磯釣り専科-磯フカセ入門

磯釣り専科

上物釣りはLBで

LBとはレバーブレーキ式リールの略です。普通、リールには強力な魚の引きに対応するため、自動的に糸を出してくれるドラグという便利な機構が装備されています。LBとは、この操作を機械的任せにせず、釣人自身がリールに付いたレバーを操作して自在に糸を出せるように考案されたリールです。

元々は、磯の好敵手グレを仕留めるために作られた日本独自のものです。最近はそのメカニカルかつヒューマンンな合理性が理解されてきたのでしょうか、波止でも使われるようになってきました。強力な兵器ですが、使い方を誤ると却って仇になる面も持ち合わせています。ここでは、その特徴とざっとした使い方のコツをお話ししましょう。

レバーブレーキとは

レバーブレーキ(以下LBと略す)リールと従来のドラグ式スピニングリールの違いは、魚の引きに応じて糸を出すシステムの違いにあります。ドラグ式がドラグとよばれる摩擦を利用してじりじりとスプールを逆転させ糸を出すシステムであることに対して、LB式は常時スプールフリーの状態で、LBオン(指を引く)でスプールがロックするようになっています。オフ(指を離す)でスプールフリー、逆転して糸が瞬間的に出せるようになっています。

LBを使い慣れると、一気に糸を出したりじわじわ出したり必要な分だけ出すといった小技も使えるようになります。また使えるようにならなければ、仕掛けの操作や魚とのやり取りはおぼつきません。日本独特の磯釣りに特化して生まれたシステムで、スピニングリールの日本限定バージョンともいえます。

基本的にスプールをロックせず使いますので、レバーを確実に引いておくか指でスプールを押さえておく操作が必要です。でないと不必要なときにスプールが逆転し、糸ふけがリール廻りに出て糸がらみを起こすというトラブルが多々あります。しかし近年メーカーの努力で機構が大きく改良され、ワンタッチ操作でロックのオンオフが可能になりました。このためトラブルが激変し、初心者でも扱えるようなリールになりました。

対グレウェポン

LBは上物のスター、グレのパワーに対抗して作り出されたリールで、本来チヌ用ではありません。しかし、引きだけでいえば石鯛という力持ちも居ますし、青物のスピードとパワーは半端ではありません。では何故グレにそのようなリールが必要なのでしょうか?

やたら根性がある
一度でもグレを釣ったことがある方はお分かりでしょうが、グレという魚は引きがシャープなだけでなく、凄いガッツがあるのです。磯魚の大半はおぉと思うぐらいパワーがあってもいったん底を切ってしまうと、案外抵抗力をなくすものです。しかしグレは違います。持続するのです、海面に魚の姿がうっすら見えだしても安心できません。短距離選手のパワーと長距離選手のスタミナを兼ね備えたまさに好敵手です。

おまけに突っ込む
グレはシモリを住処にしている魚ですから、鈎に掛けると猛然と住処つまりシモリ目指してダッシュを掛けます。帰巣本能です。これにストップを掛けないと、糸は一発で根ずれしてお終い。チヌのように引きをいなすだけは、なかなか取り込めません。

もひとつおまけに食わせ難い魚
フィッシュイーターと違って臆病な魚でもあります。ですから重い仕掛けや太いハリスを嫌うのは、名人の皆さんがいうところです。簡単に取り込める仕掛けではなかなか鈎に掛かってくれない、ぎりぎりのタックルで勝負していかなければ、そう簡単には大物とは遭遇しません。細ハリス志向というのもレバーブレーキが生まれた背景です。

レバーブレーキの法則

糸を出すのが目的ではない!
「強い引きで糸が切られそうになるから素早く糸を出すためのLBである」と思っていられませんか?磯釣りをしない人は、初心者だけでなく上級者でも結構そう思っている人がいるようで、そのように書かれた記事を読んだこともあります。まぁ数回も糸を切られると???と思うはずです。私自身は糸を切られないためだけだったら、ドラグ式の方が数段優れていると思っています。

ドラグでなく竿のタメで勝負するためのリールだ!
グレという魚の特徴を上に書きました。チヌなどに較べると相当やっかいな魚であることは事実です。こんな魚相手に糸を出すと、よほどに条件のいいフィールドでないとまず一発で切られます(切られなくてもシモリに潜るケースが多いため、取り込める確率は低い)。ドラグではずるずる糸が出て足元への急激なつっこみや反転に対応できないのです。出ないように調整したら細ハリスが切れるか、竿がのされて終わりです。

基本は出さない!
必要なときだけ必要分出す!

糸を出す本当の理由は、のされかけた竿をいい体勢に立て直すためのものです。また釣り座を瞬時に移動する時にも素早く糸を出す必要があります。仕掛け強度を上回る予想外の大物でしたらいったん糸を出し、沖で再度勝負する手もあります(なかなか思うようにはなりませんが…)。

LBの長所

  1. 瞬間的な操作で竿の角度を立て直せる。ドラグ式では魚とやり取りしながら、糸を出して竿を立てるという操作は、ちょっと難しい。やってやれないこともないが、大物ならその余裕がとれない。
  2. タモ入れ時、魚の動きに合わせ加減して糸を出せるため、最後の最後でバラシということは少ない。仕掛けを作り替えるようなとき、オープンベイルにしなくても糸を出せるため、足場の悪い釣り場では重宝。 フロントドラグと違ってスプールがワンタッチで外れるため、道糸の交換はとても便利。いちいち大物に備えてドラグ調整の必要もなし。

