釣りのタックル研究室

タックル研究室

道具選びの死角

今日、読者のHさんから、質問というか迷いの書き込みが掲示板にあった。内容は道具選びのことだから、悩みといっても楽しい悩みである。よく読んでみると、釣り人なら考え込むような楽しい迷いの一つだ。どんな釣り人でも、あれがいいか?これにしようか?と迷う時間が一番楽しい。かくいう笑魚も通ってきた道だから、その場でアドバイスしようかとおもったが、長文になるので記事のネタにすることにした。お役に立ったら幸い(^^)b

さて、ある程度釣りに精通し、道具選びの経験もそこそこ積んだ釣り人の釣り具選びの悩み(迷い)を大別すると3つあるようだ。書き出すと…

  1. 欲しいモノは明確に決まっているが予算不足で、一段下を選ぶしかない。
  2. 自分のやりたい釣りにマッチするモノがない。
  3. 天の邪鬼だから定番ではなく、ふむ〜といわせる代替え品で決めたい。

対象が竿の場合

1のケースは簡単だ。10万円の竿が欲しい〜しかし気に入ったといっても2万円しか予算がなければ、それで済ますしかない。難しいケースは対象が5万円の竿で予算が3万という場合だ。メーカーのラインナップならワンランク下になる。この場合は自分の性格をよく考えること。ぐっと辛抱できる人ならば、やはり予算を貯めてから欲しいモノを買うべきだ。新製品でも半年〜1年もするとバーゲンなどで売価から2,3割安く買えるはずで、結局は気に入ったものを、案外リーズナブルに手にすることになる。

中級品ならワンランク落とせる

予算重視で割り切れる人ならば、ワンランク下で充分だ。実釣の性能に大きな差はない。ただし大事なことは高級品と中級品との差は大してないが、中級品と入門クラスでは大きな差があるということだ。例えば磯竿で実売価格5万年の竿と3万円の竿はフィーリング+α程度の差だが、3万円と1万の差は全然違うということ。同じ2万円でも劇的な差がある。安い品物ほどかけられるコストに制限があるから、使われる素材やパーツにもろに反映してくるのだ。安い品物ほど選択は難しくなるということを覚えて欲しい。

メーカー揃えるべし

またランクを落とす場合のコツとして、メーカーは同一メーカー同一シリーズの方がいいということも覚えて置いて欲しい。価格にかかわらず、竿の調子やフィーリングはそのメーカーのコンセプトが少なからず反映されているからだ。例えばダイワのチヌ竿「飛竜」シリーズを例にあげてみる。このシリーズは僕も3本ばかり愛用したが、この商品ラインはそれぞれ価格の上下にかかわらず、皆同じようなフィーリングを持っている。シマノとはやはり一線を画す味がある。この反対も云えるわけでシマノが好きなら、予算を落としてもやはりシマノがピンと来るだろう。

マーケティングの隙間

自分の気に入ったものが見つからないケースは難しい。器用で物作りが好きな人なら筏竿程度は自作できるが、普通の釣り人にはまず無理だろうし、却って高くつくだろう。Hさんの場合は、短竿のノマセ釣り用の竿が欲しいとのこと〜たしかにこんな竿は市販されていない。これほど特殊でなくても、関西流のコスリ釣りやミャク釣りに向いた竿は、ニーズがあるにも関わらずつくられていない。大体が波止釣りの竿はないないづくしだ。

不憫な波止釣り師

ちょっと上げるだけでも、波止で使い回しのよい長さのウキ専用竿がない、軟調の落とし込み竿も少ない。目印が通るガイドの落とし込み竿も生産中止、ブッコミ用の投げ竿もないし、底物専用の落とし込み竿もない。関西で人気のあるズボ釣り専用竿もないし、ちゃんとしたワカサギ竿などもない。メバル専用のリール竿もあっていいと思うが、市販されているのはのべ竿だけだ。あってもいいはずのサビキ専用竿もない。夜釣り対策の施された竿など皆無である。マニアを満足させるテトラ竿もない。メーカーは釣り人をなめとるのかぁ〜〜

差別撤廃を!

