のマキエ(グレパンなど)を使うか、集魚材を半袋程度余分に取っておくのが賢い方法です。途中で追加して水分過多を防ぐわけです。写真のような小袋入りで、不意の雨や風の時に封を切ってマキエに追加する予備タイプの商品も出ています。使い方によっては便利でしょう。
遠投(風)対策
予め遠投したいときは遠投用のマキエを混入しておけばいいのですが、グレのように軽いマキエを使いたいときもあります(遠投用は重い=タナが深くなる)。このようなときは遠投用のマキエのみ別に持っていって、必要に応じて追加すればいいでしょう。遠投用のマキエは風に強いので風対策にもなります。向かい風では軽いマキエでは苦労しますからね。
サシエとの連動
グレ釣りでは夏場ならエサ取り対策で湖産エビ(冷凍したシラサエビ)を使うことがあります。このようなときはマキエにも湖産エビを入れます。1kg程度のブロックのものが売られています。
サシエと同じものをマキエにも入れるのは基本的なセオリーです。チヌなら刺しエサにボイルオキアミやサナギ、コーンを使うことがあるはずです。こんなときは必ず刺しエサと同じものを、マキエにもちょっと多めに入れるようにするとアタリが出やすくなります。
集魚材を使わない場合
集魚材禁止の釣り場や、理由があって集魚材を使わないときのTIPSです。
オキアミについて
LやLLサイズのオキアミでは、マキエの密度が薄くなります。同じ量でも個体の小さいオキアミならばマキエの密度が濃くなり、魚と遭遇する確率が高まるでしょう。できるだけMサイズのオキアミを選びましょう(集魚材と併用する場合でもこのサイズは効果的です)。
遠投について
オキアミだけで飛ばすのは難しいものです。アミエビを混入するとまとまりがよくなり多少飛距離が伸びます。人によってはアジ・サバが居着くといって嫌がる人もいますので、これは好みです。
ボイルオキアミについて
グレ釣りでボイルオキアミをマキエにする場合は、いったん海水に浸してから使うようにしましょう。そのままだと水に浮かびなかなか沈みません。