エビ箱は優れもの
関西それも姫路地方のマニアが好むクーラー兼用のエサ箱のことです。一般的なぶくぶくのついたエビ生かしクーラーよりも、生きエビを扱うのに便利なもので一部のメバルファンには絶対的に支持されています。
地元の釣具店から制作者にオーダーされているようで、地方の方が入手するのはちょっと苦労すると思います。しかし何とか入手できればこれは優れもの~ハイテク時代のメーカー品でも、なかなかこれに勝つことはできませんぞ。関西のメバルファンならゲットしましょう。
トラッドなエビ箱入門
結構凝った作りです
構造的には2~3段の引き出し式の木箱です。一番上は上部のフタが開閉できるようになっています。ここは氷室になっていて、氷を入れられるようになっています。釣った魚も入れられるよう大きめに作られています。エビ箱によってはトレーが付属したものもあり、ちょっとした小物や仕掛けを収納できるようになっています。氷室の底はすのこになっており、溶けた氷の雫がポタポタ下に流れるように工夫されています。う~ん、凄い!
すぐ下の引き出しにはエビを入れます。上からポタポタ冷たい雫が落ちてきますから、エビの鮮度が保たれるという賢い仕組みです。大抵引き出しの底は金網になっています。雫がまた下の引き出しへ伝わり落ちるようにするためです。
その下の引き出しには予備のエビを入れます。使うエビをブツエビとシラサ、シラサと地エビと分けるような人は、この引き出しを使い分けると簡単に仕分けできます。
使い方のコツ
- 特にありません。しいていえば気温の高い日は氷が早く溶けますからちょっと多めに入れることと、あまり氷を砕きすぎないことです。
- 引き出しの底には不織布かスポンジマット、あるいはガーゼなどを切ったものを敷くことをお勧めします。保水性が保たれるためエビの鮮度維持に役立ちます。
- 木製ですので、手荒に扱うとガタがきやすくなるでしょう。箱底を補強してゴム足でも取り付けるとしっかりしますし、安定性が向上すると思います。
- 構造上水が漏れます。車のトランクに入れるようなときは、バッカンに入れておくなど漏水対策が必要です。
- 汚れて水洗いしたときは、必ず陰干しして下さい。木製ですから直射日光が当るような処で干すと変形する可能性があります。
どこが便利!「エビ箱」
- ブクブクのようなモーターを使いませんから、電池の心配はなし。
- 水を入れたエビブクとクーラーを持つとかなりの荷物ですが、エビ箱なら一つで済みます。木製ですので結構軽量です。
- なんといっても手返しが早いのが利点、エビを取り出すのに網ですくうような必要はないので、エビまき、鈎へのエサ付けも圧倒的に早い。ポイントが近ければ手で掴んでそのままパッと撒けますので、時合いを逃しません。
- 水がないので鮮度が不安と思われるかも知れませんが、問題ありません。むしろ気温の高い時期はエビブクの水温が上昇してエビがすぐダメになりますが、エビ箱でしたら冷水が常にクーリングしていますのでばっちりです。
- 旧態依然の格好ですので、保冷性も心配かも知れません。しかし木というのは最高の断熱材なのです。それに加え濡れた水分が蒸発することで放熱効果もあります。最新のクーラーに引けを取らないのです。
- 強度的にはプラスチック並といいませんが、大抵の釣人がこれに座って釣りをしているところを見るとまず問題はないようです。古くなると塗装がはがれてきます。皆さん、愛用のエビ箱を塗り替えたりして大事に使っています。
- 大きいスズキを釣ったりしたら氷室に入りません。エビを撒くとこの手の魚もよく掛かることがありますから、小型のストリンガーでも用意しておきましょう。大物をぶら下げて帰るのも戦果の誇示です。
さて私自身市販品を買ったことはありませんが、以前に小型のものを自作したことがあります。かなりの出来でした~自慢ね!エビ箱はとても理にかなったものです。関西のメバルファンならばぜひ入手して、その使い勝手を堪能してみて下さい。
現代版エビ箱
市販エビクーラー「ダイワメバル160」
生きエビを入れるポリタンクがセットされ、エビブクを取り付けられるようになったクーラーが釣り具メーカーから市販されていることは、ご存じかと思います。荷物が減りますし、クーラーの保冷しますのでエビの鮮度も保たれます。確かに生きエビを使う釣りには便利ですから、現にお使いの方もいらっしゃるでしょう。私もSIMANOのメバル名人を長らく愛用していましたが、若狭の名勝音海断崖にて転落死させてしまいました。
