波止ナンバーワンの強引!
近場の波止で腰ダメで強引を味わえるのはまずこいつが筆頭。チヌ、グレの60オーバーは宝くじ並の夢ですが、こいつの80オーバーはかなりの高確率、90オーバーも射程距離です。もちろん昔から料亭御用達の高級魚です。釣ってよし食ってよし、釣り人を喜ばせる大物を仕留める技は?
誰でも一度は夢中になる
魚屋で売り値を見て驚く
スズキという魚は大変おいしい魚です。昔から高級魚としてずいぶん珍重されていたようで、色々な文献にその名が残されています。語源は、身の白さから感じられるすずしさのためとする説があり、目も舌も楽しませるその涼しさは、まさにスズキの面目躍如です。スズキは河と海を往来、一年中釣れます。夏が旬ですが、釣りものの少ない盛夏にスズキを薄く造った「あらい」は釣り人の特権、最高です。
スズキは規則正しく季節的な回遊を繰り返します。三歳前後で成熟する大型魚の産卵は、冬季外海に面した岩礁性の沿岸部で行われ、深みに入って越冬します。春になると再び接岸し、秋になると湾外に移動を始めます。70cmになるのに6年かかると云われています。釣り場にもよりますが、回遊時期を知らなければ大物と出会うことはできません。基本的には春の接岸時期、夏の夜釣り、秋の落ち狙いの釣りになるでしょうが、情報は押さえておきましょう。真冬は湾内に居残るスズキを狙います。
私感・スズキ釣りのツボ
回遊する習性を知る
大体スズキは夕方沖から回ってきて浅場で餌を捕り、朝再び沖へ帰ってゆくという律儀なサラーリーマンのような魚なのです。また近くに大きい河川があれば最高。
この習性につけ込んだ釣りが、大阪湾伝統の朝バネ釣りで、沖へ帰り際の食事時を狙った釣りです。また夏の夜釣りでよく釣れるのもこの習性です。ですから時合いははっきりしています。接岸してくるマズメ時はまず一番チャンスですし、真っ昼間は確率がかなり低くなりますが、釣り場によっては食ってくるところもあるので下調べが大事。
ポイント、潮を読む
フィッシュイーターですから潮に乗って移動しています。やはり潮がよくなると活性が上がります。ですから潮通しのよいところがいいのですが、単純によく流れるだけではダメで小動物が豊かな餌場であることが条件です。また瀬戸内のように干満の潮位差が激しいところでは、むしろ潮止まりが時合いになることもあります。常夜灯周りも餌が多いので狙い目。どちらかといえばポイント優先です。
変化の多いポイントで、かつ潮当りがいいような所がベストでしょう。決まり切ったようにかけあがり、潮だまり、桟橋など同じ所で釣れるのがスズキです。
タナを知る
マキエをするしないでタナはずいぶん変わります。マキエにあわせるのがマキエ釣りのタナ取りのコツですし、マキエをしない場合は遊泳層をつかまなくてはいけません。
スズキの遊泳層は底から1~2ヒロぐらいとされています。つまり水深のある港なら、かなり深いタナを泳いでいることになります。あまり上下動をする魚ではなく、その日、そのポイントのタナをつかむことに釣果はつきます。
ルアーで釣れると云うことは…
磯釣りで何度もオキアミの餌で、外道のハネを釣ったことがあります。オキアミでは釣れないはずなのですが、仕掛を引いたようなとき、つまり餌がアクションしたとき(ルアー効果)に条件反射的に食ってきます。普通に流していても食いません。
学者の観察実験では、セイゴは視覚で餌を認識しており、同じような速度で移動している、あるいは制止している餌は補食しないそうです。フィッシュイーターの面目躍如ですね。すずき釣りには誘いが重要・目に付く大きい餌・よく動く餌というのは真実のようです。
スズキ釣りの道具仕立て
ウキ釣りがよく似合います
竿の選択:スズキは大きいだけに引きそのものには重量感があり強いですが、グレや一部の根魚のようにするどいつっこみを見せる魚ではなく、どちらかといえば取り込みやすい魚です。あせらず時間をかければ案外弱い竿でも取れます。細ハリスでスリルを愉しみたければチヌ竿で充分です。一般的には1号から1.5号ぐらいの腰のしっかりした磯竿がいいでしょう。
ウキは好みですが、チヌやメバルほど繊細さは要求されませんので、細身軽量の物よりは小型で少し重めの自立ウキが扱いやすくていいでしょう。ケミホタルが装着型でしたら、昼夜兼用で使えます。釣り場の水深に合わせてオモリ負荷が変えられるように3Bと1号程度最低2本は揃えてください。
HINT ハリスは1ヒロ程度でいいですが、エビ撒きをする場合は2ヒロ程度と長めに取ったほうが、食いがよくなります。餌はシラサエビ、青虫などの活き餌になります。鈎は餌が弱りにくい「生きエビ専用」か「細地チヌ」の3号ぐらいがお勧め。
