エサを段取りするツボ

釣りのステッカーとTシャツの音海屋
エサ選びのポイントなど

さて釣りにはエサがなければ始まりません。エサに関する基本的な知識については、入門講座やTIPS専科に書いてありますので、再度ご参照下さい。ここではもっともポピュラーなオキアミエサの選び方や、管理について注意点を書いておきましょう。

上物釣りではオキアミが主流

グレならオキアミ

現在もっともよく使われている上物釣りの主流エサはオキアミです。安価で喰いがよく、どこでも入手でき、コマセとサシエサが兼用できるなど、万能的な利点を持っています。比重が軽いため、軽い仕掛けで釣るウキフカセにとてもマッチングしたエサですし、逆に言えばひたすら軽さを追求するウキフカセは、このエサの使用を前提に発達してきたと考えてもいいでしょう。グレ釣りでは99%オキアミエサが標準です。

チヌは少し様相が違う

グレと並んで上物界のスターであるチヌの場合、事情は多少異なります。グレと同じエサ使い・同じ釣法で攻める磯釣り師も多いのですが、彼らは時期によってチヌもやるという両刀使いの人達が殆どです。チヌのみ専門的にやるという人達は、必ずしも円すいウキ+軽い仕掛け+オキアミというパターンでない人も多いのです。チヌはグレよりも日本中あらゆる所で生息しており、いわゆる伝統のご当地釣法を引き継いでいる磯釣り師がたくさんいます。エサもその地のチヌの食性、釣法に合わせてさまざまなものが使われています。

始めてやる人ならば…

身近に釣りの先輩がいないのなら、まずはオキアミでエサ使いの基本を学んで下さい。ウキフカセ理論は、比重が軽いオキアミの使用が前提になっています。経験を積むと同時に、各種のエサ使いバリエーションを覚えていくとよいでしょう。ご当地釣法の場合は、メディアに紹介されるケースも少なく情報の入手が困難です。こればかりはその地へ通い、餌屋のご主人や釣り人達からアドバイスを受けるようにして下さい。

集魚材について

あまり神経質に考える必要はないでしょう。オキアミだけの集魚力で充分です。むしろツナギと考えて下さい。海は風が強いので、軽いオキアミではポイントまで届かないことも多々あります。集魚材はバラバラのオキアミをまとめる役目を果たします。エサ取りの多い時期には増量剤としての役目も果たします。注意して欲しいのは比重です。グレなら特に軽めを選ぶのがコツです。わからないうちは、とりあえず袋の表示で判断して下さい。

オキアミを使う量

半日の釣りで6kgが標準

始めて使う人なら、たいていその多さに戸惑うはずです。オキアミの単位は3kgの冷凍の板を一枚と勘定しますから、2枚使う勘定になりますね。これに集魚材を組み合わせますから、かなりの目方になります。市販のバッカン(36~40)にぴったり入れられます。小さな杓で海に撒きますから、かなりの投入回数になります。初心者の方はどうしても手返しが遅いですから、エサを余らせてしまうことも多いですね。

1日の釣り、夏場の釣りでは9~12kgが標準

朝から夕方までの釣りでしたら、6kgでは足りなくなります。3時間で3kgを目安に考えればいいでしょう。また同じ半日でも夏場は異なります。水温が上がる季節は異様にエサ取りが多くなるからです。波止釣りしかしたことのない人ならば、おそらくびっくりするでしょう。マキエを打つと一瞬にして、海の色が変わるくらいの凄いエサ取りも珍しくありません。このエサ取りの厚い層を突破し、狙いの魚の口にエサを届けるためには、どうしても冬場の量の2倍は最低必要となります。ケチればまずボウズと考えておいて下さい。バッカンには全て入りませんので、大きめのクーラーに保存して磯に持ち込みます。

アミエビを使うこともある

地方によっては集魚材の使用が禁止されているところもあります。また人によっては集魚材を嫌う人もいます。その場合、オキアミを遠投させるためのツナギとしてアミエビは有効です。マキエに粘りが出てまとめやすくなります。比重がオキアミ以上に軽いため、フカセ釣りにはよいエサです。磯釣りには波止サビキで使われるレンガと呼ばれる小さなものではなく、オキアミの3kgブロック程度のものが使われます。レンガよりずいぶん割安です。

サイズ・サシエ・色

小さなサイズが使いよい

市販されているオキアミにはM~LLまで3サイズ(Sはまだ見たことがない?)ほどありますが、通常我々が3kgブロックで入手できるのはLサイズでしょう。これでも問題はないのですが、マキエで使うと考えた場合、オキアミのサイズが小さい方が海中でのコマセの密度が高まり、都合がよいのです。そのためグレ釣り師の多い地方の餌屋さんでは、Mサイズのオキアミが売られていることもあります。もしMサイズが入手できるようなら、迷わずMサイズを指定して下さい。

サシエについて

3kgブロックからサシエは取れます。安く上がりますしこれで充分です。特にグレ釣りでは頭も尾も取って小餌にして使うケースが多いので、姿サイズにこだわる必要が少ないのです。ただしチヌ釣りでは大きめのオキアミを一匹掛けしますので、LLサイズのサシエをパックで買う人も多いようです。私自身はエサ取りの多い時期に、締め加工したものを別に持っていくようにしています。

色について

オキアミは捕れる時期によって、白っぽいものと赤っぽいものがあります。一般に白っぽい物の方が、釣り人に人気があるようです。私感では白っぽい物の方が、柔らかくかつ身が詰まった印象がありますね。お店によっては、赤っぽいものをマキエ専用と称して安く販売していることもあります。まぁ選んで入手できるのならば、白がお勧めという程度です。

