海と魚のお話

海と魚のお話

魚の締め方と魚の持ち帰り方

釣った魚を美味しく食べるためには、鮮度を保った状態で家に持って帰ることが大切です。そのためには余分なストレスを与えず魚を即死させること!釣魚を美味しく食べるためのちょっとしたコツ、実践してくださいね(^^)

締めないと魚が不味くなる理由

「釣った魚の方が、網で捕った魚より美味しい」と云われるのは、網に捕まった魚が逃げようとして、網の中で暴れて死ぬからです。身が傷つくだけでなく、狭いところや動きにくい状態に置かれることで強いストレスを感じ、魚肉に含まれた旨み成分(アミノ酸)が分解されてしまうからだそうですが、これと同じ事がクーラーでも云えます。

締めずにクーラーに入れてしまうと、中で暴れて網の中と同じ状態になるのですね。狭くて海水がない分、魚にとってはもっと悲惨かもしれません。更に、暴れることで身に血がにじんだ状態になり、血の臭みが魚肉に残ってしまいます。魚は鮮度が落ちると細菌の作用で生臭くなりますし、放置したり魚が苦しむような状態では味は落ちる一方ですから、釣ったらすぐに締めるのがいい訳です。必ずしも「生きている=鮮度がよい」ではありません。ポイントは余分なストレスを与えず即死させることです。

小魚は氷締め

サビキ釣りで狙うアジやイワシ。小魚ほど鮮度が早く落ちますし、数が多いのでナイフで締めるのは面倒〜。でも氷締めなら手間いらずで簡単!お勧めです(^^)

まず釣り場に着いたら、氷を入れたクーラーにバケツで海水を入れて用意し、魚を釣ったらすぐに入れるようにします。氷締めといって最も簡単で最善の方法〜魚は即死しますので鮮度抜群です。バケツなどに泳がしておいて、魚が死んだ後クーラーに入れたのでは、氷締めの効果はありません。すでに鮮度は落ちています。特に夏場はすぐクーラーに入れるべし。海水が入ったままのクーラーは大変重いので、帰るときにはクーラーの尻栓を緩めて水を底から抜きます。蓋を開けっ放しにしなければ、クーラーの中は保冷された状態ですから、新鮮なまま持って帰れます。

面倒でなければ、釣りに行く2〜3日前(一晩では中まで凍りません)からタッパウエアなどに海水程度の塩水で、塩氷を作って持って行くといいです。海水が薄くなるのを避けられるので、ナイフで締めた魚を入れても安心です。真水から作った氷ですと、氷が溶けるにつれ海水の塩分濃度が低くなり、浸透圧の関係で魚の体内に水が入って水っぽくなってしまいますが、塩で作った氷ですとこの現象が軽減されるという訳です。詳しい浸透圧のことについては下記を読んでみてくださいね。

中型以上の魚は締めて血抜きする

チヌやスズキなどの中型以上の魚は、釣ったらすぐに締めて血抜きをします。血を海水できれいに洗い流してから、クーラーに入れます。

まず締める
魚を締めるというのは、魚の延髄を切断し脳を破壊することです。要するに「即死させる」ということですね。魚の多くは、エラの横と尾の付け根が急所です。目の後方親指1本くらい離したところにナイフを入れ、脊椎の中骨まで深く切り込んで太い血管と神経を切断します。魚が痙攣をおこせば成功!ウロコの硬い魚なら、ナイフの刃を上向きにした方がよく刃先が通るでしょう。大型の青物やマダイでしたら、尾の付け根を切り込んで、よく血を抜いておくと更に効果的です。

タコやイカは目と目を結ぶ線上、カレイやヒラメは裏側のエラの横、コチは頭が急所です。エラ蓋から刃を差し込み、目の後ろの脳を突くやり方もありますので興味のある方は研究してみてください。締めるときにはナイフの刃先を折ったりしないよう、魚バサミを利用するといいです。魚バサミでしっかりと魚を固定しナイフを入れます。目をクルッと回して、パカと口が開いたら死んだ合図です。名人の中には、必殺仕事人みたいに太い針のようなもので締める人もいますが、我々には無理ですからナイフのお世話になりましょうね。