船釣りなどでは、対象魚別はもちろんのこと、調子や長さはもちろんのこと、ご当地釣法にまであわせた細かいラインナップができあがっている。こうして考えてみると、波止釣り師などというのは、メーカーの開発者からは完全に無視された存在である。だから皆、磯竿や渓流竿、バスロッド、サーフ用の投げ竿、筏竿などを転用して自分なりに工夫して使っているのが現状だ。これを疑問に思わない釣り人も結構多いから、身に染みついた先入観と長年のメーカーの教育は恐ろしい。以前、磯竿の長さを疑わない波止師が多いことを嘆いたが、波止釣り師は最大多数派なのだから、皆さん釣り具選びで悩む前にメーカーに文句を云おう(^▽^)

マイナー釣法は続かない?道具も無駄に…

まぁ文句は後にして、なければ代用するしかない。これについてはそれぞれ個人の考え方があるだろうから、ここでは書かない。しかし覚えておいて欲しいことは、その地でメジャーでない釣法は、その地の釣り師たちが試行錯誤してきた結果であるということだ。だからメジャーでない釣法を試みても、結果も付いてこないし情報も入手できないから、結局は続かないことが多い(本当よ〜汗;)。だから、もしメジャーでない釣り方を目的とするならば、せっかくの代用竿も結局は使わなくなるということが大いに予測される(本当に本当よ〜汗;)。買う場合によく考えて欲しい。

まずは手持ちで試そう

代替え品でやりたいケースはどうだろうか〜これも個人の嗜好なので難しいが、うむ!といわせる前にあらら?と言わせるセッティングも、釣場で多々見かける。こればかりは釣りや考え方のセンスがモノをいうので、むむむ・・・・・。いずれにせよ、新しい試みというのは釣りの場合、案外長続きしないことが多く、結局その地で定番の対象魚、釣法、道具セッティング、餌選びに舞い戻ることが多い。先達はやはり偉大なのである。買おうと思う前にまず手持ちの竿でやってみよう。それを何回か繰り返して釣果が大いについてくるようなら、その時点で考えても遅くないし、実際に釣ったことで、ハウツーも身に付いているからだ。私の経験あるいは見聞きした範囲で無駄になるモノが多いのは、カゴ釣りの竿、大物用の磯竿、長尺の磯竿、超高感度の筏竿、短すぎる投げ竿、トラウトロッドなどだ。

兼用は結局無駄になる

もったいないから、あの釣りこの釣りなどという兼用も考えないことだ。始めから兼用を考えると、結局竿の性格が中途半端になって、後悔することになる。買い物にはすぱっと割り切る確かさが大事で、竿そのものに兼用などという考え方はない。いったん仕掛がセッティングされたら、どんな竿でも専用になる。兼用は竿ではなく、その釣り人の考え方が兼用なのである。

対象がリールの場合

リールも竿のケースと同じように考えればよい。私も安物から高級品、超小型から大物用、種類もスピニング、LB、キス用、ドラグ付投げ専、両軸、太鼓、ABU、バス用、筏用、片軸、船用と、電動リール以外のリールはほとんど使ってきたが、結局はごく平凡なセッティングに落ち着いている。感性やこだわりのある竿と違って、機械モノだから最後はその釣りに適した機能と、スペックになるからだ。だから要はその釣りでスタンダードとされているリール形態と予算で決めると、間違いがない。

糸のさばきやすさが一番

予算以外に僕が重視しているのは、糸がどれだけさばきやすいリールであるかと言うことだ。僕にとって釣りに一番大事なアイテムは道糸だ。だからリールには回転の軽さなどという、あまり意味のないスペックは求めない。中級者以前の人には分からないかもしれないが、糸絡みの多いリールというのは高級品でも存在するのである。最近はメーカーもやっと糸絡みを減らすような努力を始めたが、遅きに失する。夜釣りで時合いの真っ最中につまらない糸絡みなどで時間を無駄にしたら、貴重な大物との遭遇を無にしたかも知れないのだ。糸絡みだけでなく糸のつまみやすさも大事なポイントで、サミングのしやすさはいうまでもない。こういうところを考え抜いたリールが本当の実釣仕様で、残念ながらここらを見る眼を養うには、お金をたくさん捨てないと身に付かないかも…(笑)

ハイテクより人間工学

糸の撚り取り機構はたしかにそれなりの効果はあるが、それより糸の選定、交換がモノをいうので絶対ではない。またドラグの善し悪しも重要だ。最近の国産高級機のドラグは素晴らしいが、残念ながら扱いにくいつまみにうんざりする。鈍くさい大昔の外国リールの方が、ずいぶん扱いやすい形状のモノが多い。物作りの発想・思想の差が表れていて面白い。

両軸はマニア好み?

