こだわれば一人前・釣り鈎

釣りのステッカーとTシャツの音海屋
鈎は小物の中でも重要なパーツ

いくらいい仕掛けでも、鈎が悪いと釣れるものも釣れなくなってしまいます。しかし小さくてみんな同じような格好をしていますから、初心者にはなかなか見分けがつきません。ここでは分かりやすい鈎の見分け術と、鈎使いのちょっとしたコツを紹介。

波止でよく使われる鈎

伊勢尼

海で使う鈎の基本形は「伊勢尼」です。どんな店でも必ず売っており海鈎の基本形です。この形を変形させたバリエーションは多く、いわゆるグレ鈎の原型でもあります。ですからこの鈎の特長を知ると、鈎それぞれの違いが理解しやすくなります。

  • 掛かりがいい四角い形(懐が広い)
  • 海の魚の強い引きに耐えられる太地(太い軸)
  • 食い込みがいい(呑み込みやすい)短い軸
  • 昔からある万能鈎、掛け合わせて釣るウキ釣り向き
  • 用途に応じて金・銀・黒・ピンクなど各色あり
  • 頑丈なので、磯の大物狙いなどに使われる
  • ▲太いため活き餌を刺すのには向いていません(すぐ死ぬ)

 

チヌ鈎

これのお世話になっていない人は少ないのではないでしょうか。伊勢尼タイプと並んで出番の多い鈎です。チヌのように、餌を吸い込んで就餌する魚を釣るために考えられた鈎です。

  • 伊勢尼よりは丸くやや懐が狭い
  • 呑み込んで吐き出すとき、掛かりがいいように鈎先にひねりがつけられている
  • 伊勢尼より軸が長いため餌が刺しやすく、鈎も外しやすい
  • 活き餌も刺せる中地(やや細目の軸)
  • チヌ釣りはもちろん、波止の定番
  • 各色、エビ専用細地(細軸)などバリエーションあり
  • 落し込みには、カニ専用など特殊な形状をしたものもある
  • ▲ひねりがあると餌が回転する(食いが落ちる)といって嫌う人もいます
  • 波止での主な対象魚/チヌ・グレ・スズキ・タチウオ・中~大型の根魚など

 

アブミ

伊勢尼の形はそのままに、軸を格別に細くして小物専用にした鈎です。掛かりが抜群にいいのが特長です。

  • 伊勢尼と同じ形
  • チヌ鈎より細地(細い軸)で活き餌OK(元気~)
  • 軽い仕掛けのウキ釣り向き
  • 銀色のみ、小さなひねりが入っており掛かりは抜群!
  • ▲大きいスズキなどが掛かると、鈎が伸びてしまいます
  • ▲服などに引っかかると、なかなか取れてくれません
  • ▲軸が短いため、初心者には虫餌が刺しにくいでしょう
  • 波止での主な対象魚/チヌ、グレの中型まで、ウミタナゴ、小~中型の根魚など

 

丸セイゴ

波止専用ウェポンです。その名の通り、スズキのようにがばっと餌を丸飲みする魚を釣るために考えられた形状をしています。ですからアジ鈎にも形が似ています。

  • 楕円状で餌を呑み込みやすい形状、強度にも優れる
  • 鈎先が内向き(ネムリという)のため、いったん掛かると鈎は外れにくい(ゆえに魚にとって地獄=ジゴクともいう)
  • 鈎先がねむっているため根かかりが少なく、ブッコミ釣りにも向いている
  • 合わせたとき奥で掛からず唇でかかるため、呑み込まれにくいのが特徴、好んで使うベテランもいる
  • 銀色のみ、虫餌がずれないように小さいトゲの付いた(ケン付き)もある
  • ▲鈎先がねむっているため、小アタリを瞬時に掛け合わせて釣る釣りには向いていない(掛かりのよさは少し落ちる)
  • 波止での主な対象魚/スズキ・ハマチ・根魚など

まだまだ仲間がいるぞ

金 袖

袖(ソデ)鈎とは本来、川の小物釣り用で掛かりがいいように四角く鈎先が直線上に真上を向いているのが特長です。金色のものを金袖といいます。海ではアジ、サヨリ、ハゼなどによく使われます。かかりは抜群ですが、すぐ折れるのが難点です。

メバル専用

袖鈎をメバル専用に進化させたもの。形状は四角く長めで刺した生きエビが落ちにくくなっています。鈎先のカエシが小さく(半スレ)徹底して掛かりのよさを追求した鈎です。活きエサの持ちがよく抜群に掛かりもいいのですが、大型チヌやスズキでは鈎を折られます。 アブミよりは弱いようです。

