釣りのタックル研究室

タックル研究室

考察・竿の調子と長さ

竿にこだわり出すと、皆さん必ず調子ということを上げられます。古来調子がいいとか悪いとか、ものの善し悪しの判断にも、調子という言葉はよく使われます。道場でも竿の話が出ると、必ずこの調子という言葉が出てきますが、大抵の方が勘違いされています。また、竿の長さについても固定観念の方が多いようです。今日はそこらの交通整理をしてみましょう。

竿の調子について一番多い勘違いは…

「胴調子だから穂先が繊細でよろしい」「先調子だから穂先が固い」というご意見が多いようです。まったく間違いとも云えないのですが、やはり勘違いというべきでしょう。実例を上げて説明してみます。

図のA〜Dをご覧下さい。Cが一番先端の曲がりが小さいですね。穂先が固いということです。一番大きく曲がっているのはDで、一番柔らかいということです。つまりアタリの表現が大きく喰い込みに優れているということです。ではAとBを比べて下さい。いずれも曲がりは同じですね。ただ曲がる位置が違うため、見た目は随分違います。アタリの表現という点では、ストロークは同じでもぶれが大きいBに軍配が上がります。筏竿では小さな穂先の変化でアタリを読みますから、特にこの穂先には敏感です。変化が大きく出るのでDを好む人も多いようですが、うねりに弱く前当たりを取りづらいと云う人もおり様々です。

さて次はEとFを見て下さい。同じ負荷を掛けたものを想定しています。Eはいわゆる先調子、Fは胴調子ですね。これが磯竿なら、穂先は曲がりきってストレート、すでに負荷は掛かっていない状態です。つまり穂先の曲がり具合など、全く関係ないのです。竿の調子というのはこの魚を掛けた状態をいいます。それも竿の反発力、ハリスとのバランスが試されるぎりぎりの状態での曲がりを指します。

同じ調子、固さの竿なら、穂先を固く仕上げるほど胴に早く重みが乗りますから、僅かですが感覚的に胴調子寄り、穂先が柔らかいほど胴に乗るのが遅くなりますから、先調子気味になります。いいかえると胴調子の竿だから穂先も柔らかいだろうというのは、単なる思いこみです。またA〜Dの説明でお分かりでしょうが、柔らかい=繊細ということでもないのです。アタリや喰い込みに素直に追従する動きというのは、材質の選定など作り手のセンスが問われるところです。

一般に胴調子かつ軟調気味で作られるチヌ竿などを持つと、穂先のぶれを大きく感じるために穂先が柔らかいと思いがちなようです。ちゃんと確認したいときは、穂先を手で軽く曲げてみることです。すぐに違いがわかります。穂先にこだわるのも、調子にこだわるのも、釣りのスタイルです。しかし穂先の作りと掛け調子を混同しないようにしましょう。言葉のイメージだけで判断せず、決めてかからないことです。

参考までに笑魚の好みは、ウキ釣りはそこそこのサイズを狙うなら昔からいわれるところの七三本調子がベストです。穂先はトラブルの少ない固い方が好みです。探り釣りならは、穂先はやや柔らかめ、胴の強い八二先調子が扱いやすくていいですね。もっとも竿などそこそこ使えれば何でもいいじゃん〜という所もあります、ははは(^◇^;)

下手の長竿

道具好きの皆さんのために、竿の長さについても書きましょう。道場でも竿の長さについては一言ふれていますが、やや説明不足だったかも知れません。というのはメーカーの商品ラインに顧客が洗脳?されていることまで、考慮して書いていないからです。今回はここを押さえて書きますので、これから購入しようかと思っている人はよく考えて下さいね。

いやでも最適な長さを覚える釣りもある

ウキを使わない釣り〜つまりミャク釣りやヘチ釣りをする人は、すぐに最適な竿の長さを身体で覚えます。何故か〜ポイントを直撃する釣りですから、仕掛けと身体が連動しなくてはいけません。そのため、釣りよい釣りづらいが経験的にすぐ会得できるからです。短い順に上げると…テトラの穴釣り/1m前後、小物狙いの際の脈釣り/1.2〜1.8m、チヌ狙いのヘチ釣り/2.1〜2.7m、落とし込み釣り/3.6〜4.5m、前打ち釣り/4.8〜5.3m、メバルの探り釣り/4.5〜5.3mといったところでしょうか。

