笑魚のB級コラム

B級コラム

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4年生になったら

このようなタイトルをつけると「孫の年齢か!」という突っ込みが返ってきそうである。早いもので「爺といえども高度情報化に遅れをとるわけにはイカン!」と、情報化にはほど遠い釣りサイトを立ち上げてから足かけ4年を過ぎた。その間にはマスコミに取り上げられたり、望外の嬉しいお言葉をかけていただいたりして、すぐ木に登ってしまう万年B級釣り師としては、面映ゆい限りである。

サイトを立ち上げたお陰でたくさんの人と知り合うことができた。インターネットの恩恵か否か、仕事はメールで済ませることが多くなり、世に言う引きこもり状態で人との出会いが少なくなっている我が家には、いいことである。もっとも最近は多忙で、釣りに行くどころかサイトの更新もままならず、新しい記事を期待してくれている読者には、心苦しい限りである。と長い前置きはさておいて、今日のテーマは「釣りと情報」を取り上げてみたい。

当道場のようなビギナーからアベレージクラスを対象にしたハウツーサイトを長くやっていると、色々気が付いたり考えさせられることが多い。ネットの世界といっても、所詮は人間社会の延長・縮図であることに変わりはない。決して仮想現実の世界ではないわけで、人との出会いといった嬉しいことばかりではない。海釣り道場以外にも複数のサイトを立ち上げている筆者がざっと経験したところだけでも、誹謗・中傷・荒らし・著作物盗用・詐欺詐称・勧誘・ウィルス攻撃と、およそ世間で喧伝されているものは一通りである。迷惑行為を超えて、犯罪にかなり近い行為も珍しくない。「くそ〜〜捕まえたら絶対にぶん殴ってやる!」と年に似合わない癇癪を起こすことが、月に一二度必ずある。インターネットの利点であった匿名性による自由な情報発信は、いつしか匿名性に隠れたモラルなき背徳の場になりつつあると考えざるをえない。

幸いにして「海釣り道場」ではこのようなことは少ない。記事を盗用されることが多々あるぐらいで、たいていは読者が「○○のサイトで、記事と画像をごっそり使っていますよ!」と注進してくれる。それでも心得違いの質問メールや、知力の足りない書き込みを見ると悲しくなってしまうこともある。誰かが云っていたように「ネットには通常の社会的モラル・ルールは通用しない。それが嫌ならばサイトなど公開するべきでない」が真実なのだろう。2チャンネルの隆盛を見るとまさにそう思う。なにせかの代表者は「人の口に戸は立てられない」と傲然とマスコミに発言するぐらいだ。「礼節を知る」という言葉も日本には昔からあるはずだが。

コンテンツの整備もほぼ終わり、節目(落ち目?)を迎えつつある「海釣り道場」の今後をどうするのか、頭が痛いことも多い。読者参加型の企画も数多くやってみたが、利用層が低年齢化するばかりで、じっくり釣りと向き合ってみたい人達のコミュニティにはなかなかならない。釣り倶楽部などは共通の趣味と価値観を持つ似たような世代が集まるので、それなりにコミュニティも促進されやすいが、ネットでは小遣いを握りしめた小学生から、定年後を好きな釣りで過ごしたいというような熟年世代までが、いっぱひとからげになってしまう。当然、若い世代がオピニオンだから、管理人の脳軟化現象と並行してコミュニティの幼児化現象が進行する。海釣り道場はどちらかといえばアダルトを読者層に想定している。本当は子供向けに「ジュニア版海釣り道場」を立ち上げれば、このような問題は解決するはずなので「flashで分かりやすい子供向け動画を作って説明したらどうかな?」などと以前は考えていたが、個人が趣味でさばける動画コンテンツの量ではないので辞めた。

さて本題に戻って、釣りをやる以上誰でも「もっとたくさん!もっと大物を!」と願わないわけがない。海釣り道場へのアクセスが絶えないのもそんな想いからのはず。どんな世界でも初心者というのは面白い疑問の持ち方をするものだ。例えば「もっとハリスを細くしたら釣れるのでしょうか?」う〜ん、細くして釣れたら苦労はしないのだけれど。釣れない理由は山ほどあり、それも複合的に絡み合っているので簡単に返事は答えられない。良心的に返事をしようとすると、それだけで原稿用紙に軽く10枚以上の量になるはず。もっとも道場にはたくさんのコンテンツがあり、それぞれに図解入りで詳しく解説している。まずそれを読んで欲しいというと、初心者に不親切な管理人ということになる。どうも少子化世代の人達は、物の考え方が単純・自己本位で直線的だ。