短所の技術的解決
従来、スプールをフリーにしておかなければ逆転して糸を出すことは出来なかった。そのためうっかりしてストッパーを掛けたままにしていて、瞬間的な引きに対応できずバラシというのがよくあった。フリーにしておくと何かした弾みでスプールが逆転し、ハンドルやロータにふけた道糸がからまるというトラブルが少なくなかった。この件に関しては、最近ではレバーにストッパーのオンオフ切替機構がついたため劇的に改良された。使いこなしの習熟度は大幅に低下。

HINT
指先一本で糸の出をコントロールするためには、慣れあるいは練習が相当必要。普通のフロントドラグでも、ドラグのみに頼らず手動で糸を出せるような人ならば、簡単に使いこなせるが…。

大物に滅多に出会わない釣り場で普段釣りをしていると、思わぬ引きに遭遇したとき気合い負けして糸を出しがちになる。チヌなど沖へ出ていく魚ならいいが、グレなどは足元に突っ込んでくるのでまず一発でばらす。こういうときは竿さばきとためで勝負する気迫がいるのだが、安易に糸を出しておしまい…というケースが多い(ホント!)

過去、正体不明の大物に切られた経験からいえば、スピードのある魚にかかると、糸を出しながらでも切られてしまう。中途半端な抵抗を掛けながら出すとダメだ。ベールオープンにするか、ドラグ式で力比べをした方が取り込む確率が高いだろう。

アンチLB派もいる

前記に書いたようにLBは必ずしも万能でありません。チヌが好きな方なら使い慣れたドラグ式で細い道糸を使いこなすのもいいでしょうし、青物などの他魚狙いの方なら力比べで勝負する大型スピニング、あるいは両軸リールという選択肢のほうが手堅い釣果が得られるでしょう。人によってはレバー操作が煩わしいという人もいます。最後は釣りに対する考え方と好みになります。

LBはあくまでもウキフカセで釣るグレ釣りに特化したリールなのです。そして糸を出さずためきるという考えが身に付いていないと、せっかくの大物を取り逃がすことにもなります。  

選ぶコツ

以前でしたらシマノのBBXが断然お勧めでしたが、ダイワもアイデア機構を次々採用とてもよくなりました。オンオフのレバー操作に大きい違いがあります。手に取り自分の使い勝手と好みで選ぶとよいでしょう。 結構高額なので普及クラスに目がいくと思いますが、できれば最高級品を選んでください。付属のスプールがアルミ製というのが魅力です。樹脂製は磯ではダメです。竿は価格=品質ではない感覚的なものがありますが、リールは100%機械だけに品質が価格とほぼ比例しています。

たいていの人が竿より長く使います。調子が悪くなればメーカーにメンテを依頼してください。新品時の回転を取り戻して帰ってくるはずです。磯は波止より傷付きやすく潮もかぶります。高級品は見てくれだけでなく造りもタフなのです。結局、長く大事に使いますから賢い買い物になります。

LB使いこなしQ&A

面白そうですが、買ってみるだけのメリットがあるでしょうか

  1. グレ対象の磯釣りをやろうとしているならば、必需品に近い物です。しかし一般的なドラグ式を使いこなしている名手もたくさんおられます。好みでいいとしかいいようがありませんが、使ってみると納得できるはずです。最近では大チヌを追いかけている人がよく使っているようです。
  2. むしろ始めのうちは、糸の操作よりも面倒なドラグの調整が不要なことや、ワンタッチでスプールが外せたりすること、仕掛の操作がしやすいことにメリットを感じるはずです。

価格が高いです〜

  1. 専門のマニア向けの物ですから価格の高いことは否めません。しかしルアー用の高級品も負けず劣らず高価格です。また最近では入門者用の低価格の物もラインナップされていますから、とりあえず使ってみたらいかがでしょう。

使いこなしがよくわかりません

  1. そうそう大物が釣れるわけでもなく、なかなかリールに習熟するだけの良型魚を釣ることはできないと思います。そんなときはガシラやメバルなど小さい魚を釣ったときに、すぐ釣り上げずに糸を出してみて下さい。
  2. 小さい魚を相手にやり取りの予行練習、トレーニングをしてみるわけです。
  3. そうやって何回も遊んでいるうちに糸を出し入れする要領や加減が分かるようになります。ちなみに一人でのタモ入れに馴れていない方にも、この方法をお勧めします。小さい魚でもすくっているうちに操作に慣れ、大きな魚が一発で救えるようになります。もっとも人の見ているところでやると恥をかきますが(^^;)

会社によって糸を出すシステムが違うようですが…

  1. 特許の関係からでしょうか、各社スプールをオンオフする機構に違いがあります。それぞれ優れたところがあり、どれがいいとは言い切れません。
  2. 店頭で手にとって自分で扱いやすいと感じた方でいいと思います。スプールを逆転させて糸を出すというという点では共通していますから、魚を掛けてからの差はありません。

予備スプールにはどんな糸を巻いておけばいいでしょうか

  1. 高級品にはたいてい予備スプールが付属しています。一般的には釣場、魚種によって太糸/細糸を巻いておけばいいでしょうが、風が強い日に備えて、より細く比重の重めの糸を巻いておくこともあります。
  2. 釣りが分かってくれば、たくさん交換スプールが欲しくなるはずです。