笑魚のB級コラム

B級コラム

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小浜沖奮戦記

「おぉ〜天気になってよかったなぁ〜」
「ほんまやねぇ、ふふふ♪」

絶望的な降水確率だったのが嘘のように、天気がいい。おまけに風はなく海はベタ凪ぎ、これなら沖もうねりはなさそう。釣り日和ではある。久しぶりの沖釣りだが、船酔い薬のお世話にならなくてよさそう。奈良の設計事務所のメンバー、釣りの幹事さん、私たち夫婦の7名が乗り込む船は大型の仕立て船、人数はもちろんのこと、腕前を考えると私たちには勿体ないくらいだ。

この船は2度目になる。前回は、若狭湾にハマチが湧いていた年で、メンバーはハマチ狙いだった。仕掛けはサビキ仕掛けで、食い付いたアジをすぐに揚げずにおくと、そこにハマチが食い付くという横着仕掛けだ。ぶちぶち仕掛けを切られて騒ぐメンバー達を横目に、僕は一人秘かに大真鯛を狙って、大トモから完全フカセ10mハリスを流し、孤高の釣りを押し通した。サビキでハマチを狙うなどと云うのは、儂の美学が許さぁん! 見栄をはった結果は…余った魚をお情けで分けていただくという海釣り道場総裁としては、誠に面目ない次第で終わってしまった。

「あぁ〜郷にいれば郷に従え、沖釣りは船頭任せでないとやっぱりいかんなぁ。しかし何時かはリベンジを果たせねば!」

今回は、素直に地元の釣りに習うことにしたので、前日の喰わなきゃ損々蟹づくし宴会で情報入手を図った。蟹を片手に、一杯機嫌の地元の幹事さんの語るところによると…

「くちゃくちゃ〜ハマチが今年もいいみたい。昨日は50ちょっとのヒラマサも上がったじょ。まずアジを釣って泳がして青物狙い、底とったらヒラメやバト(マトウダイ)もくるじょ♪くちゃくちゃ〜」

『ヒラマサ?→高級食材→卸値キロ7000円→管理人の夕食には出番なし→ここで釣らねばいつ喰える?→釣ったら元が取れるじょ!』
脳内コンピュータが、この方程式を解くまでかかった所要時間は、Pentium4も土下座をするという僅か3マイクロセカンド!よっしゃぁ〜今年は小政狙いやでぇ!

朝一番、釣具屋で仕掛けを物色、大型青物用のサビキなど置いていないので、胴付きでやろうかと思っていたら、面白い仕掛けを見つけた。イサギ用の6本胴付き仕掛けで、上鈎3本がハゲサビキ、下針3本がハマチの引きにも耐えそうな頑丈なアジ鈎だ。幹糸7号ハリス5号だから、小政やったら捕れるはず。しかし鈎がでかすぎるかな〜肝心のアジがかからんかも?(この杞憂は後で半分的中!)。ついでに棚を物色していたら、山陰専用の真鯛仕掛けで、幹糸12mに長ハリス付という面白そうな仕掛けを見つけたので、これも購入することにする。移動して、まずは小浜港で船頭さんに挨拶。

「おはようございまぁ〜す。よろしくお願いしまぁ〜す〜」
「 ところで船頭さん、今日は何を釣らせてくれるの♪」
「小鯛やな、ボソッ」
「げっ!」

その昔、恐怖の春の嵐に遭遇した若狭大島を左手に見ながら、船はどんどん沖へ。海はあくまでも蒼く、久方ぶりに頬に当たる潮風が気持ちいい。やがて船は高浜沖で停船。船頭さんの第一声で全員仕掛けを投入!

潮はとろい。釣りやすいが大物は無理か。道糸の色を見ると、水深は50mちょっとぐらい。情け無いことに、今回使うリールはジギング用パワーハンドルをつけたAmbassadorだ。手持ちの船用胴付きリールに、糸を巻いていなかったのである。もちろん、アブにカウンターというような気の効いたものは付いていない。ちょっと不便だけれど、そこは腕でカバー?することにする。道糸はPE3号。下鈎のエサはオキアミ。一投目、底をとった途端、ククッと穂先が引き込まれた。

「まずは根魚かいな。やっぱり才能やな〜ほほほ♪」
50号オモリに、コマセカゴを付けているから結構重い。魚の引きを楽しみながら、久しぶりの引きを味わう。
「あまり大きないなぁ〜そやけど、でかいガシラやったら幸せになるなぁ♪でかいアコウやったら、もっと幸せになるなぁ♪」
しかし引きに根性がない…うん?やばい…

やがて煌めく海面から姿を現したのは…
長年の宿敵、若狭名物特大クサフグ!
「あああ…先が思いやられる…」
そこへ船頭さんがマイクで追い打ち!
「フグは、ほらんといてなぁ〜わしがもろて帰るからなぁ〜」

そのまま皆にアタリが出ないので、音海沖へすぐ移動。そこで全員にアタリが出始めた。秘かに狙っていた本命ではないが、船頭さんが釣らせたかった小鯛である。小鯛といってもチャリコサイズではなく、充分塩焼きサイズだ。時々30cmオーバー、それに良型のアジ、ハゲが混じる。

全員一通り釣れているようだ。年下の友人F君は、すぐ船酔いするたちなので、毎回船室でひっくり返っているのだけれど、今回は超ベタ凪なので、元気がいい。海釣りは素人だが、さすがに年季の入ったバサーなので、馴れない釣りでも様になっている。乗船前に、駐車場で着替えをしていたら、なんと高価なガマカツのライフジャケットで決めてきた。よく見ると手袋もガマカツだ。今年に入ってから、紀州釣りを遊び程度に始めたという。

「やっぱりファッションはトップブランドで決めないとね♪」
「う〜ん・・」
「ガマの帽子もあるけど、今回は辞めたよ〜ん♪」
「う〜ん・・」
「ついでに念願の60cmバスを釣りました♪」
「・・・」

とっさにリアクションが出せずにいたが、竿はきっちり船頭から借りるというので、やっと「すぐ形から入る愚か者め〜」とののしることができた。ははは。

写真は、笑魚を出し抜こうと秘かに戦況を伺うA嬢とF君。油断も隙もないわ!

