釣りのタックル研究室

タックル研究室

ベストで分かる釣りの腕前

釣りに求められる服装には一般的に機能として、防寒・防水・通気性・ファンション性などが求められますが、ことベストに関してはそういうことより、物入れとしての機能が求められます。移動を繰り返したり、足場の悪い釣り場では、タックルボックスとしての機能が、強く求められるからです。今回は身に着けるタックルボックスとしての観点から、フィッシングベストを考えてみましょう。

用途にあわせて各種ある

各種の釣りに合わせて多様な釣り道具があるように、フィッシングベストにも、それぞれのジャンルに合わせて開発されたものが、釣り具メーカーから市販されています。ホームセンターで売っているものも丈夫で安価ですが、やはり専用に作られたものは、よく考えられています。ちょっと紹介してみましょう。※説明の都合上、シマノ製品にまとめています。

一般的なマリンベスト
大きなものを収納できるポケットと、ハリスを収納する専用ポケットや、各種の小物がすぐに取り出せるようなポケットが付いています。この写真の場合、着心地がよくなるように、裏地にメッシュを採用しています。大体3シーズン着られるような仕様になっていますが、ものによっては背中の生地を取り外すと、涼しいメッシュ地になるようになっているものもあります(夏場対応)。携帯電話を収納できるようになった専用内ポケットのあるものもあります。丈がやや長目です。
ショートベスト
上記のベストより丈が短くなっています。この手のベストは川の中に立ち込んで釣るために、わざと丈が詰められています。鮎・フライ・渓流用ベストは、たいていこのようなスタイルになっています。機能的には大きく変わりませんが、撥水加工されているものが殆どです。ポケットの位置が高いので、通常の釣りには適しません。店頭にはいちいち解説した説明書きはないので、購入するときは呉々も気をつけて下さい。
投げ釣り専用ベスト
キャスティングベストは、脇が広く空いて手を大きく動かしやすくなっているのが特長です。遠投に対応したベストといえましょう。反面投げ釣りには仕掛け作りの小物を入れておく必要がほとんどないので、ポケットは少なく小さいのが普通で、丈もゆったりしています。

このようにフィンッシングベストは、同じように見えてもそれぞれ専用設計がされています。自分の用途に合わせて専用のベストを購入するようにして下さい。

ベストを選ぶコツ

釣りによってそれぞれ専用ベストにも、細かな違いがありますが、まずは共通する機能について説明します。

  1. ポケットの数は妥当なものを
    ルアーやフライ用などように、タックルに合わせて専用化されたポケットがたくさん付いているものはかえって使いにくいものです。大きいポケットが4つ、内ポケットが一つあれば充分間に合います。小さいポケットは便利なポケット(ハリス専用)などを除けば、特になくてもいいでしょう。夜釣りをする人なら、懐中電灯用のポケットのあるものは、とても便利ですのでお勧めです。

  2. 生地はしっかりしたものを
    オモリやペンチは結構重たいものです。用具や仕掛けを全部ポケットに入れると、結構な重量になり、前からひっぱられたような形になります。当然着崩れしやすくなりますので、生地は厚手のしっかりしたものがお勧めです。

  3. 丈はよく考えて
    店頭で売られているものの殆どは、丈の短いショートベストです。人によっては背中が空いて気持ちが悪いという人もいるかも知れません(私も…)。こういう場合はカタログで取り寄せてもらうか、使い勝手のよさそうな作業用ベスト(ホームセンターにあり)を転用するといいでしょう。また冬場も着込みたい方は、防寒着の上からでも羽織れるように、ファスナー以外に伸張できるベルトがついたものがいいでしょう。

  4. 結構高いが…
    中国製の衣料がとても安価で購入できるようになりましたので、フィッシングベストは昔に比べると品数が少なくなりました(ライフジャケットは多くなっています)。そのため高級品がほとんどで、値頃感のあるものが少なくなりました。波止でしたら、特にこれでなければいけないと云うものでもありません。作業用のベストでもかまいませんし、ファンション性にこだわるなら、アウトドア用のものにもいいものがあります。ぜひ自分のお好みのものを探して下さい。

  5. 撥水加工したものがよい
    予算があるのならば、撥水加工のものをお勧めします。不意の雨や飛沫に対抗できるだけでなく、コマセが付いたときなどに、汚れがとても落としやすいからです。ただし洗濯するにつれて撥水効果が落ちてきますので、適当な時期に市販の撥水スプレーで再処理することをお勧めします。吹きつけて乾かすだけですが、スプレーの溶剤で気分を悪くすることがあるので、作業は必ず風通しのよいところで行って下さい(^◇^;)

ベストはタックルボックス

ベストはベストそのものより、入れる中身が大事です。実際の例を挙げますから、使いこなしのヒントにして下さい。

ウキ釣りや探り釣り用のコーディネイト(笑魚の波止ベスト)

ベストはFoxFireのアウトドア用ベストです。ボタンとベルクロで止めるポケットが前身頃に4つ、懐に2つ、内ポケットが2つ(1つはチャック付き)です。ジッパーでなくベルクロですので、ワンタッチで開閉できるという良さがあります。丈はやや短めです。フロントジッパーにモンベルのファスナージップをつけています(いちびりですぅ)。