買い方と管理

磯の近くに住んでいる人ならばよいのですが、都会の人なら車で遠くまで通わなければいけません。オキアミの入手方法・管理についてヒントを書いておきましょう。

予約できない場合

オキアミは冷凍していますので、解凍して使わなければいけません。また遠方の釣り場に出向くことが多いので、たいていはその地のエサ屋さんに予約して購入します。しかし経験不足で予約の要領が分からなかったり、釣り場によっては予約を受け付けてくれないお店もあります。そういうときは購入して携行する必要があります。注意点としては…

  • 余裕をもって解凍しておくこと
    解凍には時間が掛かる。夏場なら室内でも3~4時間、冬場ならその3倍程度は掛かると考えておいてよい。道中で溶ける時間も考慮しつつ、余裕を見ておくこと。携行する場合は、必ず前日の夕方には購入しておく必要があります。
  • 解凍しきれなかったら…
    始めはこのケースが多いでしょう。初心者が解凍しきれないオキアミを無理矢理砕いて使っているケースを、寒い冬場によく見ますが、これは駄目です。解凍しきれていないオキアミは氷と同じですから、コマセとして撒いても沈下せず、遠くへ流されてしまうのです。ポイントがはるか沖になってしまいます。喰いそのものも悪いと考えてもよいでしょう。溶け切れていないと判断できれば、海水に浸けて下さい。冬場の海水は気温より高いので早く溶けます。オキアミを入れて海水に浸けるための専用のロープ付き袋も市販されています。
  • 冬場の徹夜釣行の時は…
    朝の一番船に乗るために前日の深夜から出かけた場合、夜中に未明まで仮眠を車中で取ることになります。現地で解凍していないオキアミしか入手できなかった時は、車のエンジンの下にオキアミを置いて下さい。冬場はエンジンが掛けっぱなしになりますので、多少は早く溶けます。
  • 解凍しすぎたら…
    夏場なら思ったより解凍が進むときがあります。解凍するとオキアミは急速に腐敗が始まります。家で解凍しすぎたと判断した場合は、集魚材と混ぜ合わせて下さい。集魚材には保冷効果がありますし、溶けた水を吸い取りますので好都合です。
  • 加減を覚える
    解凍加減は数回やれば大体覚えます。釣り場で使うときに半解凍からやや溶けるのが進んでいるぐらいが、鮮度も保持できて一番使いよい加減です。余分に持っていく場合は冷凍の状態でクーラーに入れて行きましょう。現場でクーラーから解凍時間を見計らって取り出し、夏なら日陰、冬なら日向において解凍しましょう。
予約できる場合

磯釣りの盛んな地方でしたら、たいてい電話で解凍予約を受け付けてくれるはずです。店の人に伝えることは、氏名・量・取りに行く日時です。お店の人は取りに来る時間に合わせて解凍を始めますので、必ず時刻を伝えるようにしておいて下さい。大体半解凍になっているはずです。馴れたお店ならドンピシャ加減に解凍してくれていますよ。

現場でもたつかないために…

釣り場に立てば、誰しも一刻も早く竿を出したいものです。溶けていないオキアミをこつこつ砕いてマキエ作りなどをやっていたら、朝のゴールデンタイム、マズメの時合いを外してしまいます。ですから予備の分を除いて、マキエを作っていくことをお勧めします。海の状況でマキエのブレンドを現場で変えるという人もいますが、例外でベテランです。もたつくことの多い初心者ほど、マキエは作っていきましょう。

  • 家でやるときは…
    半解凍になった時点で、まずサシエ分をとります。10cm四方ちょっとあれば充分です。その分はクーラーに保管します。のこりを綺麗にバラバラにするように崩し、好みによって集魚材を入れるようにします。きっちりむらのないよう混ぜ合わせて下さい。水を入れてはいけません。重くなりますし、コマセに入れる水は海水がいいのです。現地で最後に入れて下さい。
  • お店でやるときは…
    オキアミの解凍予約をしてくれるような餌屋さんなら、たいてい駐車場の脇などにマキエを作れるスペースを用意しています。セメントを練るようなトロ箱といわれる大きな箱と、スコップがあるはずです。これなら簡単に上手にマキエが作れるはずです。トロ箱で上手く混ぜ合わせたら、スコップですくってバッカンに詰めておしまい。
トラブルに備えよ…

現地では余分に買いすぎても、オキアミは保存できませんから、量に気をつけて下さい。ただしエサをケチってはいけません。グルメな石鯛相手の底物師に比べると随分割安なのですから、必要な分はしっかり買っていきましょう。特に注意して欲しいのは、軽めで水をよく吸う集魚材(パン粉ベースがよい)を1袋、別に用意しておくことです。磯では飛沫や雨でマキエが駄目になることがあります。マキエがびしょびしょになったときに、追加してまとめ加減を調整するのです。例えば私の場合、雨が降りそうだなと予測したら、2袋使う集魚材を1.5袋にとどめ、半袋残しておくという使い方をしています。

遠投用集魚材について

風の強い日やポイントが沖になる釣り場では、マキエを飛ばすために比重の重い遠投用集魚材をよく併用します。たしかに便利なのですが、重い比重の集魚材ほど、タナが深くなるきらいがあります。魚は浅く釣るほど数も出ますし釣りよいのです。ですから始めから混入せず、その日の天候加減を見て入れることもあります。この場合、遠投用集魚材は別に携行することになります。エサについて書くことはまだまだありますが、おいおい釣り方と合わせて解説しましょう。

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