後は自分の通う釣り場や釣り方で、長さや固さを取捨選択するわけです。長さは5.3mが最大です。一時メバル専用の6.3mが発売されたこともありますが、やはり売れなかったようですぐに生産中止になっています。穂先に集中する釣りですから、長くなってくるとぶれますし、微妙な操作もしにくいということでしょう。いずれにせよ、この手の竿に関しては、アドバイスすることもありません。その地の釣具屋さんと相談しましょう。

長さは釣り場に聞く

大体竿の長さは、フィールドをまず考えて選ぶのが大基本です。渓流の竿はなぜ短いのか、清流用の竿は何故長いのか、バスロッドはなぜ短いのか、磯竿はなぜあの長さなのか?ヘラ竿はなぜあんなに長さのバリエーションがあるのか?そこらをじっくり考えて下さい。

尺貫法?

ところで、竿は本来尺貫法が基準になっています。ですから尺(1尺=30cm)を覚えておくと便利です。30cmの倍数が竿の基本的な長さになるわけです。ヘラの世界ではいまでも12尺竿(0.3m×12=3.6m)などと云っています。その昔は二間竿というような言い方もありました。一間(けん)は6尺(0.3m×6=1.8m)ですから、二間竿は3.6mということになります。

問題は波止のウキ竿じゃ

さて今回のお話の趣旨はウキ用の竿です。実は現在波止専用のウキ竿というのは発売されていません。「うん?そんなことはない。現に使っているぞ」という方も多いでしょう。しかし波止チヌに特化した落とし込み竿のような存在はないのです。皆さんが使っているのはいわゆる磯用に開発された磯竿を単に転用しているだけです。

「ウキ釣りに波止も磯もないじゃろ?」というご意見もあるかも知れません。問題はその長さと固さです。いわゆる磯竿というのは磯の足場に合わせた最適な長さなのです。ですから昔から磯は三間竿(5.4m)、波止は二間半(4.5m)がいいとされてきました。昔のグラスの磯竿は現在の石鯛竿より重かったですから、片肘で持てるようなものでなく、腰だめで支えて持ったものです(そんなに苦労してもアジ一匹の日があったなぁ…)。いくらかさばろうと、磯というフィールドではそれだけの長さが必要です。逆に言えば、短い竿しか持っていない人が磯に立てば、すぐに後悔して釣具屋に走るでしょう。

固さも問題じゃ

大体、磯竿の1号といえばグレの40cmオーバーが余裕で仕留められるように作られています。グレの40cm超を釣ればお分かりでしょうが、引きはスズキの80クラスに相当します。突っ込みの鋭さはチヌの倍といっていいでしょう。ですから腰がとても強いですし、操作性も円すいウキを駆使する釣りに特化しています。そういうスペシャルウェポンを持って波止のメバルやセイゴ、チヌを釣るというのは・・・どうなんでしょう?

私は道場の中でも磯竿とチヌ竿と微妙に云い分けています。波止でウキ釣りをするなら少し短めのチヌ竿がベストなのです。長い竿のメリットというのは殆どありません。世界的に見て5m以上の竿を振り回しているのは日本だけです(スペインが長い?)。それは磯釣りという特殊なジャンルの釣りの伝統があるからです。釣りもの、釣り方、足場が違う波止で、5.3mという長さをそのまま鵜呑みにするのはナンセンスです。

長い竿にメリットはないのか

はっきり云っておよそありません。5.3mという竿が釣り場にしか並べられていませんから、それが標準だと思われるかも知れませんが、それはあくまでも磯の標準であって、波止では長すぎます。下手の長竿という諺があるように、長い竿には…風に弱い/持ち重りする/穂先絡みしやすい/ぶれる(穂先が見づらい)/当然操作性が落ちる/テコの原理で掛けた魚を実質以上に大きく感じる/タモ入れに馴れていない人では往生する…など多大な欠点があります。