  1. ピンオンリール
    ダイワのハサミ、シマノのオマツリほどき付ラインカッターをつけています。ハサミは現場でなくすと非常に困りますので、ラインカッターは予備も兼ねています。
  2. ガン玉入れ
    G6/G4/G2/B/3B/0.5号/1号を主体に入れています。
  3. 小物ケース
    サルカン・シモリ・カラマン棒・ウキスイベルなどが入っています。とても使いやすいダイワの薄型ケースです。おすすめ。
  4. 鈎ケース
    小物入れと一体化して使える鈎ケースです。通常競技チヌの1〜3号・メバル専用8号・金袖7号・エビ専用などが入っています。
  5. ペンチ
    とてもいい改造ミニペンチ(ルアー用)を持っていたのですが、長年の酷使に耐えかね先日壊れました。仕方なく大工箱から出してきた100円のペンチですが、結構使い勝手がよく重宝しています、ハハハ。
  6. 懐中電灯
    ナショナルの単3×2タイプです。照度は落ちますが、軽量コンパクトなのでポケットに入れるのに都合よく、重宝しています。
  7. ハリス
    銘柄は気分で変えることもありますが、たいてい東レ製を使っています。小物釣りには0.8〜1.2号、チヌ、スズキ狙いには1.2〜1.7号を3巻ずつ程度、入れていきます。
  8. ウキ止め糸
    渓流用の目印毛糸を使っています。糸を痛めず、海面でもとても見やすいので長年使っています。仕掛けによってはハリスを使うときもあります。
  9. 予備ピンオンリール
    強力なベルクロで取り外しできるようにしており、鈎外しなどをつけています。あまり使わないのですが、キス釣りやハゼ釣りには便利ですね。
  10. オモリ入れ
    1〜3号の中通しオモリ、2〜5号のナス型オモリを収納しているミニケースです。
  11. ポーチ
    お気に入りHarleyHansenのポーチです。ケミホタル、アタリウキ、飛ばしウキ、予備の電池、仕掛けなど、その時の釣りものにあわせて中身を入れ替えています。
  12. 携帯電話
    他の人も含めて、万一の時の連絡手段です。

落とし込み釣り用のコーディネイト(goofishさんの波止ベスト)

落とし込みはチヌに特化した波止釣法ですから、仕掛けも相当に専門化しており、ベストにもそれらを上手く収容する機能が必要です。以前は落とし込み専用ベストというものも発売されていたぐらいです。ここでは読者のコーディネイトを参考にさせていただきましょう。※以下コメントはすべて笑魚

ベストはASICSタラスブルバの高級品です。やはり釣り具メーカーよりもファッション性は高いので、こだわる人にはこのようなブランドをチョイスするのもよい選択です。ベストの右側にタオルをぶら下げられるように、ドローコードを取り付けてあるのがミソですね。

  1. ピンオンリール
    スライド式のハサミです。切れ味はともかく使い勝手はいいですね。
  2. ピンオンリール
    珍しい2連型のピンオンリールです。爪切り型のラインカッターと鈎先を研ぐシャープナーが装着されています。用意周到です。
  3. 懐中電灯
    ナショナルの単3×4のハロゲンタイプですね。重いのと電池の持ちが悪いのが欠点ですが、海面を照らせるほど明るいのが長所です。goofishさんは懐中電灯の取り付けに太い綿テープを上手に利用されています(右図)。皆さんもこれを参考に、奥さんに頼んでみて改造してはいかがですか。
  4. 仕掛け入れ
    落とし込みに使うパイプ目印5セット入り。この数量で大抵間に合うはず。
  5. ハリス
    クレハ製ですね。1.0/1.2/1.5号だそうです。
  6. 鈎ケース
    6アイテム入り。笑魚と同じケースです(マグネット付)
  7. ガン玉入れ
    6アイテム入り。落とし込み用の大きめのガン玉にあわせたケースです。
  8. 鈎ケース
    6アイテム入り。落とし込みの人はたいてい鈎オモリを打つので、このように予めセットしたものを、通常の鈎ケースとは別に用意しています。現場で便利ですね。
  9. ストリンガー
    過去に2セット10本で足りなかったことがあるそうで、予備も携帯されています。匹数対応だけではなく、広い釣り場だと助かることも多いでしょう。カラビナをつけて、ワンタッチで外せるようにしてあるのが工夫ですね。
  10. ストリンガー
  11. ストリンガー
  12. ペンチ
    脱落防止に短い尻手ロープがついています。笑魚は防風ライターに…ハハハ。

磯釣り用のコーディネイト(笑魚のライフジャケット)

2着持っていますが汚い方を紹介しましょう(笑) ライフジャケットには珍しい3Lです。悲惨なほど傷んでいますが、これの前に着ていたライフジャケットよりは大分まし…ハハ。基本的には波止用と同じです。変わるのは鈎、ハリスの種類とサイズが増えることと、円すいウキを入れたポーチに入れ替えるくらいです。ウキは行く釣り場によって多少中身を入れ替えますが、大体0〜1号まで20個程度ポケットに入れています。

ベルクロ(マジックテープ)の強力タイプをベストに縫い込んで、ピンオンリールを素早く脱着できるようにしているのが、ミソです。

さて参考になったでしょうか。ベストは上手に使うととても荷物がまとまります。竿とクーラー(場合によれば竿と餌箱だけ)を持つだけで移動できます。人によっては餌箱もベストに取り付ける人がいます。釣りはフットワークが命、皆さんも工夫してみて下さい。