マキエワークに魚影乱舞

釣りのステッカーとTシャツの音海屋
マキエにもテクニックが必要

いくら高価なマキエを使ったとしても、マキエというぐらいですから、撒き方一つで釣果はずいぶん変ります。船釣りはともかく陸っぱりはマキエを的確にポイントに入れなくては、せっかくのエサがただの飼料になってしまいます。どんぴしゃにポイントに投入したり、狙うタナに届けるためには、それなりの技術を習得しなければいけません。今夜はそんなコツを覚えましょう。

使いやすい道具を用意すること!

どんな道具でも釣ったるわい!と云ってみても、やはり使いにくいものは使いにくいですし、釣りのリズムも悪くなります。素人の人ほど、プロの道具を難しく考えがちです。「難しくて使いこなせない」とか「下手なのに高級品など…」とかです。しかし上級者だからといって高級品志向とは限りません。使い勝手には徹底的にこだわっています。ですから釣りに限らず名人の道具ほど「えぇ?」と思うほど素人臭くて使いやすいのです。面白いですね。

竿より杓がものをいう…

いい竿を手に入れたというより、いい杓を入手他したというぐらいになれば、あなたの道具を選ぶ眼も本物になってきています。そのぐらいマキエの釣りに杓は重要です。数万円の高級な竿に100円の杓では話になりません。980円の竿でも魚は釣れますが、ことマキエ釣りに関してはいい杓でないとボウズというときもあるのです。さていい杓の選び方は別章でも解説していますが、再度杓選びのポイントを列記してみましょう。

  • ベストな長さを
    とりあえず50cmちょっとぐらいの長さを標準に、少し長い目も遠投用に1本用意しておきましょう。
  • 予備を持つ
    遠投用を持っておくと予備になります。うっかり海に落としたり強風で飛ばされたりすることもあります。
  • カップは金属製を
    安いものはプラスチック製がほとんど。赤土や粘りけの強い集魚材(チヌ用)を使ったりすると、カップにマキエがこびりつき飛ばなくなります。高価ですが、ステンレスやチタンなどの金属製の方が、はるかに杓離れがいいです。
  • 固い柄を選ぶ
    ふにゃふにゃの柄はグラスファイバー製です。まず使い物になりません。細身で固めのものはカーボンですからよく飛びます。柔らかめの方がしなりが生かせて飛ばせそうですが、実際はがちがち位の方がよく飛びコントロールにも優れます。
  • 握りやすいものを
    手の大きさに合ってしっくりしっとりくるものなら、何でもいいでしょう。木製なら自分で削ることもできます。飛ばす方向が分かりやすいように、握りに指型が刻まれたものがあります。却って違和感があり使いにくいのでお勧めできません。
  • 大き目のカップを
    小さいカップは手返しが早いベテランのためのものです。慣れないうちは大きめの方が効率がいいでしょう。
  • 価格帯は…
    とりあえず販売価格で2000円以上のものなら間違いないと云えます。上記を参考にじっくり吟味して下さい。

バッカンも大事です…

フタのあるなしやサイズなどを別にして、バッカンに大事なことは型くずれしにくい堅さです。運搬の目的だけなら柔らかい材質でもいいのです。しかし遠投するときは、マキエを杓ですくってからバッカンの縁に押しつけ、マキエを固める必要があります。でないと飛ばしたマキエが空中でバラバラになり、案外飛ばないのです。そのためバッカンの生地は、多少杓のカップで押しつけても凹まないような、腰のしっかりした厚手のものでないと具合が悪いのです。磯釣りグッズを作っているようなメーカー品ならば、最近はEVAという強い材質のものが主流になってきていますので問題は少ないのですが、ショップのバーゲンではへろへろのものが特価で売られています。気をつけて下さい。

