竿のかんたん修理術

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「ぎゃ!」と叫ぶことがあるものです

愛用の竿を折ったときは情けないですし、何より釣りを続けることができなくなります。真っ二つに折れるような事故ならどうしようもありませんが、程度によっては修復可能です。ここでは現場でできる応急処置と、自分でできる簡単な竿修理を伝授いたしましょう

穂先の修理

竿は案外と丈夫で塗装面に傷が付くことはあっても、バキンと真ん中から折れるようなことは少ないものです。ですから竿で一番多いトラブルは、穂先折れです。投げ竿や船竿、あるいは流行りの中通し竿でしたらとても頑丈ですから、まず穂先が折れるようなことはありません。しかし昔ながらの細く繊細な外ガイド式の磯竿で、穂先の糸がらみに気付かず、しゃにむにリールを巻き上げたりすると一発で折れます。

穂先が細くても筏竿のように素材がグラスファイバー製のものは、とても柔軟ですから直角に曲げてもまず折れません。カーボン穂先は軽量で反発力がありますが、その分柔軟性に欠けますから、局所的に力が掛かるともろいのです。

直し方(外ガイド振り出し竿)

  1. 折れた穂先をペンチで掴みライターであぶる。
  2. 熱したら接着剤が溶解するので、素早く折れた穂先を引き抜く。
  3. 穂先は細いカーボン繊維を束ねて作られている。繊維がばらけないように注意しながら、折れた穂先の先を真っ直ぐに整える。
  4. 外したトップガイドに差し込める分だけ、カッターの刃で穂先を削る。時間をかけゆっくりやるのがコツ。削りすぎは呉々も禁物!
  5. ガイドが差し込めるように削れたら、穂先に瞬間接着剤を少量垂らす。水状の接着剤より、ジェル状の瞬間接着剤の方が接合部の馴染みがよく強力。
  6. はみ出た接着剤をすばやく妻楊枝などで取る。
  7. しばらく時間を置いて硬化させたら、お終い。
注意点

トップガイドを無くした場合は、必ずオリジナルと同じサイズのガイドを購入すること。大きめのガイドを購入すると穂先を削る必要はありませんが、竿を畳んだときにトップガイドのみが収納できなくなります(※図参照)。サイズが分からなければ現物を持って行って店頭で調べてもらいましょう。

現地修理

瞬間接着剤とライターを釣り場へ携行しておくと、万一の時に対応できます。瞬間接着剤をそのまま塩ビ製のタックルケースに入れておくと、ケースの透明部分が白くなります(水蒸気に薬品が反応するため)。フタのしっかりしたパッケージにいったん入れてから収納することです。現地では落ち着いて作業できないことも多いものです。一番いいのは予備ロッドをもっていくこと。修理は帰ってから落ち着いてやるにこしたことはありません。

ULガイドの場合

最近ではULガイドと呼ばれるプラスチックのフレームでできた軽量ガイドが増えてきました。このガイドの場合、火で直接あぶるとプラスチック部分が溶解していまいます。ドライヤーで徐々に熱を加えながら接着剤を外す作業になりますが、素人には難しいかもしれません。自信のない方は修理に出しましょう。そこそこの竿なら免責の保険がついてあるはずなので、それを利用することを忘れないように! 保険がないようなら、ULガイドはチタンガイドなどに比べると随分安いので、リペアに挑戦しても良いでしょう。

穂先より少し内側で折れた場合

折れた箇所が1番(竿は先から1,2,…番と数える)の先から1,2cmの所ならば上記の修理方法でよいのですが、数cm以上内側に入った場合は問題。穂先が固くなるため少し食い込みが悪くなります。また図をみればお解りのように、ガイド間隔のバランスも悪くなります。

こういうときは、思い切ってメーカー修理を依頼しましょう。たいてい中級品以上なら損害保険が付いているので、購入してから1年未満かつ免責金額以上の修理ならば無料修理できます。購入店へ保証書を持っていくと、手続きしてくれます。