慣れるまでは、なかなか一度では死んでくれないものです。思っているより鱗は固く、なまくらな刃では受け付けてくれません。コツとしては…

  1. よく切れる大型ナイフを使う〜新品でも研ぐと効果的。
  2. エイヤ!の気迫を込めて突く〜中骨までしっかり刺し通す、エラは必ず切る。

コツが解れば簡単に締められるようになります。魚ばさみは地方の釣魚専用(和歌山のアイゴバサミなど)の物もありますし、釣り具メーカーからも販売されています。ダイワのは安価ですがハサミの支点で魚が傷つくのが難点。魚を均等に挟めるガマカツの方がいいかも〜。

次に血抜きする
血抜きをすることによって、生臭くなることを防ぎます。身に、血が入らないようにするのですね。頭を下にして逆さにするか、魚体を折り曲げるようにすれば、血抜きができます。また、エラには太い血管が集中していますので、エラを切ることで確実に血抜きをすることができます。

傷むのが早いサバやカツオなどの青物は、生臭くなるのを防ぐために、締めたときにエラも一緒に取り除きます。その後、海水の入ったバケツにつけて血抜きをし、海水で丁寧に血を洗い流してからクーラーに入れると鮮度が保てます。エラを取らなかった魚は、取った魚に比べると生臭さが強いそうです。青物の場合のポイントはエラですね。

魚の持ち帰り方

氷締めにした場合は、帰りにクーラーの水を抜いてそのまま持ち帰ります。魚は直接氷にあてると変色したり硬直したりしますので、溶けずに残った氷があれば氷をタオルなどで包むといいです。

中型以上の魚の場合も直接氷にあてないように、できれば1尾ずつ新聞紙やタオルで包むか、袋などに入れてクーラーに入れます。遠征していて家に帰るまでの時間が長い場合には、その上から新しく砕氷を足してやって持ち帰れば完璧です。氷の上に魚を置く人がいますが、冷気は上には行きませんので必ず氷が上、もしくは砕氷に埋めるのがいいでしょう。

クーラーに入らない大型の魚は…

初めから大物狙いの場合は、大きなクーラーを用意すると思いますので心配はありませんが、問題は思わぬ大物が釣れた時ですね。そんな時のために、竿ケースなどにストリンガーを1つ入れておくといいです。軽くてコンパクトなものなど色々あります。うちにも大小2種のストリンガーがありますが未だ出番なし…(^^ゞ
基本的にクーラーに入らない大型の魚は、ストリンガーに掛けて海中で生かしておきます。帰る前に締めて血抜きをし、濡らしたタオルや新聞紙などに包んで持ち帰りましょう。真冬でしたら、釣ったらすぐに締めて血抜きをしたあと、その辺にころがしておいても大丈夫。ただしお日様がポカポカした日はやめてね。

でもストリンガーに掛けられた魚は、ストレス多いでしょうねぇ〜特に磯では波にもまれたり、岩に当たったりして魚体も傷つくだろうし…それでもお店で売ってるのよりは新鮮なんだから仕方ないかな〜(^^;)
締めてからスカリに入れて海中につける方法ですと、自然に血抜きもできますし、スカリの枠がガードになって、魚体が傷つくのを少しは軽減できると思いますが…クーラーと一緒じゃ荷物になりますしねぇ。釣り場によっては、スカリやストリンガーを掛けるところがないこともありますし…う〜ん、その時の状況に応じて判断してちょ〜だいませ(^^ゞ とにかく、予期せぬ大物は別として、釣った魚はすぐに締めるよう習慣にしたいですね。

