笑魚のB級コラム

B級コラム

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ちゃりこが往く

現在、道場の日々の管理はわが相方のちゃりこがやってくれている。いわゆる管理人である。けっこうメールが来たり、日々の更新作業、掲示板へのレスなど、下手なアパートの管理人よりは忙しいようだ。こうなってくると、ちゃりこの釣りのことなども、もう少し皆さんに知っていただいた方が、よいかもしれない。下手な男より、釣りは上手いと思うが・・・今日はそんなちゃりこのエピソードを語ってみよう。

おとこもすなるいそづりを…

ちゃりこが笑魚に付きあって、渡船で磯に渡り始めた頃の話。ある年の春、和歌山は中紀のT町へ遠征した。始めての釣場だったが、田辺よりは北寄りなので、神戸からはまだ近い。大物場ではないが浅場が拡がる釣場なので、フカセの練習にいいという。情報を小耳に挟んで、二人して未明に出かけたが道を間違い、タッチの差で一番船に乗り遅れてしまった。

「あぁ〜お前が地図をしっかり見んからや〜〜」
「あのね、なんでも人のせいにしたらあかんよ〜」
といいつつ、渡船の帰りを待っていたら、船頭が沖から帰ってきた。
「もう、満員で上がるとこないで〜」
ここは磯が少ないので、収容人数も限られているのだ。
「遠い遠い神戸から来たんや〜そこをなんとか!」
ひとしきり船頭は考えていたが・・・
「しゃぁない〜○○へでも行こか〜」

嫌な予感がしたが、船を出してくれるというので、荷物を慌てて積み込み出発。が、船は港を出ると、めざす方向とは逆へ進んでいく。地方よりのパッとしない所へ向かって行くではないか。ポツンと馬の背(鞍のような形状の磯=足場がとても悪い)が見えてきた。

「ここで辛抱してくれ〜」
「げろ!えぐいとこやな!」

まぁ、狭い磯である。床面積1.0m2という所か。普通なら一人専用だが、夫婦連れなので無理矢理上げたようだ。馬の背なので足場が狭く、荷物を置くのも一苦労である。ずるずるとスパイクが滑る。へっぴり腰で荷物を動かしていたら、女の癖に高場が平気というちゃりこは、さっさと自分の仕掛けを作っている。

「君ねぇ〜ちょっと手伝おうという気にはならんか?」
「 おろかものめ、戦いは始まっている!」
「おまえ、誰と戦うつもりなんや・・・」

その日は天気がよかった。浅場なので海の中までピーカンである。海中を透かしてみるとチョウチョウウオやキンギョが、うろちょろコマセを拾っている。

「これはあかんで〜、えらい所に上げられたなぁ」

じっくりポイントを調べてみることにした。馬の背と並行に、少し深めの溝が南北に走っている。潮も南北に流れているので、狙うとしたらこの溝の陰か。根かかり覚悟で仕掛けを溝に入れて流してみた。そのまましばらく釣り続けていると、かなり潮下のポイントで、黒い影が溝から飛び出してきた。

「ほほほ、出てきよったな♪」

グレがこませについたようだ。固定完全フカセで、浅くウキ下を再調整する。と、くぃ〜んというグレ特有の小気味よい引き。30cmには満たないが、なんとかキープサイズのグレが続けて喰ってくる。

「うぶやね〜君たち♪神戸の釣り師をなめたらあかんよ♪」
が、ウキ釣りの天分に大きく欠けるちゃりこは、ここの魚たちになめられたらしい。まったくウキにアタリがでない。
「場所変わろうか〜ポイント、ウキ下は、かくかくしかじか」

場所を変わっても、相変わらずちゃりこにはアタリはでない。大体釣ることよりも、釣り具のファッション性を気にするような釣り師だから、時合いを釣るというセンスに欠ける。こっちは新しいポイントを探して、再び入れ食いショーの始まりである。だんだんサイズもよくなってくる。浅いウキ下だから、綺麗にウキが入る。足場の悪さを除けば、なかなかの釣場である。「船頭さんいい人ね〜ありがとう♪」釣り人は現金である。

が、潮も変わっていないのにいきなりアタリが止まった。
「ぬっ!????」
状況の変化が掴めぬまま、海面を睨んでいると
「ぎゃおぅ!おぉまいがぁ!」
青白い大きな流線型が二つ、徘徊しているではないか!
「鮫やんか〜、あかん〜〜(T_T)」
「どこ♪どこ♪?」
「喜んでどうするんじゃ!」

鮫が出てきたら、もう釣りにならない。楽しかったその日の釣りも終わりである。どのみち昼までの釣りだから、残りの時間をつぶすだけである。普段なら寝るのだが、一人でもいっぱいの馬の背だから、とても横になる所はない〜と思いきや…

「すごいおなごじゃ・・・・」

なんと、目を離した隙にちゃりこがV形に尖った岩の上で、寝ているではないか。幅30cmはないはず。15度寝返りを打ったら、確実に落水である。おまけに瞬間爆睡モードである。これだけでも充分磯釣り師の資格あり! これ以来磯の上では、ちゃりこを馬鹿にするのをやめた。核戦争後の地球でも生き残れる希有な人種と確信したからである(^◇^;)