低価格商品で、わざわざ新しい1番を取り寄せるほどでなければ、図のやり方で修理してください。その場合、2番目のガイドを少し大きいものと交換して、ガイド間隔のバランスを取り直すことをわすれないように(図参照)。釣具店には修理用のガイドが各サイズ用意されているので、店頭で相談しましょう。

竿の継ぎ目の固定ガイドが外れた場合

外ガイド式の竿では、ここのガイドがよく外れることがあります。作りが悪いというよりは、わざと弱めに接着しているのです。というのは、2番とか3番を交換する場合は、竿全体をいったんバラバラにする必要があります。その時にジョイント部のガイドを外さなくてはいけないので、固定がしっかりしすぎていると具合が悪いのですね。ですから自分で付け直す場合でも、必ず瞬間接着剤にして下さい。2液性のエポキシ接着剤などは、絶対使ってはいけません。

並継ぎの穂先折れなら…

上記の修理方法は振り出し竿の場合です。しかし継いで使う筏竿や落とし込み竿、船竿の場合はやっかいです。ガイドが固定されているからです。この場合は…

直し方(並継ぎの場合)

  1. 折れた穂先の先を真っ直ぐに整え、軽くペーパーを当てる。
  2. 補修用の極細絹糸(ミシン糸50番位)を用意する(釣具店で購入可)。
  3. 筏竿の場合ならば上記の絹糸をほぐす。3本撚りになっているので、ほぐすとさらに細い糸が取れる。これを使う。
  4. 穂先にガイドを当て、糸をひと結びする。 しっかり密に並び巻きする 最後はハーフヒッチ3回で止める。
  5. 瞬間接着剤で固定する(ガイドが一列になっているか注意)。
  6. カシュー漆を妻楊枝の先で塗る(釣具店かホームセンターで購入可)。
  7. 乾かしてお終い。
注意点

筏竿の場合は極端に1番が細くガイドが小さいので、超極細の糸が必要です。上記の絹糸は3本撚りになっているので、ほぐすとさらに細い糸が取れます。この糸を使って極小のガイドを止めましょう。

リールシートを交換する

滅多にないですがリールシートが壊れることがあります。また普及品や筏竿ではあまり上質のリールシートが付いておらず、リールががたついて不愉快ということもあります。こんな時はリールシートを交換しましょう。しっかりしたリールシートや高級なチタンシートが売られていますし、不要な竿のリールシートを外して付け替えてもいいでしょう。また自分の体格や竿の持ち方に合わせて、リールシートの取り付け位置をずらすと、ずいぶん快適になるものですよ。 ※当たり前ですが、竿と一体で成形されているリールシートの改造は不可です。

リールシートの付け替え方

  1. 古いリールシートを外す。よく切れる工作用カッターを用い、竿を傷つけないように注意する。
  2. 下地の段差がなくなるよう表面をならすしてから、付けたいリールシートをセロテープで竿に仮止めする。
  3. 握り糸をひと巻きしてしっかり密に並び巻きする。
  4. 途中で同じに握り糸を二つに折って、巻き込んでいく 巻き終わったところで、巻き込んだ糸の輪に余り糸を差し込み、余り糸を数ミリ程度に切る。
  5. 巻き込んだ糸の端を引くと、余り糸が引き込まれ固定される(=端結び)。
  6. これを繰り返すとシートを固定する作業が完了。
  7. 端の結び目がずれないよう瞬間接着剤で固定する。
  8. 透明のカシュー漆を小ハケで塗る。
  9. 十分乾燥させてから、再度重ね塗りをかけてお終い。
注意点

色々な太さや色の握り糸が売られています。太い竿には太い糸、細身の竿には細い糸が似合います。色は好みです。

籐もおしゃれ

天然の籐で作った握り糸も売られています。和風のチヌ竿や筏竿でしたら、とてもよく似合い独特の雰囲気が出ます。この場合も普通の糸と同じ要領で巻きます。ただし、使う前に水に浸け、充分水分を含ませてから巻くのがコツです。

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