笑魚のB級コラム

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ときめきの釣り道具考

釣りサイトをやっていると、メール・掲示板・チャットなどで、釣り道具への関心が高いことに驚かさされる。魚との接点は当然釣り道具になるわけだから、当たり前と言えば当たり前だが、1年間色々聞いたり意見交換していると面白いことに気が付いた。今日は、このことを取り上げてみてみよう。

釣り人は道具に関心は高いが、意外にこだわらない?

海釣り道場はどちらかといえば、初心者の方が多いサイトだから、まぁ当然の結果かも知れない。これが、キャリアが豊富で釣りの見識があり、道具に対して一家言あるような人達が多く集まるようなサイトだと、また話も変わると思う。つまり道具に関心は高いが、こだわりが薄いのである。関心とこだわりは違う。関心は好奇心でありニーズであるが、こだわりは自らの哲学である。当然釣りを初めてキャリアが少なければ、哲学がまだ生まれるすべもないが、それにしてもごく一部の人を除いてこだわらないことに驚いた。発展途上だからそれが当たり前といえば当たり前だが…。むしろエサ釣りの釣り師より横文字アングラーの方がテンションが高いようだ。僕が知っている若いルアーマンでも結構、こだわりをもっている人間は多く「僕は1年中、ポッパーです。あの瞬間がたまりません」とか、「ソフトルアーはやりません。僕はミノー一本です」「4ポンドオンリーで勝負しています。これが僕のこだわりです」「スプーンが面白いんですよ。最近は自分で作っています」などなど、この手の話にネタは困らない。

波止で目にする釣り道具達

僕自身は本来磯釣りがジャンルだが、年齢的なこともあって手軽な波止釣りも嫌いではない。一時は毎日のように通ったこともある。よく行く波止で周りを観察してみると、やはり道具は安い輸入品が主体だが、見るからにベテランという人はそれなりに、よく使い込まれた道具をもっている。ときどきバランスの取れた道具立てを手にして、声を掛けてくる釣り人とは、思わず話が弾むことがある。印象に残っている釣り人釣り道具をちょっと紹介してみよう。一昨年の秋出会ったカワハギを狙っていた初老の紳士は、4mほどのかなり先調子の竿にチヌ用の小型筏リールをセットした胴付き仕掛けだった。遊動ガイドだったので、細身の磯竿を転用したのだろうが、見るからにピシッとした調子に、対象魚に合わせた竿選びのセンスを見たね。リールを上手く操って仕掛を流れに入れていた。駆け出しだとなかなかあの風情は発散できないと思う。

4年ほど前に声を掛けてきた若いルアーマンは、なかなかお洒落だった。トーナメンターのようなベストを着込んでいるけど、ちっとも嫌みじゃなくてよく似合っている。8ftのシーバスロッドにライトラインを巻いたダイワだったけど、竿が見るからにいい感じの竿だった。コルクハンドルでガイドが小さく細身だ。ライトミディアムぐらいのアクションだろうけどチップが細かったから、ソフトルアーをよく使うのかも知れない。もっていた磯玉網が高級品だったから、道具道楽なのだろう。玉網まで金を普通は掛けないからね。ちょっと意見交換をした後、並んで釣ったが、ちゃんと魚の居るところへ投げていたのが印象的。

少年と話をする…

甥っ子が釣りに凝っている。若い頭脳の吸収力には驚くばかりだ。次から次からブランド、品番、スペックが出てくる。感心すると同時に情報社会なんだなぁと思う。自分が若い頃はいまほどモノも情報もない時代だったから、わずかな専門誌(釣りではないが)を穴が開くほど何回も読み返したり、大都会にしかない専門店までかよったものだ。舶来のピカピカが並べられているショーウィンドの前で、時間を忘れて立ちつくしていたのが想い出…。道場にも少年がやってくる。自分から見ると孫に近いかも知れない(笑) やはり甥っ子と同じように専門用語を乱発する。ただ話を聞いていると?に思うときもある。僕らの世代は基本的に貧しく精神が飢えているから、信仰から始まって検証、信者になるプロセスだったが、若い世代はドライなマーケティング世代だと思う。

僕は広告が絡むような仕事も多くしたので分かるが、こういうターゲットははめやすい。メーカーの開発陣もどんどん新しい世代に変わってきている。コンセプトメーカーが少なくなって、マーケットデザイナーばかり増えてきているから、もう日本のメーカーは外国に勝てないだろうと思ってしまう。時代遅れのアンバサダーは10年先でもあのスタイルで頑張っていると思うが、SやDの道具は将来、必ず中国製に取って代わっていられるだろうと思う。