今回ご紹介させていただくのは、水を入れるポリタンク付ではなく木製の升をクーラー内にセットした珍しいものです。ダイワ製ですが、ダイワのサイトに商品案内が載っていないところを見ると、この手の釣りが盛んな関西のために作られた地域限定販売のもののようです。下は商品を購入した読者のGさんの写真です。
- 木の升が2個入っており爪で内壁に引っかかるようになっている。これにエビを入れるわけ~フムフム。小物入れにも使えるね。
- エビを入れるときは升を水で濡らしてから使うと、エサ持ちがよくなる。
- 写真は二段に重ねた状態。大きい枡の深さは10cmほど、小さい枡は4cmほどで2段に重ねられる。
- 小さい方は小出しに使うエサ、大きい升はストック用。シラサとブツなどに分けても使える。
水がないので心配と思われるかも知れませんが、活きた車エビや伊勢エビが、おがくずに詰められ運送されていることからもお解りのように、魚と違ってエビは水がなくてもすぐ死にません。播州名物のエビ箱も同じ仕組みです。
長 所
- ブクと違って網ですくう必要がなく、手返しが圧倒的に早い。
- 鮮度保持は水よりも温度が大事と思われる。エビブクでも水温が高くなると一発で昇天する。この点たっぷり氷の入るクーラーなら安心、半日程度なら大丈夫。
- 水を使わないので軽い。持ち運びが楽で、水漏れの心配がない。
- エビを入れないときでも、升を取り外すと普通のクーラーとして使える。
短 所
- 溶けた氷の冷水がしたたり落ちる構造になっているエビ箱と比較すると、やはり不利か?不安が残る…
チューンアップ
ということで、鮮度保持に一抹の不安を抱いたGさんは、このエビ升に小改造を施しました。果たして成果は上がったか?以下ほぼ原文のまま。
箱&クーラーの改造写真、使用結果をご報告いたします。
まず大きい木箱の底をくりぬき、100円ショップで見つけた竹ひご製のコースターを付けました(くりぬいた穴の大きさは、コースターとほぼ同一)。いろいろ考えたのですが、水は落ちた方が良いかな…と考え大きな穴を空けました。次の写真では氷入れを付けた状態にしてあります。それほど大きくはないのですが、結構氷は入りました。これを左右に動かして使います。
- 水抜き/升の底にコースター大の穴を開けてから、簀の子を底に取り付けた。
- 氷入れ/ネジを使用して箱にひっかけているが、先が尖っていて危ないので処理予定。
使用感について
8月18日 兵庫突堤16時から19時/1杯購入)
エビの持ちも結構良く、三時間位たっても元気でした。驚いたのは、小さなエビは木箱をよじ登り箱から飛び出すほど元気なのもいたことです。
8月19日 南芦屋浜4時から8時半/2杯購入)
本格的使用はこの時から。 同じ形のタッパー容器(穴が開いていないもの)で作った氷を持っていきました。氷の持ちがとてもよく良かったです。エビの生きについてですが、4時間経って1/5ほど残ってましたが、 残ったエビはほとんど青色吐息状態でした。 原因として考えられるのが…
- 2杯という量だったため、下のエビが窒息状態になった。
- M釣具店で買ったのだが(480円/杯と安く沢山入れてくれる)、ここのエビは持ちが悪いのか?? の両方です。
1の窒息は充分考えられるので、小さい木箱に取り分けることも考えてみようと思います。2は根拠ありませんが、なんとなくそんな気がします。F釣り具店の方が生きが良かった!
使いにくかった点として
- 氷入れの下のエビが取り出しにくい。これは充分想定されたことでしたが…エビには良くありませんが、たまに手で取りやすい方へ移動させたりしました。
- エビまき用に杓ですくう際、エビがすくいにくい。これはブクブクでも言えることなので、仕方ないと思います。ということで、まずまずの使用感でした。小さな木箱も小分け用に使えるよう、工夫して行きたいと思います。
以上Gさんのお便りから
エビの鮮度
難しいところです。いずれにせよエビは肺呼吸ではないので、窒息が原因とは考えにくいと思います。私が自作のエビ箱を使っていた経験からすると、結構時間が経ってもエビは元気なものです。むしろ購入時のエビの鮮度を疑ったほうがいいかも知れません。エビは店によってずいぶん管理が違いますし、仕入先の善し悪しでも違うはずです。いい行きつけの店を持つことです。
また真夏はどうしてもエビの弱りが早いため、ある程度は致し方ありません。直射日光を避けるとか、氷を増やすとかの工夫が必要ですね。ちなみにシラサエビの最適水温は15度前後とされています。かなり低いです。夏場のクーラー内の温度は氷を入れても室温程度ですから、かなり下げる必要があります。