くさいは…恐い!

釣りのステッカーとTシャツの音海屋
面白い本を読んだ

「くさいはうまい」という何やら怪しげなタイトルの付いている本である。人からすすめられて読んだのだけれど、本当に食い物の世界は広いと思った。いわゆるグルメ本の類ではなく、文化人類学の範疇に入る本だと思うが、興味が持てそうな人はぜひ読んで欲しい。話しのいいネタになると思う。今日はこの本から読者が興味を引きそうな部分と、あわせて管理人の恐怖の臭いネタなども紹介しよう。

くさいはうまい

著者は小泉武夫氏、醸造学、発酵学の専門家で東京農業大学の偉い先生だ。最近の私小説家より、よほど格調のある文章を書く先生で、著書は90冊にものぼると云うから半端じゃない。「冒険する舌」が自慢の怪食家で、本業よりそちらが有名らしい。なにしろ石ガメの蒸し焼き、大ネズミの燻製、仔豚の脳みその詰め物、血豆腐、砂トカゲの姿焼きなどを、喰って廻ったと云うから本物の悪食家である。世界中ただで連れて行ってやると云われても、僕なら随行をお断りした人物だ(爆)

本の中身は詳しく書かないけれど、健康あるいはグルメに感心のある人なら結構面白いと思う。ご本業が発酵学の専門家なので、科学でメスを入れた蘊蓄も楽しく読める。我が国固有のカビ食文化分析など豆知識が一杯だ、中でもタイトルの「くさいはうまい」を紹介した章は圧巻である。恐いものを見たい人のために、ちょっとだけ書き出すと…

世界一くさい食品チャンピオン「ホンオ・フェ」

韓国のホンオ・フェとは、ぶつ切りにしたエイを甕の中につけ込んだもの。軟骨魚は発酵してアンモニアが発生する。だいたいアンモニアは臭いのはもちろん、有毒危険でもある。口に入れて噛み深呼吸すると、100人中98人が失神寸前、二人が死亡寸前となると云われるぐらい、恐ろしい食い物らしい。くさいを通り越して、命がけの食いもんや。世界は広い…

チャンピオンへの挑戦者は「キビヤック」

カナディアン・イヌイットが作るアザラシ塩辛? アザラシの中身を抜いた皮の中に、羽根を抜かないままの海燕を50匹程度詰め込み、腹の皮を釣り糸で縫い込む。地中に埋め込んだ後、狼よけの重し石を乗せる。そのまま3年間ほっておく。3年経つと発酵しているので掘り出す。アザラシの腹を割いて海燕を取り出す。羽根がまだ付いている海燕の肛門に口を当て、中身のぐちゅぐちゅ汁を吸う! ぎょえ~~~ウンチ+腐ったギンナン+くさや+鮒ずし、というから、ただ者ではない。かの植村直己も依存症になったと云う(どんな舌や!) 恐ろしい食い物もあるもんや…なんまんだぶ(-∧-)

ヨーロッパチャンピオンは「シュール・ストレンミング」

別名「地獄の缶詰」というから、これも命がけの食い物らしい。鰯やニシンを桶に漬け込み、発酵しかかった物を缶詰する。普通はここで熱で殺菌するのだが、これは加熱しない。だから缶詰にしてからも発酵が進む。発酵が進むと炭酸ガスが発生して缶詰が膨らむ。3割ぐらいは爆発すると云うから、歩留まりの悪い食品である。但し書きが凄い!いわく…

  • 決して家の中で開けてはいけない!
  • 開缶するときは、ビニールのカッパを着込むこと!
  • 冷凍庫で冷やし、内部のガス圧を下げておくこと!
  • 風下に人がいないか確かめること(爆)

う~ん、本当におそろしいわ…喰った人に言わせるとどぶ川の臭いがするという(絶句) こんなものでも俺は喰ったという勇気を試す食い物らしい。こりゃまた…なんまんだぶ

くさいは恐い!釣り人編

釣り人の車はすぐ分かる。理由は臭いからである。波止釣り程度なら知れたものだが、コマセを使う磯釣りに使う車はかなり臭い。オキアミ主体のグレ釣りもそれなりに臭いが、チヌ釣りになるとアミエビ、アケミ貝、サナギミンチなど、数段異臭を放つものを使うので、トランクは尋常ならざる臭いを発生する。特にサナギミンチを赤土に入れて発酵させたものに、アケミ貝を入れて作った赤土団子は凄まじい臭いがする。

こいつを入れたバッカンはいくら洗っても臭いが抜けきれない。ゆえに専用バッカンを用意しておかないと大変なことになる。しかしこの臭いがチヌを呼ぶと固く信じているので、ますます工夫を加える。ウィスキーやイカ油を足したりするのも愛嬌だ。最近ではレンタカー屋の壁に張られた「釣り人お断り」が納得できる。

ということで、管理人の車も年中、ほんわり異臭を放っていた。もう鼻が麻痺しているから、大抵の臭いには驚かない。しかしその中でも強烈な臭いを経験したことがあった。同じような経験をした読者も多いことだろう。ワースト2を上げてみると…

爆臭!ハタハタの醤油漬け

これは釣りではないけれど、忘れられない想い出だ。若狭へ釣りに行ったある日、家内の母親がお土産にと、管理人の好物である「ハタハタの醤油漬け」を家人に託してくれた。ところが家人はそのまま車に置き忘れてしまったのだ。1週間ほど経っても食卓に出ないので、「もらったハタハタどないしたん?」と問いただしたところ…

「げっ!車に忘れてる…」
「わっ!」

我が家は釣り以外、滅多に車に乗らないので、脳天気な家人は車中に放置したまま、そのまま忘れていたのである。 あわてて駐車場まで走った(走ってもまったく意味はないが…)。ばっとドアを開けた瞬間、想像を絶する臭いが…。真夏の炎天下、1週間も車中に放置されたハタハタの醤油漬けは、くさやの干物どころではない臭いだった。この後、このトヨタサーフには2年ほど乗ったと思うが、最後までこの異臭は抜けきらなかった(と思う)。我が家のトラウマである。
※ハタハタの醤油漬けの名誉のために書いておこう…腐らさない限りとても美味しい(爆)

恐怖!サナギミンチ

これも思い出すだけでも恐ろしい経験だった。本格的なチヌ釣りを始めた頃、団子釣りに凝った時期があった。団子といえば、サナギはポピュラーな餌である。粒状、粉末状にしたサナギもよく使われるが、発酵させたサナギミンチも捨てがたい。あの何とも云えない異臭が、集魚効果をイメージさせるのだ。

さて、昔は釣行回数が多かったので、たいていコマセ餌はまとめ買いしていた。ところがある日、トランクに、そのまとめ買いしたサナギミンチを放置し忘れてしまったのだ。何日か経ってその車のトランクを開けた途端!!!強烈な腐敗臭で、思わずくらくら~。これも真夏の暑い盛りだったので、爆臭が駐車場に立ちこめる。いくらチヌを臭いで寄せると云っても、「これは無理、チヌも逃げるわ!」 お陰でトランクに臭いが染みつき、水洗いの効果も全くなかった。みなさん、くれぐれもコマセの忘れ物、特に夏には気をつけましょう。

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