F君の後輩で、釣りは子供の時以来というI君も、船頭さんの特訓を受けながら、周りに迷惑をかけつつ、まずまず釣っているようだ。一匹でも釣らせたいという船頭さんだから、思わず声も大きくなるみたい。「もっと気合い入れて巻かんかい!」

余談だが、このI君は某国立大を卒業後、なぜか畑違いの街の設計事務所へ勤めたという変わり者だ。新人の癖に、初見の得意先に「僕に任せて下さい!」を連発するので困ると、所長が苦笑していた。罪のない自信家は可愛い。今回の釣り終了後でも「ふふふ、眠っていた釣りの才能が目覚めました♪」などと放言していたので、次回からは釣り馬鹿いのちゃんと呼ぶことにした。

K夫妻はコンスタントに釣果を上げている。ご主人はともかく、奥さんにアタリが連発!だいたいこの奥さんは愉快な人で、磯や船によくご一緒したが、誰よりもアタリの出るのが早い。おまけに毎回けったいな魚を釣る。大体が、燕魚や蝶々魚のような派手な熱帯魚系が多い。年齢に似合わないファンシーカラーが好きだからか?それともB型の熱い血がなせる技か?一匹目を釣ってしまうと、もうお仕舞いとばかりに、後はどんな窮屈な姿勢からであろうと、その場で「ずずず…」と眠り込むという特技を持つ。前日「船酔いが心配〜」と思案されていたけれど、今日はベタ凪なので本当によかった。

「久しぶりやから、道場に釣行記書かなあかんなぁ〜。太公望がうるさいからなぁ〜」などと思っていたら、ぐぐっと竿先を引き込む強いアタリ。朝から鈎外れが連発していたので、追いアタリを待つ。ぎゅーんと締め込んだ所で、竿を立てる。かなりの手応えだ。重量感のある引きを感じながら、えんやらえんやらとハンドルを巻く。今度来るときは、船リールちゃんと持ってこよっと…

さて青物なら走るはずだが、こいつは走らない。
「なんじゃい!ひょっとしたら望外の大真鯛、これなら3kgオーバー間違いなし、昔年の恨みをついに晴らしたか!」
さすが釣り師の女房、いつも間にか、ちゃりこがタモを持って傍に来ている。やがて水面に仇敵の影が…
確かに良型、軽く50オーバーの真鯛ならぬウスバ!とほほ〜道理でよう引くはずや。

「がぁ〜ん!神は我を見放したか…」

と一瞬思ったけれど、鍋にすると結構美味しいことを思い出し、即キープ!ナイフ片手にグサリと締める。神様ありがとう現金なわたし♪ ところで、久しぶりの釣りのちゃりこも絶好調!横目で見ていると、タナをきっちり掴んだようで、チダイやレンコ鯛を上手くかわして、真鯛だけを入れ食いをさせている。しかも笹漬けサイズはリリースと、余裕のあるところが憎たらしい。いかん!ここで差をつけられると沽券に関わると、当方も頑張る。

「ええ引きやじゃ!」
船頭さんが走ってきた。見れば、ちゃりこの竿が根元から曲がっている。竿座に竿をつけたまま、息を切らせてちゃりこのごり巻き。
「おっ!おっ!おっ!」
船頭さんタモを手に取ったぁ!
あれ?引きに見合わない小さな真鯛、一瞬二人が固まる。
「スレは、よう引くのう…」
お手間を取らせ申し訳ありません。

潮が悪くなったので、さらに舞鶴寄りへ移動。見晴らせば、若狭湾随一の真鯛ポイント冠島の沖ではないか。ここで釣らねば男が廃る。ちょとちょこと小鯛を追加、今日一番の良型も混じったところで、納竿。お疲れ様でした。

かなり早めの納竿にも関わらず、全員好釣果という成績で、港に帰って後片づけをしていたら、みんなの釣果を僕の名前で、新聞に載せるという話になった。磯釣り師の端くれとしては面映ゆいが、釣りを再開するいい機会になるかも知れない。

まずは、磯釣りにのめり込むきっかけを作っていただいたK夫妻に、そして今回の釣りを楽しませてくれた船頭さん、幹事さん、若狭の海へ「ありがとう♪」

本日の釣果と道具と献立予定
【真鯛・ハゲ・マアジ・ウスバなど、クーラーいっぱい♪】
笑魚…DAIWAグラシック50号/ABU/PE3号オモリ50号
ちゃりこ…MAMIYAムーチング50号/RYOUBI胴付/PE5号オモリ50号
※今後1週間の夕食献立予定
薄造り・たたき・きもあえ・お造り・昆布締め・潮汁・一夜干し・塩焼き・フライなど