浸透圧について

皆さん学校で習ったと思いますが、ここでもう一度確認してみましょう。釣った魚を美味しく食べるためのおさらいです(^^)

浸透・浸透圧とは…
濃度の低い水(真水)と濃度の高い水(海水)を半透膜で仕切った容器に入れると、濃度の低い水から濃度の高い方に移動が始まり、水位が変化します。このように濃度の異なる2種類の水が、低い(薄い)方から高い(濃い)方に染み込む現象を浸透といい、染み込んでいく強さを浸透圧といいます。2種類の水の濃度が似通っていればあまり浸透は起こりませんが、その反対に濃度の差が大きいと水は速く染み込みます。要するに濃度の異なった水が、同じ濃度になろうとして移動することなんですね。

ところで、水中に棲んでいる魚の体はどうなっているのでしょう。今度は魚のことを考えてみましょうね。棲んでいる水と魚の体内の水とでは、もちろん塩分濃度は異なります。でないと海水魚はすべて塩辛いことになりますもんね〜。淡水魚の場合は体内の方が塩分濃度が高く、海水魚の場合はその逆。ですから放っておくと浸透の現象で、淡水魚の場合は体内に水がどんどん入ってきますし、海水魚の場合は体表やエラから水分が失われることになりますので、それぞれ排泄物で調整しているのです。ちなみに、淡水魚の排泄物は、量が多く塩分が不足しないよう濃度は薄いのが特徴、一方海水魚の排泄物は少量で、塩分濃度が濃いのが特徴です。

このようなことから、魚は真水につけないようにと云われているのですね。知っていれば、自然に魚の扱い方が多少変わると思いますけど、かといってあまり神経質になる必要はないと思いますよ(^^)

釣った魚が美味しい秘密

魚は死んだあと時間が経つにつれて、身が活きた状態から死後硬直、死後硬直から熟成の状態、そして最後に腐敗へと変化します。本来活け魚というのは、死後硬直を起こしていない状態のことを指します。魚には活け魚と鮮魚の2通りの呼ぴ方がありますが、先に書いたように活け魚は死後硬直までの魚をいい、鮮魚とは死後硬直以降の柔らかくなって腐るまでのことを指します。

死後硬直を起こす前の状態を長く保つためには、釣ってすぐに締めること、氷で冷やしすぎないことがポイントです。魚の大きさにもよりますが、こうすることによって2〜3時間くらいは活きた状態が保てるようです。魚種や魚の大きさによって死後硬直の持続時間に差はありますが、だいたい10時間くらい。それを境にどんどん自己消化が始まり、鮮度が落ちていきます。青物は白身魚に比べて死後硬直が早く始まり、持続時間も長くないので、早く自己消化が始まって傷みやすいのですね。

死後硬直が始まる前の身が活きた状態では、食べるのには身が柔らかいので洗いにします。身を氷水で洗うことにより、人工的に死後硬直の状態をつくるわけですね。瞬間的に身が締まりコリッとした歯触りが楽しめます。お刺身にする場合は、捌いてサク状にしたあと、しばらく冷蔵庫でねかせて身を締めるといいです。また、調理するときの包丁の切れ味でも魚の味は左右されますから、切っても切れない関係を読んでくださいね。

熟成の状態というのは、身の中でイノシン酸という旨み成分が作られることで、魚種や大きさによって異なりますが、死後10時間ほどを境にして始まります。時間が経つにつれて、身の弾力は減っていきますが旨みは増します。一晩おいて翌日に食べると美味しい、と云われるのはこの熟成の状態にあるからなんですね。

釣ってきた魚を保存する場合は、捌いて下ごしらえをした状態で冷蔵庫に入れます。 内臓や血液の中には強力なたんぱく質分解酵素があり、自己消化が早くなって傷むのが早くなります。微生物の繁殖も早く進みますから、少なくても内臓やエラだけは取り除いて保存しましょうね(^^)