関西ではズボ釣りも人気あり
大阪湾の波止風景では、よく短竿を並べて当りを待っているオジサン達を見かけます。スズキは沖よりも、波止際に沿って餌を探しながら回遊しますから、それを待ち受けるという理にかなった釣りなのです。スズキが濃い垂直ケーソンの波止でしたら、とてもよく釣れる釣り方です。
腰のしっかりした筏竿、もしくは短い波止竿を3本程度岸壁に並べますそれぞれはオモリだけの一本鈎というシンプルな仕掛で、置き竿でアタリを待ちます。ツボは竿ごとにタナを変えることです。例えば2,3,4ヒロという具合です。これで回遊するタナを確実に捉えるわけです。
HINT まめにタナを変えることと、際から離さないのがコツ。潮上からマキエを撒くのも有効。一気に穂先を引き込むアタリが多いので、前アタリを見逃さないように集中しなければいけません。
竿の受け座が必要です。専用でドンぴしゃのものがないため、皆さん色々工夫しています。既製品では第一精工のちび三脚がまぁまぁ使えます。尻手ロープは必需品です。これを付けておかないと一発で竿を持って行かれます。
餌は鮮度のいい活き餌で
青イソメ(青虫)、シラサエビがポピュラーです。鮮度が大事で死にかけのような餌だと極端に食いが落ちます。エビ撒き釣りにはシラサエビですが、夜の大物狙いには極太青イソメに実績あり。
釣果を上げる秘訣は?
うき釣り・・・タナがわかりません
- マキエをしていないのならば、手始めに2ヒロぐらいから初めて、アタリが出るまで徐々に深くしていきましょう。鈎が海底に着くまで深くしても、根かかりがなければ問題ありません。底にいれば食ってきます。
- 深く攻められるようウキの仕掛は遊動式にしてください。
うき釣り・・・ポイントがわかりません
- スズキは障害物に着きます。ですからルアーマンのように徹底して、障害物周りを攻めて下さい。
- また回遊の通り道がはっきりしている魚ですから、いかにも魚が通りそうなルートを想定してみるのもいいでしょう。
ズボ釣り・・・アタリは出るが鈎に乗ってこない
- 少し穂先が固すぎるのかも。普段はひったくるようなアタリを見せる魚ですが、水温が低い厳冬期では食い込まないことがあります。柔らかい穂先の竿があれば交換し、ついでにオモリも軽めに変えてみましょう。
- また前アタリが出たときに、チヌ釣りのように穂先を送り込んでやるのも、食わせのテクニックです。
ウキ釣り・・・もぞもぞしたアタリで分かりにくい
- ウキ下を深くとったり、エビ撒きをして釣っている場合、スズキは餌を食ってもチヌやグレのように反転せず、水平方向にウロウロしているので、アタリが明快でないときがあります。そんな時はじわりと竿先で聞いてやって下さい(ウキや仕掛を引くこと)。すぅ~とウキが静かに水中に入るはずです。
ウキ釣り・・・流してもアタリが出ない
- 流し放しではなかなか釣れてくれないはずです。 ルアーではありませんが、餌の演出が必要です。適当にウキにブレーキを掛けながら流してください。ブレーキを掛けるたびに餌が上下に自然と動いて魚にPRしますし、糸を張っているとアタリも明確に出るのです。
ウキ釣り・・・大きいスズキを狙い撃ちしたい
- セイゴやハネは群で居ます。遊泳層も比較的上層で、10匹程度の群が泳いでいるのを肉眼でもよく目にします。しかし80cm級ともなると、単独行動でそういう群の下に密かに潜んでいるようです。
- 笑魚が一発大物を狙うときは、エビ撒きだとセイゴが集まりすぎセイゴが餌取りになりますので、大きい青虫で夜釣りです。ひたすら潮アタリのいいスポットで待ち受けます。
えら洗いでばらしてしまった
- すずきはジャンプして鈎から逃れようとします。えら洗いといってこの時よくばらします。えら洗いを防ぐには竿を立てないようにすることです。竿を水平にするイメージ(体の真横で構える感じ)で、できるだけ横にしてやりとりします。
- それとリールを素早く巻いて糸ふけを出さないことです。道糸にテンションをいつも掛けておくことが肝要。この二つを忘れなければ、まずばらすことはありません。
虫餌が余った、もったいないぁ
- 釣れないとあきらめて帰る前に、あまった虫を鋏で適当な大きさに切って、足元の潮上からパラパラと撒いてください。エビ撒きならぬ虫撒きです。ものすごくよくきくマキエです。魚さえいれば一発で食ってきます!
- 残念ながら初めから撒くと、費用がかかりすぎて現実的でないのが、このマキエの欠点です。
※エビ撒き釣りについては別章で詳しく解説します