インターネットというのは恐ろしく便利である。かって数千冊の本と書類の山で埋もれていた我が仕事部屋は、阪神大震災で多くを処分した所為もあいまって、いまや信じられないほど閑散としている。PC1台は万冊の情報誌に勝る。ネイティブスピーカーなら世界から知識と情報を瞬時に得ることができる。しかしGOOGLEで検索を繰り返せば、釣りをマスターできるかというと、そんな甘いものではない。例え話をしてみよう。仮にあなたが「大潮がよく釣れる」ということを知人に聞いたとしよう。「大潮」という言葉をGOOGLEで検索してみて欲しい。クリックの瞬間、43000件あまりがヒットする。そこで適当なサイトを拾い読みしていくと「大潮」という言葉の定義を知ることはできる。だが、そんなことをいくら繰り返しても、あなたは大潮の時合いを体感することはできないだろうし、気圧の低下と潮高を見計らって危険を回避するという知恵も身に付かない。知識は無料サイトで知ることはできる。身銭を切って買った本ならば学ぶこともできる。しかし本当の知恵は体験と実践からしか生まれない。これは釣りに限らない。情報は選択肢を増やすが、選択の質を上げることには働かないからだ。

2チャンネルなどを散見すると、引用が多いことに驚く。○○のサイトではこう書いてある。あぁ書いてある。○×▲!以後2チャン用語の羅列が続く。苦労して情報を発信する制作者の苦労に敬意を払うどころか、便利屋扱い、記述をちょっと間違えたりしたら糞扱いである。嗚呼、口だけ達者な市民評論家達が将来の日本を背負っていくのだろうか。無為徒食の筆者ですら憂う。上昇志向の釣り人予備軍の皆さんは、サイトで覚えたようなことは単なるアドバイス程度と考え、あくまでも貴重な時間と身銭を費やし、釣りというものにのめり込んで欲しい。釣りという悪魔の趣味は決して皆さんを裏切らない。釣りはしょぼいインターネットの世界で語られるほど、底の浅い遊びではないからね。

だらだらと口っぽいことを並び立てたのは、実は訳がある。海釣り道場をそろそろ根元的に変えようかと思っているからである。従来はhtmlの勉強も兼ねてコンテンツを作ってきたし、いつしか増えた常連さんの溜まり場としてコミュニティな部分も強化してきた。が技術的な未熟さに加えて、運営面で色々なことがあったりして、現在は中途半端でお茶を濁している。しかし更新頻度こそ最低だけれど、秘かに仕事の傍ら「インターネット成熟時代の釣りサイトはどうあるべきか(アァ恥ずかしい…)。個人サイトでどこまでやれるか(モォ限界やで…)」をテーマに色々アイデアを考えたり、技術的なことを勉強している。決してモチベーションが下がったわけではない。特に考えているのは、全国の釣り人達をつないでいくような仕組みだ。趣味・価値観を共有する大人の釣り人達の出会い・交歓の場になればと思っている。利用者をセグメントしたいため、掲示板のような単純なものを寄せ集めても実現は無理だ。そこらへんの技術的な壁を悩んでいたが、スキルが少しアップしたので、見た目だけでなく運営面を強力にパワーアップできるかもしれない。

道場の常連さんにも色々なタイプの人が居る。しかし総じて云えるのは真面目かつ真剣な人が多い。たかが遊び、されど遊びな人達なのだ。この手の人達は単なる釣り馬鹿ではなく、話題も豊富、人間も奥行きがある。このような人達にこそ、気軽に参加できる場を提供したい。PCの電源を入れさえすれば、即集まってこれるような場があれば、辛い人生少しは楽しくなるかも知れない。が残念ながら、いまの海釣り道場でクローズドな場を形成するのは少し難しい。

古い常連さんならばご存じかもしれないが、以前「海釣り共和国」という海釣り専門のポータルサイトを計画したことがあった。悲しいかな技術力不足で頓挫してしまった。が学習に限界なし、新しい技やアイデアも少しずつストックしている。期限を切ることはできないが、まだどこにもないようなコミュニティサイト「海釣り共和国」を構築させて見たいと考えている。その折りはTEAM1000をぐわんと復活させるつもりだ。もっとも、それまでに歳と過労と肥満で変死するかも…。