最近の若い人はスピニングから釣りを覚えるから、かえって両軸リールに興味があるようだ。僕が若い頃釣りにのめり込んだときは、現在ほどスピニングリールには信頼性はなかった。だから磯釣りでも両軸が定番で、abuの国産コピー機を買って喜んでいた(実際は度重なるバッククラッシュで泣いていた)。ちなみに磯竿は当時の磯竿一番メーカーNFTだった(懐かしい・・・)。

不要な機能は不要?

両軸でも太鼓でも好みでいいと思う。注意して欲しいのは、両軸を購入する場合は、ルアー専用や筏専用とされているものを買うのならば気をつけろということだ。メーカーや品番によっても異なるが、投げることのみ考えられたルアー用は、微妙なタナ合わせをするには不便なクラッチだし、置き竿で底釣り対応の筏用は、メーカーにもよるが、凝りすぎのクラッチ機構、タナ合わせ機構、スプールロックがあって、一般の釣りには使いずらい。…と書いても結局使わないと分からないということもあるなぁ〜〜。

サミングしやすさに注意

また落とし込みにはやはり使いにくい。竿を下げて構えるから、両軸では手首がちょっと窮屈な角度になるのだ。もっとも僕の場合、そういうときは竿を90度ひねって持つから、結局太鼓と同じようなリールポジションになる。ガイドの抵抗も減るので糸落ちが早くなる。覚えておくと便利よ。さて太鼓はシンプルだから、最近のハイテクタイプでも使いやすいと思う。ただ親指でサミングする両軸リールより、人差し指を使う太鼓は、ちょっと馴れるまで時間が掛かるかな。

どんなリールでも釣りは面白い

太鼓派の言い分としてスプール口径が大きいから、糸撚れが少ないなどという人も多いが、昨今の糸は素晴らしくしなやかだから、特に大きい問題はないと思う。スプールフリーの軽さでは、やはり両軸に一日の長があるし、サミングのしやすさ、他の釣りへの転用というメリットもある。またドラグ任せという人にもいいだろう。太鼓の良さはダイレクトなやり取りとよく云われるが、僕はナンセンスだと思う。どんなリールでも、やはりやり取りは興奮するもので、その面白さにリールによる差など絶対にない。

使いこなせるシンプルさがいい

僕の考える太鼓のメリットはそのシンプルさだ。余分な機能が組み込まれていないから、始めてさわるときでも取扱いに??となることがない。凝り凝りの胴付きリールや筏リールでは、数あるレバーの役割習得に時間がかかることもあるぐらいだ。それと僕のように糸にこだわりのある人間には、ワンタッチスプールはありがたい。そのポジショニングの良さについては云うまでもないだろう。しかし、倍速の付いていない原始的な1:1の太鼓(木製や富士のプラ製のもの)は、使い手によって逆巻と順巻きがあるから混乱するかも知れない。

軽さも大事だが…

最後にスプールフリーの件。落とし込みやヘチ釣りは糸を手で手繰って出すので、軽さは関係ない。むしろ多少制動感のある方がトラブルが少なくていいくらいだ。ただ中通しオモリを使ってミャク釣り的な釣りをする人には、オモリで糸を落とすのでやはり回転が軽い方がいいだろう。しかしルアー用の抜群のスプールフリーのリールで、細糸を使っても4Bぐらいが限界だ(竿の長さ=ガイド数にもよる)。糸に水が染み込むと途端に重くなるので、性能のいいリールで5B、普通の両軸なら1号以上かけておかないとダメだろう。だから軽いオモリを使いたいなら、それ以上は無理を云わず、手で必要分手繰るとか、穂先を水面に付けて、糸を引き出すテクニックも覚えて欲しい。

さて独断と偏見で色々書いてみたけれども、発展途上の釣り人には役立つこともあるかもしれない。気に入らない人は・・・怒ったらあかんよ(^◇^;)