面白いキーボードを知る

話題は変わるが先日面白いキーボードを発見した。僕のパソコン歴は結構長いがその殆どはマックだ。初期のマックはパソコン界のポルシェと呼ばれていたぐらいで、価格も高かったがスペックがいわゆるAT互換機を圧倒していた。国民機98(懐かしい〜)が512Kのメモリーしか実装していない時代に、100Mメモリーを積んで喜んでいた(メモリーバンクが8基!)。付属のキーボードやマウスなどハードの品質、デザインも素晴らしかった。残念ながらPCの価格競争が始まって以来、品質はDOSV並に低下、もうあの胸をときめかせるアドバンテージは薄れてしまった。

ということで、いまはWindows2000が常用OSだ。しかし僕はマックのASCI準拠キーボードでタイピングを覚えたから、どうもJISキーボードとは相性が悪い。だからPCを入れ替えるたびに気分転換も兼ねて、キーボートとマウスは好みのモノと交換している。初期の素晴らしいタッチをもつ英文レイアウトのマックキーボードを使っていたから、コスト980円のおもちゃキーボードは使う気になれない。いまはFILCOのメカニカルを使っているが、ちょっと気に入らないところもある。

そこで先日ネットで物色していたところ、生産中止になったIBMの純正がマニアの間で超人気だという。コピーライター御用達として一番人気らしい。しかしマニアだからうるさい〜比較的入手しやすいメキシコ製はダメだという。199×年製のイギリス製でないとダメらしい。もちろん生産中止になっているから、入手できないはずなのだが、どんなルートなのからか、たまに日本に入ってくる。マニア垂涎即日完売という奴だ。僕は写真だけを見たが驚いた。まぁ鉄のかたまりだわ。無骨だがキーのレイアウトがいい。CTLとCAP、ESCの位置が違うので僕には使いよい。タイプを毎日打っている僕には欲しいグッズの一つだ。

そういえば、昔初めて買ったマックのマウスが古くなって、引き出しに入れておいたところ(この頃はマウスは高価で別売りだった)〜パソコンの師匠が欲しそうに見ているので「持って帰れば…」と言って進呈したことがある。その後、ある日覗いた専門店のショーケースで、同型番の中古マウスが売られているではないか。限定35000円也〜マニア垂涎のプレミアムグッズだったのだ。知らなかったので損しちゃった(笑) これも後で知ったのだが、家人の使っていたキーボードも高価なプレミアムが付いていたらしい。そんなことはつゆ知らず業者に500円で下取りされた(笑)

釣り具業界はダメに…

いまの釣り具業界を見ていると、考えさせられることが多い。あまりにもマーケティングが先行しすぎているように見える。もちろん中国や東南アジアの攻勢にさらされているから、メーカーも必死なのだろうが、これは日本が欧米に対して同じことをやって来たことだから、仕方がない。問題はメーカーが市場至上主義で、売れるモノなら何でも作る、他社がやるならうちも…、品揃えが全て、取引先慣行優先といったところが原因だと思う。その結果がリョービ、マミヤの破綻だと思う。リョービが例え小規模でも、持ち前の精密加工技術を生かしてオリジナリティの高い高品質なリールだけを造り続けていたら、あぁはならなかっただろう。オリムピックも同じこと、ゴルフに手を出したのが元々の破綻の始まりだが、日本に沖釣りを普及させたのはあの会社の功労だと思う。自分の得意な分野でじっくり勝負しておけば…と思うのは、僕だけでないだろう。

従来の日本では組織が成長することが、金科玉条のように受け止められていた。これからは違う。メーカーはあくまでも、自らの作るモノを世に問うという姿勢がなければ…。ふくれあがるラインナップの中で、商品同志が自社競合しているのを見ると笑ってしまう。これでは中国のメーカーに勝てないだろう。ゴルフクラブがいい例だ。革新的なコンセプトは全てアメリカから生まれている。彼らはマーケットを切り開くリーダーだと自負しているし、確かに生まれてくるモノものには「はぁ〜」と感心させられるアイデア・思想がある。1個10万円のリールに客の名前を刻んで完売しました!とお茶を濁しているメーカーの姿には、ちょっと情けないモノがある。

安物は外国に任せ、これからは高級品でという安直な姿勢にも反発を覚える。国民性と言えばそれまでだが、王道を歩くメーカーのあるべき姿ではないと思うのは、僕のうがった見方だろうか。幸い釣りは風土と流通がものをいうジャンルだから、長い竿を振り回すノウハウが求められる市場には外国企業の参入は容易でないだろうが、いまのアジア企業のやる気を見ていると、遠からず我が釣り業界が空洞化するのは避けられないだろう。