流 線

投げ釣り専用です。いわゆるキス鈎、カレイ鈎、サーフとか呼ばれるものは皆この亜流です。軸が特別長く、呑み込んだ口から鈎を外しやすいのが特長です。また焼き入れがわざと甘く作ってあり、根かかりしたときに鈎が伸びて外れるようになっています。銀色と赤が主流ですが、最近イソメカラーなどカラーバリエーションが増えました。初心者には虫餌がずれにくいケン付きがお勧め~。

グレ鈎

伊勢尼の軸を短くしたものです。吸い込むように就餌するグレに合わせて考えられたものです。チヌなどに比べるとかなり小さい鈎を使うため、強度がある太地です。釣り人の好みに合わせて、最近は色々なバリエーションが作られています。グレは小鈎・小餌が原則です。シチュエーションで使い分けるため、釣り場へは最低3サイズぐらいは持っていきたいですね。

マダイ

鈎伊勢尼の軸を長くしたものです。長いため餌を刺しやすいだけでなく、呑み込まれたときチモト(糸を結ぶところ)が魚の歯に当り、糸が切られるということを少し予防します(糸でなく軸が当たります)。磯では糸を切られやすい尾長グレに使います。波止では少し小さくて細い小ダイ鈎がつかいやすいでしょう。糸は金色だけです。

使いこなしワンポイント

どんな鈎をえらんだらいいのかなぁ?

自分で鈎が結べるようになれば、鈎も選ばなくてはいけません。その場合、対象魚に合わせて鈎を選ぶわけですが、自分の釣り方も考えなくてはいけません。チヌを釣るからといって、必ずしもチヌ鈎がベストなわけではないのです。

  • ウキ釣りならば
    小型で吸い込みに優れた鈎が向く。
  • ミャク釣りならば
    瞬時の掛け合わせに向いた切っ先が真っ直ぐで鋭い鈎。
  • 投げ、ブッコミ釣りならば
    根かかりしにくい形状。万一根かかりしても伸びてくれ、仕掛けが回収できる鈎。

どのサイズを選べばよいかわからない?

小さい魚には小さい鈎、大きい魚には大きな鈎というのは当たり前で、誰にでも分かります。しかし鈎のサイズを決めるのはそれだけではありません。

  • 餌の大小
    アミエビのように小さい餌なら小鈎、マムシのように大きな餌なら大きい鈎を使うのがセオリー。
  • 活き餌
    虫やエビなどの活き餌には、強度が保てる範囲で細地の鈎を選びましょう。餌のもち方がまるで違います。
  • 仕掛けのバランス
    弱い竿と糸に強い鈎(=逆に強い竿と糸に弱い鈎)はタックルバランスが悪く、却ってばらしやすくなります。弱い仕掛けには弱い鈎、強い仕掛けには強い鈎が結果として強い。

色がいろいろあって分からない?

迷うほど色々なカラーの鈎が売られています。選ぶときのセオリーは?

  • 銀 色
    オールマイティに使える基本カラーです。
  • 金 色
    海中で光って目立つ色です。光ったものに反応するアジなどのサビキ釣りや、船釣りでよく使われます。目立つため餌取りにも狙われやすい鈎。
  • 黒 色
    目立たない色です。フグやハゲなど、たちの悪い餌取りの多い時に使います。黒っぽいイガイをよく使う落し込みにもよく使われます。
  • ピンク
    オキアミに同化し鈎を目立たなくするように考えられた鈎です。磯のグレ釣りでよく使われます。 塗装したものは剥げやすいのが難点です。
  • 赤 色
    カレイなどは派手な赤い色に反応するといいます。また虫の色とも同化しやすいようです。投げ釣りの定番カラーです。

よく釣れる鈎が欲しい!

ありません!釣果は腕です。しかし特殊な仕様を選択することで、気分良く集中できるというメリットもあります。

  • スレ鈎
    鈎先のカエリがありません。切っ先がとても鋭く小アタリをとるのは抜群です。難点は鈎に常に負荷をかけておかないと、掛けた魚が外れますのでベテラン向きです。すれたヘラ釣りで使われるものですが、海でも有効です。釣った魚を傷めないので、リリースをする人にも向いています。
  • 半スレ
    少しだけカエシが付いた鈎です。掛かりもよく魚の口から鈎を素早く外せるというメリットがあります。鈎外しの下手な初心者にも向いています。
  • 鈎先のひねり
    ねじったように鈎先にひねりがついています。チヌ鈎が代表です。チヌのように口の中が固く、合わせても鈎が掛かりにくい魚のために考案されました。餌を呑み込んだときに合わせてると、ずるずると鈎が出てきて口先の柔らかな皮に掛かるようになっています。最近は投げ釣りの鈎にも使われるようになりました。人によっては合わせがストレートに効かないと云って嫌がる人もいます。好みでいいでしょう。
  • 強化素材・手研ぎ
    特別に強靱な素材を吟味して作った鈎や、職人がわざわざ手で鈎先を研いで作ったものがあります。価格が高いのですが、精神安定上は効果があるでしょう。
  • 茶焼き
    鈎にかけてあるメッキに艶消し加工が施されており、渋い光沢をしたものです。海中で目立ちにくいというメリットがありますが、見た目の高級感もなかなかのものです。

