はるか彼方からのアタリを取る面白さ
魚信(アタリ)は釣り方でそれぞれ異なります。ウキが海へ消し込んでいくウキ釣り、ダイレクトに手に来るミャク釣り、穂先の震えでアタリをとる投げ釣りなど、それぞれに面白さがありますが、100m沖からの魚信は投げ釣りの醍醐味でしょう。投げ釣り基本解説最終回では、実用テクニックを解説します。
三脚をセッティング
まずはしっかり安定させる
投げ釣りに三脚はつきものです。砂浜は脚を砂に突っ込んで固定させることができるのですが、波止では足元がコンクリートですから意外に安定が悪いのです。一見、三脚だけでも十分なように思えますが、風が強い日などは簡単に竿ごと倒れます。またアタリが出たときなどに、焦って三脚につまづき倒すようなこともあります。ですからしっかり安定させておかなければ、何かあったときに泣くことになります。
重しは必需品
三脚の股の所に、重しをぶら下げるためのフックが付いています。波止ではここに水を入れたバケツをぶら下げます。三脚に重量が加わりぐんと安定します。バケツの水は手洗や、臨時の魚入れに使えます。バケツの変わりに、石をビニール袋に入れて代用することもできます。石畳の波止やごろた浜でしたら、手頃な石が落ちています。覚えておくと役立つでしょう。
★HINT 前章でしっかりした三脚が必要と書きました。ちゃちな三脚でしたら、水バケツを釣っただけでも、脚が曲がります。この点からもしっかりしたものを選んでね。
数を出せばいいというものではない
あきれる~
時々、並べなくては損だというように何本も竿を並べて、我が物顔に釣り場を占領している人がいます。確かに確率は上がりそうに思えるでしょうが…釣りはそんなに甘くありません。
ちゃんと竿の面倒を見られるのか…
大体よほど足場がよくて、広いところでないと5本も6本も面倒を見れるものではありません。竿が増えるとピンポイントに投げ込む技術が必要になります。初心者でしたら、まず隣の釣り人とトラブルになります。
エサ取りの多い時期だと、すぐエサが盗られます。エサの交換を煩雑にしなければいけないので、とても落ち着いてアタリを待つ暇などありません。投げ込みぱなしでもいけません。やはり時々は動かして魚の居場所を探したり、居食いをしていないかチェックをすることが重要です。潮の速いところでは仕掛けが流されます。糸ふけがどんどん出ますので、しょっちゅう修正しなければいけません。 もし、ちゃんと釣りをしているのなら、そうたくさんの竿を面倒見れません。
竿を複数出す本当の理由は…
ポイントを知ることにあります。右か、左か、真ん中か、必ずアタリがよく出るところがあります。また沖がいいのか、足元がいいのか、分からないときは飛距離を投げ分けて様子を見るのです。
釣れる場所が分かれば集中攻撃できます。また潮が変われば、食うポイントも変わります。そのようなときも投げ分けてポイントを探すのです。
どんどん手持ちで探れ
ヨブを探す
投げ込んだらゆっくりさびきます=リールを回します。海底が砂浜か砂利か砂泥地かは、慣れてくると手に来る感触で判断できます。さびいていて、根かかりしないが重くなるというところが、ヨブといわれる海底の隆起です。このようなところは魚が居着くポイントです。いったんここでアタリを待ちましょう。アタリが出ないようでしたらまたさびきますが、今度はゆっくり引かずポンと障害物をジャンプさせるようなイメージで竿を操作してから、また仕掛けをじわっとひきます。ヨブの周辺は根(岩)や海草が多く、根かかりしやすいのです。
キスを専門に狙うときは
海底に仕掛けが着かないようなイメージで、少し早めにさびきます。キスは海底よりやや上の層を回遊しているのです。海底をべったり引いてもキスは釣れますが、どうしてもガッチョ(メゴチ)が混じります。
やはりまめな人が釣る
投げ釣りに限らずどんな釣りでもそうですが、まめに釣るということが肝心です。ポイントに一発で仕掛けが入ればいいのですが、なかなかそうはいきません。魚が居なければ居るところへエサを持っていきましょう。
大物狙いの時は安全策を
置き竿をしていて油断していたら、思わぬ大物に竿を持って行かれたというのはよくある話です。砂浜だとまだいいのですが、波止でしたら一発でポチャン!
尻手ロープをつける
席を離れるときは仕掛けを上げていくと安全ですが、面倒くさいですよね。心配性の人は長めの尻手ロープを付けましょう。あまり釣りの邪魔にならないようウレタン製で伸び縮みするようになっています。本来、竿尻の環に取付けるのですが、投げ竿には環はついていません。このように環の付いていない竿のために小さいベルトに環が付いたものが、小物としてどこでも売られています。このベルトを付けてから尻手ロープを取付けてください。
取付ける相手はクーラーがいいでしょう。クーラーにキリで小穴を開け、環になったヒートンをねじ込めば、尻手ロープを取り付けできます。もしこのクーラーごと持って行かれたら、それは大型エイなどの超大物です。魚の方が偉かったということで、あきらめてください。本格的な投げ釣りには、むしろ邪魔になるでしょう。あくまでも、足元に捨て竿でブッコミ仕掛けを出すようなときのtipsです。