情報の氾濫が、モノを見る目作る目をダメに…

いまはモノも情報もあふれているから、何かが欲しいから頑張るという時代ではなくなってきている。流通も合理化されつつあるし、ボーダーレス化と自由競争で、賢い買い物ができる時代だ。要は選択するだけだ。それなのに買い物が昔より便利になった、楽しくなったという実感は少しも湧かない…。釣り具もうっとおしいオヤジが、暗い売場の奥から睨み付けてくる時代から、明るく綺麗大量安価に並べられるチェーン店の時代になった。こんな時代にオヤジの趣味、こだわりを品揃えに並べることは難しい。数字が全てだからだ。自社の販売成績どころか他社の販売状況まで、手に取れば分かる時代だから、北海道から鹿児島まで、金太郎飴式に釣具屋が立ち並ぶ。書籍、ビデオ、ネットで名人のノウハウはいつでも手に入る。実践できるかは別にしても、講釈なら1年もやれば釣具屋の店員に負けないようになっている。これはこれで釣りの大衆化という面では、好ましいことかも知れない。

昔は名人とよばれるような存在になれば、近寄り難いことはもちろん、教えを請うのにも気を使ったモノだ。だから釣りにも求道的な心構えが見られたような気がする。自分で工夫する、考える、ないものは作る、技は盗むなど…。釣り界がコンビニ化して行くにつれ、釣り人もコンビニ化しているらしい。これはこれで否定しない…これだからこそ今日のファミリーフィッシングの隆盛があると思う。家族連れが竿を振っている姿は、やはりほほえましく気持ちがいい。

メーカーを育てるのは大衆だ

釣り具業界にとって幸いなのは、シビアな性能競争がないことだ。つまりパソコンでもカメラでも車でもいいが、これらは過酷としか云いようのない競争にさらされている。比較検討するのが簡単だから生存競争が激しい。その点釣り道具の善し悪しなど、どうしても感性が主体になるし、釣れなかったのを腕前を棚に上げて、道具が悪かったという人は少ない。高速のパソコンは恩恵が即座に反映されるが、高級な竿を買ったから釣果が増えたという話はいまだ聞いたことがない。

要は売っている方も買っている方もよく分からないのだ。だから「高いからいいだろう」という選択や、「初心者だから安物でいい」「高いモノは大事にする」などわけのわからんアドバイスがまかり通る羽目になる。また経験が少ないから、あふれかえる情報を鵜呑みに、善し悪しもわからないまま使っている人も多いだろう。メーカーもあの手この手で売り込むため、毎年春にはうんざりするほど新製品が溢れかえる。そんなに素晴らしい謳い文句なら、毎年モデルチェンジを繰り返す必要はないと思うが…。去年買った高価な竿が何割も割引して売っているのを見て、悲しい思いをする釣り人は多いと思うのだけれども(笑) 

メーカーは売るためには何でもするから、新機構新素材が好きだ。しかしわぁわぁ云う割には大したものは作っていない。微々たる進歩を売上に換えなくてはいけないから、担当者は大変だろう。だから大衆つまり我々釣り人は、モノを見る目を養わなくてはダメだ。メーカーの戦術に乗ってはいけない。飛びつく前によく考えよう。消費者のシビアな選択がよいメーカーを育てるのだから…。つまらない道具を売り続けるメーカーには、必ずつまらない道具を買い続けているユーザーがいると云うことだから。次の時代が見えないメーカーのために、ノーを云おう。

釣り道具私感

釣り道具は他の遊びの道具とは、随分異なる。例えばテニスのラケットやゴルフと比べたらわかると思う。ギアなら性能の差が直接勝敗の差につながることがあるからだ。しかし竿やリールというどちらかといえば、嗜好品に近い道具ではそういう結果にはならない。だから釣り道具は工具に似ているかも知れない。自分が追い込みたいシチュエーションを作るとでも云ったらいいのだろうか。だからスペックは必ずしも重要ではない。ベアリングの数で掛けているコストは分かるが、使い勝手がいいとは限らないのだ。どうも日本のメーカーはアイデアが貧困だから、行き着くところまで行くと、最後は緻密さや仕上げ、高級素材新素材導入というところへ目がいくらしい。

落とし込みで一番人気のある太鼓リールは、もっとも原始的というところが、メーカーのハイテク化と対照的で面白いね。僕が釣りに初めてのめり込んだ若い時から比較して、釣り具は大きく変わったような感じはない。確かに軽くなったり糸が強くなったりしたかもしれない。しかし江戸時代の釣りから、劇的に進化したとは云えないのではないか。車やパソコンの発展と比較にならないからね。だからスペックを比較するなど、ナンセンスの極みだと思う。自分が一目で惚れたものを買って欲しい。愛着仕様というのは思いこみとこだわり…ときめく心をいつまでも忘れないで欲しい。