釣りのタックル研究室

タックル研究室

細いラインなら釣れるのか?

道具に関する書き込みで一番多いのは、竿の善し悪しとラインの号数です。特にハリスの太さが気になるようです。ベテランになると、トータルなバランスというのが分かってきますから、特に太さに対するこだわりがなくなってくるのですが、釣りが分かり始めた中級者ほど、この問題に関する関心が高いようです。今日は、ハリスと道糸に分けて、この問題を取り上げてみましょう。

細ハリスなら釣れるのか?

釣り界永遠不滅のテーマです。「魚に糸は見えているのかなぁ…」ちょっと年季の入った釣り師同志の会話なら、一度は議論のテーマになったはず。この論議は、最終的には太ハリス派と細ハリス派との論戦に通じています。

「見える!だから簡単に釣れないのだ」
「いや!魚はすごい近眼だから見えていないはず」
「見えていても魚は賢くないから気にしていないのよ」
「糸が細いほど、アタリが出るのは事実だからやはり多少は見えているさ」
「見えているなら、太かろうと細かろうと食ってくる訳がない」
「糸の太さを気にして食っているとは思えんわ〜」
「あぁ〜わいにはわからん!」

ホントの所どうなんでしょう?書籍や雑誌を読んだ事柄を、ちょっと整理してみました。

  1. 魚類学者によると、糸が魚に見えているのは間違いない
    しかし、それがエサの食いとの相関関係に影響を与えているかどうかには言及されていません。
  2. 魚には学習能力がある
    知能がないといいきる学者や釣師もいますが、私の経験ではやはりあると思います。短時間で危険を学習し、回避するという現象を確認したことがあります。
  3. 視覚能力の低い魚でも、他の認知能力で物体の存在を知ることは可能
    真っ暗闇でも物にぶつかるような魚はいないでしょう。※水槽で実験済み
  4. ある程度の色を認知する
    ある水族館では色信号を利用した芸を魚に仕込んでいます。

う〜ん、やはり糸はしっかり認知されているようですね、できるだけ罠をカモフラージュするという意味で細ハリスにしても意味はないようです。だいたい大判石鯛を釣る仕掛けは20号ハリスです。これぐらい太くなると見えないはずはないですし、糸が危険な存在だと認知していたら食ってくるわけもありません。魚種にもよるかもしれませんが「細ハリスなら釣れる=見えにくから」という論理には無理があります。少なくとも見えにくいからと釣れると云う理由は当てはまらないようです。

細ハリスにしたらアタリが出た

以前、面白いことをベテラングレ師から聞いたことがあります。紀州のある沖磯には、真夏になると例年大型尾長が回ってくるそうです。出没するポイントは決まっていて、そこでは4号以上掛けてもまったくアタリが出ず、2号以下にすると食ってくるそうです。もちろんプチンプチンと切られるだけ… この場合、グレには2号以下のハリスは見えていなかったのでしょうか?また4号ハリスを食わなかったのは見えていたからでしょうか。私自身の経験では全くアタリが出ないときに、近場のグレ仕掛けをハリス0.8号+スレ鈎の組み合わせに変えると、アタリが連発したことがあります。

喰った瞬間、反転したグレ

ある釣り番組放送(水中撮影)を見ていたときのことです。右往左往してマキエを拾っていたグレの群から、いきなり一匹だけが底を目がけて反転したのに興味が引かれました。その一匹は鈎をくわえていたのです。仕掛けがたるんでいたからでしょうか、2mほども魚は潜ったのですがウキにアタリは出ず、釣り人はその魚を釣り上げることはできませんでした。このグレは糸の付いた餌を喰ったわけですが、本当にびっくりしたように底に潜りました。まだ鈎掛かりしていないにも関わらず、本能的に底へ反転したわけです。少なくとも口が感じた違和感に危険を察知したわけですね。

糸にも大きい抵抗がある

喰いが悪いときは小型ウキに交換しろとよく云います。しかしある人が計算したところ、なんと水中の糸の表面積の方がウキより大きかったそうです。水中抵抗は糸の断面積に比例すると考えると、太ハリスの違和感というのは相当なものでしょう。それまでエサをくわえたときと明らかに違う触感=違和感があれば魚は本能的に嫌がるはずでは?太刀魚でいうとワイヤーよりもナイロンの方が食い込みがいい(検証済み)とか、底物ならケプラーがいいとかいう例は枚挙がありません。仮説ですが、視覚よりも触感の方が魚の危機回避本能を刺激するのではないかと思うのです…。

軽い仕掛けにしたら確かに釣れた

経験談ですが、日本海でグレ釣りをすると、オセン(ネンブツダイ)という餌取り軍団に苦しめられます。憎たらしい魚なのですが、意外と美味しいのです。ちょうど釣れず暇なときに、これを喰ってやろうと考え狙ったことがあります。面白いもので、狙って釣るとなるとなかなか釣れないものです。さすが餌取りだけのことはあります。

