DIYホビー専科

釣りのDIY

飼育の基本と解説

釣りを始めるようになると、自然に海の生物に親しむようになります。お子さんなら浜辺で採集してきた小生物を飼ってみたくなるでしょうし、生き餌の確保や節約という意味で飼育を始めたくなる人もいるでしょう。また熱帯魚鑑賞のように、チヌやサンバソウを飼って生態を観察するという猛者もいます。エビやカニを飼うのは海水魚より簡単ですが、それでも大抵の人が失敗すると思います。

我々陸上の生き物とは全く違う生態で暮らしているからです。ですからコツというよりは、その環境や生存のための条件を再現する必要があります。幸い我が家は熱帯魚を趣味としています。ここでは飼い方以前に、ぜひ覚えていただきたい生存のメカニズムを説明してみたいと思います。ざっと理解するだけで10倍死亡率が低下するはずです(^^)b

まず覚えて欲しいこと

水の中というのは随分環境がいいのだ
実は水の中というのは、空気中よりは随分生物にとって環境がいいのです。風が吹かない、温度が安定している、プランクトンのような餌が豊富という点です。このことを忘れてはいけません。釣り人ならば、水温が2,3度変わっただけでも餌を食わないということをご存じですね。陸上の生物と比べると随分柔なのです。飼育も同じことで、水温が大きく変化したり環境が激変するようなことをすれば、魚やエビはすぐに死んでしまいます。このことを忘れないで下さい。綺麗な水がいいだろうと、ばさっと水換えをするようなことは、あくまでも人間の理屈です。水中の生物は急な環境の変化には順応できません。

やはり酸素が必要だが…
「魚には酸素が必要だからブクがいる」といって、水槽を買うと慌ててブクを買いに走る人がいます。実は当たらずとも…遠いのです。空気と水をはき違えた考え方です。水中にも酸素はあります。詳しくは溶存酸素というのですが、魚はこの酸素をエラを使って体内に取り入れています。この酸素は水面がある程度、動いておれば自然と水中に溶け込んでいきます。特にブクは必要ありません。また実際にはブクから出る空気は、殆ど水に溶け込むこともないのです。見た目には安心感がありますが(^▽^)

それでもブクがいるのでは…
余談ですが、エビを餌に使う人は、ブクの電池が切れるとエビが死ぬと焦る人が多いようです。これも水生生物と陸上生物の混同です。エビは空気中でも、おがくずなどで上手に保管すると1昼夜以上生きています。エビが死ぬのは酸素不足からではありません。しかし、どうしてもブクから酸素を溶け込ませたいときは、極めて小さな泡の出るものを選ぶことです。熱帯魚店では、少し高価ですが霧のような綺麗な泡が出るブクの先(ミクロストーン)が売っています。多少は溶存濃度があがります。釣り用のブクでもナショナルの高級品では販売されていますね。笑魚も長らく使っていましたが、なんとエビブクを洗うときに海に落としました(=^o^=;)

ブクの効用
飼育の場合、ブクを使う最大のメリットはpH(ペーハー)を上げる役割です。長らく飼育を続けていると、水槽内のペーハーはどんどん下がっていきます(酸性濃度が高くなる)。pHというのは環境を良さを計る目安になります(最適化されていないと生物は昇天する)。ブクを使うことによってpHをある程度、上げることができます(二酸化炭素を逃がす働きがある=アルカリ度を高くする)。金魚のようにとてもpHを下げる魚には有効です。ちなみにヤマトヌマエビに向いたpHは7.0(中性)です。

濾過こそ命

あっさり昇天する理由
ずばり自家中毒で死ぬのです。中毒の原因はアンモニアです。水生生物が糞をすると、それは急速に分解してアンモニアになります。ご存じかもしれませんが、アンモニアは猛毒です。エビブクでエビを活かそうと一生懸命ポンプを動かしても、やがては死んでしまうというのはこれが原因です。これを防ぐのが濾過システムです。

濾過システムには二つある
ゴミなどを取る物理濾過と、アンモニアをほぼ無害なものに変える生物濾過とがあります。これも多くの人が勘違いしています。エビが元気になるといって、金魚用のフィールターをエビブクに入れることを推奨している記事などを見ることがありますが、浮遊するゴミが多少はフィルターに吸い取られますから、見た目は綺麗になります。しかし水中に溶け込んだアンモニアは除去できません。つまり効果は全く期待できないのです。このやっかいなアンモニアを変換するのが生物濾過です。詳しい説明は長くなるので避け、要点を述べましょう。

濾過のプロセス

糞・餌が分解

アンモニア(強毒性) 

善玉バクテリアが分解

亜硝酸塩(弱毒性)

さらにバクテリアが分解

硝酸塩(ほぼ無害) 

植物プランクトンがさらに分解

窒 素(無害)

 空気中へ放散

図で見るとお分かりですね。アンモニアは善玉バクテリアの餌になり、硝酸塩ができ・・・・・・というプロセスが繰り返され、最後は窒素となって空気中に還元されます。一般に最終プロセスの硝酸塩を分解する植物プランクトンは、水槽では存在していません。ですから水換えという行為が必要になるわけです。これを経験的に分かっていた昔の人は偉いということになります。

自然界の干潟や珊瑚礁というのは、実はこのプロセスを実現している広大なフィルターなのです。砂浜や珊瑚は、このバクテリアが住み着くのに最適な環境です。ですから水が生物濾過され綺麗なのです。珊瑚が死滅したり、埋め立てで海岸線がなくなると、水質は一挙に悪化します。これは川の護岸も同じことです。コンクリートは水辺を駄目にします。

ちなみに水道の水はゴミを取る物理濾過、海に放流される下水は、物理濾過と生物濾過を組み合わせて浄化に努めています。小さな水槽も大自然も同じメカニズムなのですよ(^▽^)

さて、活性炭という言葉をよくお聞きになると思います。この活性炭もアンモニアの除去には役立ちます。化学濾過と呼びます。水槽を新しく立ち上げたりしたときに、一時的に使うには扱いやすく便利なのですが、ちょっと弊害もあります。これについては次回に…生物濾過の実現がツボ

自然界ではこの濾過プロセスがオートマチックに働いています。ですから水生生物を飼育するということは、いかに上手にこの濾過プロセスを、再現させるかということにかかっています。餌のやり方などということは、二の次といってもよいでしょう。

別章でご紹介した尺春告魚さんのエビ飼育は、非常に簡単なシステムで難しい水辺の環境を再現しています。見た目はバケツですから、素人目には簡単そうに見えますが、実は高度なノウハウが詰まったシステム、飼育法です。形だけ真似ても無理です。もし参考にしてエビを飼育するなら、必ず書いてあることを順守しましょう。

昔から魚の飼育には水作りが肝心といいます。素人にはカルキ抜きぐらいしか思い浮かびませんが、水を作るということは濾過に必要な善玉バクテリアを繁殖させるということです。大体一つの水槽に必要なバクテリアは、3ヶ月くらいで定着します。魚やエビ、貝を飼いたいと思ったら、まず水(=バクテリア)を作りましょう。飼育は水作りから始めます。次回はいよいよ実技編です(^^)