水汲みバケツは必需品

マキエに水を入れたりバッカンを洗ったり、マキエの釣りにバケツは欠かせません。用途はそれだけではなく、粘りけの強いチヌのマキエを使うときは、カップにマキエがへばりついてくるために、時々杓を洗ってやらないと使えなくなります。選び方のコツは別章で書いていますので省きますが、これも厚手のしっかりしたものを選んで下さい。ちょっと小さめの方が使い勝手は便利です。

マキエの飛ばし方

足下に入れる場合

竿1本以内(約5m圏内)なら、あまり考える必要はありません。短めの杓でアンダースローでマキエを投入するといいでしょう。釣り場にもよりますが際というのはポイントです。つい沖の方が魚影が濃うように思いがちですが、実際は逆で魚は貴方の足下に潜んでいるのです。すれた釣り場でしたら魚はなかなか出てきませんが、マキエに釣られてついつい…出てくるお魚もいます。足下で釣れる日は大釣りが期待できる日です。コツとしては、足下を攻めると決めたら、徹底して足下それもぎりぎり際にマキエを入れるようにします。この方がマキエが沖に拡散せず集中的に攻めることができますし、サバのような足の速いエサ取りにも強いのです。

ちょい沖を釣る場合

足下がダメなら竿2本程度(約10m圏内)を攻めます。もっとも攻めることの多いケースです。アンダースローでは届かなくなりますから、オーバースローで飛ばします。軽くボールを投げるつもりで、ひょいと飛ばします。大事なことは近い距離の場合は、必ず杓を振り切るようにすることです。そうするとマキエが狙った所を中心にばらけて落下しますので、ポイントを広く攻めることができます。ちょっと経験を積んだ人は、杓を振り切らずダンゴのまま飛ばしていますが、賢い方法ではありません。あくまでもマキエをサシエを合わせることが大事ですから、ある程度広がりを持つようにバラケさせることが肝心です。

沖を釣る場合

約15m以上になってくると遠投の領域になってきます。大体25mぐらいが限度になってくるでしょう。これ以上の遠投は集魚材や道具にも遠投用に工夫を加える必要があります。距離は近くとも強い向かい風だとマキエが飛ばなくなりますので、遠投と同じテクニックが求められます。

遠投用の集魚材を付加したマキエを用意します。杓で適当にマキエをすくったら、バッカンの縁にカップを押しつけマキエをしっかりまとめます。まとめるほど、団子状になりよく飛ぶと思っておいて下さい。飛ばし方は上記とは逆に振り切らないようにします。グリップが自分の肩付近に来たら降るのをやめます。すると反動でマキエがばらけず団子状になったままで飛んでいきます。ストロークが小さいので、始めは上手く飛ばないかも知れませんが、肘と手首のスナップを上手に使うことに馴れると、かなり沖まで飛ばせるようになります。練習してみて下さい。

マキエを入れるタイミング

サシエとマキエを合わせることをいつも考えておいて下さい。マキエに魚が突っ込んできたときに、たまたま鈎の付いたサシエを喰うというようなイメージを持っておきましょう。わざと合わせないという高等テクニックもありますが、それは後日解説しましょう。いまはまずマキエをトレースすることを覚えましょう。

際の場合

波止でも磯でも当ってくる潮(=当り潮)は釣りにくいのです。魚が潮下から食ってくる習慣があるからです。逆に払い出す潮でしたら、マキエを嗅ぎつけ魚が沖からやってくることになりますから、断然釣りやすくなります。ですから釣り座の選定はとても大事です。潮を読む習慣をつけましょう。

マキエを入れるタイミングは波のリズムに合わせるようにします。波が上げてきた時は入れずに待ちます。波が高まり頂点を迎えると次は引き波になります。その波が下げ始めた時を見計らって、マキエを投入します。こうすれば自然にマキエが海中に吸い込まれ、しっかり海中にマキエが効くことになります。逆に上げ波の時に投入すると、サラシ(海面の白い泡)の表面を滑るような形でマキエが沖に運ばれるため、ポイントが拡散しすぎてぼけてしまうのです。