この場合も仕掛けをどんどん繊細にしてゆき、ウキを交換するだけでなく、手持ちでは一番繊細なハリス0.8号アブミ3号まで落として、やっとアタリが取れ喰わせることができました。ごつい仕掛けだと魚が食っていても明確なアタリが出ないので、合わせることができないのですね。このケースからは、繊細な仕掛けの方が感度が高い=アタリがよく出る=釣れるという事実が見えてきます。

ハリス落とすな 鈎落とせ

グレ釣りの格言です。ハリスを落とすより、鈎を小さくした方が効果があるということです。グレはエサを吸い込んで捕食しますから、少しでも違和感の少ない方が結果として、釣れると云うことでしょうか。

細いハリスは水中抵抗が少ない

結果、仕掛けの馴染みがよく、ウキへの反応がいいというメリットがあります。ですから繊細なアタリを取りたい釣りでは当然メリットがありますが、頭で分かってもなかなか見えないだけに、体感しにくいものです。

  1. 少し整理してみると…
  2. 細ハリスは見えにくいから釣れるという論理には無理がある。
  3. 細ハリスほど水圧がかからないから、結果魚に対する違和感の軽減にはなる。
  4. 細ハリスほど仕掛けの感度が高まり、結果としてアタリを表現しやすい。

とりあえずまとめてみましたが、私自身はこの釣り界最大のテーマをいまだ検証し切れていません。しかし、ただ見えるから喰わないと云う理屈は、あまりにも魚を擬人化しているような気がします。読者の皆さんはどうお考えですか?

細い道糸なら釣れるのか?

釣れます。これはハリスと違って断言できます。皆さんは、どの位の太さの道糸を使っているのでしょう? まぁ2〜3号くらいかな〜一度思い切って1.5号くらいの糸を使ってみませんか。ポンド表示なら6ポンドぐらいです。かなり細いですが、間違いなく釣果が向上するはずです。強度だけで糸を選んでいる間はまだまだです。細い糸を使いこなすのは腕だとよく云いますが、これは反対で太い糸ほど難しいのです。魚を掛けてからの心配より、魚と遭遇する確率を上げるのが、釣りの真骨頂です。

断然糸がさばきやすくなる

水切りがよくなり潮に糸が取られにくくなります。もちろん風にも強くなるので、向かい風でも仕掛けがよく飛びます。風や風波をはらみませんから、ポイントから仕掛けが離れにくくなります。

感度が上がりアタリが出やすくなる

細い糸は感度がいいので、アタリも明確に出やすくなります。仕掛けが馴染むのが早いので、深釣りにも威力を発揮します。細いと巻き癖がつきにくくリールへよく馴染みます。魚から見た抵抗という面では、大きなウキから小さなウキに変えるより効果があるのです。

タックルバランスが決め手

また強度が落ちる分、必然的にタックルバランスを考えるようになります。弱い糸には弱い竿が最大の強度を引き出します。バランスのよい仕掛けは、思っているよりも魚の強引に耐えられます。1.5号の道糸でもレギュラークラスのチヌやスズキなら充分取れます。

道糸の使い分け

ハリスまで細くする必要はありません。ここが弱いと問題です。あくまでも道糸がものをいうのです。大物が期待できる釣り場で不安ならば、1.7〜1.8号という選択もあります。以前は2号以下の道糸は入手しにくかったのですが、昨今はウキフカセの流行で素晴らしい性能の細糸が店頭に並んでいます。ルアー用のフロロを苦労して巻いたり、筏用を流用したのが嘘のようです(^◇^;) ちなみに笑魚は1.5/1.8/2/2.2/2.5号をそれぞれスプールに巻いて使い分けています。

魚種にもよる?

細ハリス小鈎といいます。確かにハリスを落として鈎を小さくすると、喰い渋りに効果があるのは確かです。しかし魚にもよります。私の経験では確かにグレには効果的ですが、チヌやスズキにはどうでしょうか。ばらしやすくなりますので、ハリスそのものを落とすのは考え物です。一般的にいわれているサイズのワンランク下まででしょうね。

結びの技術が決めて

いいことずくめですが、問題はやはり強度が落ちると云うことです。しかし道糸は細くしても案外切れません。ナイロンだと伸びるからです。またハリスより根ズレの心配がない部分安心です。問題は結節部分です。サルカンとの連結部ですね。結びが下手な人やクリンチノットのように弱い結び方しか知らない人は、まずここが切られるはずです。糸同士を直結したり、強いサルカン結びをマスターすれば、2号道糸に2.5号ハリスを結ぶような芸当もできます。

道糸の個性を知る

道糸にも色々あって、視認性がよくしなやかで浮力のあるものは、強度がやや落ちるようです。逆に腰が固く視認性が劣るようなものは、使いづらい反面、強度に優れ水切りがいいものが多いようです。しなやかさは細くなることである程度解決します。ちょっと高級なものを一度使ってみて下さい。もう太い糸には戻れないはずですぞ(^^)b