唯一、固定にしたときのウキ下が長く取れるというメリットがありますが、波止ではどうでしょうか。また長いとタメが利くという人もいますが、筏竿で大チヌをバンバン釣る人に云わせれば笑止千万でしょう。古来下手の長竿という言葉もありますからね。

長い竿が有り難いときもある…

波止でしたらテトラです。通常のテトラでしたら4.5mでも問題ありませんが、時々巨大なテトラの波止があります。こういう場合は釣り座が、海面からかなり遠くなる場合がありますので、長い方が有利です。磯と同じ条件になるわけですね。

管理人の経験では…

ウキ用の竿としては、波止から磯まで3.9mから5.4mまで20本ばかり使ってきましたが、長さだけで判断すれば、やはり波止には4.5mがベストです。これより長いものは持て余すだけですし、あまり短くても仕掛けの自由度が低くなるとか、海面に穂先を付けたいというような時に届かないこともあります。磯は標準の5.3mより少し短い5mが好みです。大体釣りの名手といわれる人で、長い竿を好む人はいません。淡水の釣りでも名手は短めの竿を駆使します。釣りに限らず、どんな分野でもそうですが、名手名人ほど素人が喜ぶような扱いやすい道具を好むものです。しかしある程度釣りに馴染め始めた人ほど、長い竿、固い竿に憧れるようです。釣果にはまったく関係ないのですが、釣り人の共通心理ですね(笑)

ではなぜメーカーは作らないのか

波止専用と銘打たれたウキ竿など誰も買わないからでしょう(笑)ウキ釣りといえば、磯竿という固定観念が定着していますし、メーカーの看板を背負うような波止のウキ名人や、トーナメントもありません。第一何万円もする磯竿を買ってくれる人達がたくさんいるのに、わざわざブランドイメージの下がるようなものを作るはずはありません。そういったものは東南アジアのメーカーが作る安価な万能竿に任せようという考え方でしょう。

夢を叶えてくれたら…

以前紹介したS社のチヌ竿は、価格も手ごろでなかなかだと思いますが、5.3mという固定観念を持つ仕入れ担当者や顧客のせいで、4.5mの在庫がないようです。取り寄せになるので、店頭で持って確かめてもらえないのが残念です。持ち重り感は長さの二乗に比例しますから、80cm短くなると劇的に軽快感が増すのです。逆に言えば少し長くなるだけで等比階級的に重く感じます。さて日本中たくさんいるはずの波止のウキ釣り愛好者のために、メーカーさんがこんな竿を発売してくれたらいいのになぁ〜と思うようなウキ専用波止竿を書き出してみました(^◇^;)

  1. 波止メバル海釣り道場バージョン
    4.5m00号六四胴調子4本半継ぎ/ハリス1号まで
    仕様)チタン外ガイド、穂先カーボングラス、握り本籐巻き、チタンシート
  2. 波止チヌ海釣り道場バージョン
    4.5m0号六四胴調子4本半継ぎ/ハリス1.5号まで
    仕様)チタン外ガイド、穂先カーボングラス、握り本籐巻き、チタンシート
  3. 波止スズキ海釣り道場バージョン
    4.5m1号七三本調子4本半継ぎ/ハリス2号まで
    仕様)チタン外ガイド、穂先カーボン、握り総糸巻き、チタンシート

こんなのを発売してくれたら、すぐに買うけれどもなぁ(^◇^;)v

実際には入手不可か?

最近はメーカーも生産を絞っているので、昔のように長さのバリエーションを作っていません。ですから短い磯竿を欲しくなっても、気に入ったブランドでは入手できないかも知れません。そういうときは4.8とか5mという選択肢もあります。ちょっと違うだけでも大違いなのですよ。またチヌ用と銘打たれたものの方が、同じ磯竿でも長さのバリエーションが多いと云うことを覚えておいて下さいね。

おまけのヒント
穂先でアタリをとる沈め探り釣りを多用するのでなければ、ウキ釣りに穂先の繊細さは必要ありません。むしろ頑丈でトラブルの少ないものを選ぶべきです。 メーカーの宣伝文句を鵜呑みにしないでね。