サイズは1種類だけでいいの?

釣り慣れてくると、餌や食いに合わせて鈎のサイズ(号数)が色々欲しくなってきます。基本的には常用するサイズのワンランク上下があればいいでしょう。例えば、常用がチヌの2号ならば1号と3号を揃えましょう。余分なようですが、鈎の残りが少なくなったときにも安心です。

釣り場で迷ったときは、まず餌のサイズに合わせることが基本です。魚体に合わせて鈎のサイズを決めるというのは一見セオリーのようですが、あまり賢い選択ではありません。テストをすればすぐ分かることですが、意外と鈎の大小で強度の差はないのです。細地の鈎なら小さい鈎の方が強いときがあるくらいです。大体名手ほど小鈎を使いますが、餌が落ちやすいなどのトラブルもありますので、慣れないうちはちょっと小さめかなというぐらいの選択でいいでしょう。ゴカイのような生き餌の場合は、鈎のサイズよりも太さに注意して下さい。太地の鈎はすぐ餌が死んでしまいます。メバルなら細地、ハネ以上なら中地がいいでしょう。

鈎の収納は?

最近は便利な鈎ケースが売られるようになりました。波止でしたら、6つばかり仕切が付いたもので充分間に合うでしょう。マグネット付きが鈎同士の絡みが少なくて便利ですよ。

いい鈎・悪い鈎・好きな鈎

切っ先のするどさが命!

鈎を手にとって、親指の爪に鈎を立ててください。鈎先が爪の表面に食い込むはずです。それほど鈎先はするどく研がれてあります。釣り初めはともかく、何匹か釣ったり根かかりしたりすると、いっぺんに鋭さが失われます。釣り場では、時々テストしてみて甘くなったらすぐ交換しましょう。

精度はあるか?

鈎をケースから取り出し、並べてよく見てみると全部が全部同じものではなく、形状やタタキ(結んだ糸がずれないように軸を叩いて平らにした所)が微妙に違うのがわかります。悪いものに当たると、タタキが小さすぎて糸がすぐほどけてしまう時もあります。低価格品はばらつきが多いものですが、さすがに世界に誇るG社の製品は優秀!

錆びないか?

鈎はステンレスでないため鈎ケースに長い間入れたままにしておくと、潮風のせいでしょうか徐々に錆びてきます。仕方のないことですが、特に錆の出やすいものに当たるときがあります。防錆処理が悪いといえます。この点でもG社の製品は優秀です。 また使いさしの鈎は惜しまずに処分しましょう。鈎ケースに戻すと他の鈎も錆び付いてしまいます。

鈎にあきることもある…

G社の製品は品質もよく、日本中でいつでも補充できるため便利なのですが、釣りは趣味ですから気分を変えたくなるときもあります。私自身の好みでいえば…

O社「速攻グレ」

グレ鈎らしくないスリムでチヌ鈎っぽい形状と半スレ仕様が面白くて使ってみたのですが、中地の割には強度があり、餌も刺しやすく軽くて気に入りました。色もピンクで可愛いのでずっと使い続けています。最近太地タイプ(太く頑丈)も出ました。

O社「南方グレ」

軸が三角形でオキアミが落ちにくくなっているユニークな鈎です。重みがあるのでチヌ向きでしょうか?

K社「ウキ専科」

この中地はとても軽い鈎です。アジ鈎っぽい形状でグレの競技会向きです。

O社「チヌ黒」

磯のチヌ釣りで使います。ちょっと細身で軽くフカセ向きです。また黒色だとエサとり、特にフグには目立ちにくいようです。お試しあれ。

G社「細地チヌ」

波止でをよく使います。以前は使うエサによりチヌ鈎とアブミ鈎を使い分けていたのですが、これでしたら活き餌も弱らず強度もあるので、エビ撒き釣りのメバル狙いにスズキが来たようなときにもってこいです。

G社「メバル専用」

メバル一本に絞った時に使います。掛かりのよさは抜群ですね。

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