基本的にはウキを入れる前にマキエを

オキアミやアミエビは、鈎の付いたサシエより必ず軽いのです。つまり鈎の方がだいぶん早く沈みます。ですからサシエを入れた後に、ウキを投入してもマキエが海中を流れる帯と、サシエの流れるラインは異なることになります。サシエとマキエを合わさないと魚は食ってくれません。

ところが先にマキエを入れると、当然サシエより潜行していますから、ある程度沈んでいます。つまりタナが合いやすくなるのです。ウキ下を深くとったときは特に重要なテクニックになります。かなり早めに、かつかなり潮上にマキエを投入することが、深みから一匹引きづりだす決め手になります。これを知る知らないとでは、釣果に大差がつくと考えておいてもいいでしょう。

浅いタナはこだわらなくてもいいが…

グレなどは活性が高まると、かなりタナが浅くなると考えていいでしょう。浅いタナの場合は打つタイミングにそれほど神経質になる必要はないので、マキエは後からでもいいでしょう。初心者はウキを見ながら投入する方が楽ですからね。それでも潮が速いときはどうしてもサシエとマキエが流れる速さが違うため、サシエとマキエを完全に合わせることは難しいものです。ですから保険を掛ける意味で、ウキの投入以前に1回、投入後に1回マキエを打つようにします。マキエでサシエをサンドイッチするわけです。こうすることで喰う確率が向上しますし、エサ取り対策にもなります。

遠投は三角形を描いて打つ

遠投する場合はマキエを団子状にして投入します。ですから海中でも拡散しにくくサシエと生き別れになると思っておいていいでしょう。この場合は2.3回続けて投入します。それもウキの回りあるいは潮上に多角形で囲むようにしてポンポンと打つと、マキエがサシエと合いやすくなります。覚えておきたいテクニックの一つです。潮が速いときほどサシエと合いにくくなりますので、三角を大きくとって打ち込む必要があります。状況に応じて打ち足してもいいでしょう。

いつもマキエは潮上から入れる習慣を

タナが浅く魚の活性が非常に高いときは、ウキの頭に直接マキエを投入した方が勝負が早いときがあります。しかし通常は潮上からと思っておいて下さい。ウキには仕掛けやら道糸やら風やらで、いつもかなりのブレーキが掛かっています。つまりウキが流れる速度は、マキエが流れる速度より遅いのです。ですからウキの頭に打つとマキエだけがどんどん先に流れていきます。当然サシエよりマキエが先行して同調しなくなりますから、釣るのが困難になります。つまりブレーキが掛かる分を予測して、マキエを遠くから入れるのです。難しいですね。

潮がよくなると…

一般的には浅いところほど早く流れ、深みほど流れは遅いものです。ですから鈎がウキより先行することはありません。普通に流すとマキエとは必ず別れ別れになります。しかし潮がよくなると底潮が動きます。そうするとサシエが先行して流れ始めます。経験を積むとウキの流れ方で分かるようになります。こういうときはウキの頭にサシエを入れても同調しやすくなります。つまりテクニック不足の初心者でも釣りやすい潮になるわけです。

ウキより手前手前に打つ習慣を

ウキには道糸が引っ張るブレーキが掛かるため、マキエの流れるラインよりもだんだん手前のラインを通るようになります。要するに陸地に近づいてきます。一方マキエはだんだん陸地から遠ざかります。道糸の修正などである程度は軽減できますが、初心者にはちょっと難しいと思います。ですからウキと流れるラインと平行に、手前に1回打っておきます。保険を掛けておくわけです。同調する時間が長くなります。

とりあえず基本的なことを解説しました。応用として複合的な技やエサ取りをかわす技がありますが、また後日解説しましょう。とりあえず、この記事をマスターすると釣果は300%アップするはずです。オキアミだけでなくエビまき釣りにも有効です。エビまき釣りの人は総体技が大ざっぱです。潮を読み、時間差、投入点に気を使って下さい。

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