笑魚のB級コラム

B級コラム

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TOY STORY

釣りというのは大金のかかる遊びではありませんが、道具に凝りだしたりするとそれなりに出費を強いられます。ですから笑魚のような貧乏人は家人の渋い顔色を気にしつつ、こそこそ買い物をするはめになります。いつでもベストな選択ができればいいのですが、予算の制約が厳しいため買い物基準はコストバリュー、いかにいいものを安く買えるかにつきます。当然特価品が並んだりすると、瞬間的に高速スキャンする技も持ち合わせています。笑魚のように物のない時代に育った人間のDNAに染みついた悲しい性です。しかし昔の人はいいことをいいました「安物買いの○○」とか「あわてる○○は…」とか〜。価格に釣られたり、衝動買いをした物ほど、出番が少なくお蔵入りになっています。さすがに苦い経験を積んでくると賢くなってきますが…。今日はそんな不憫なギア達へのレクイエムを少しばかりご披露しましょう。けっこう読者の皆さんの道具箱にもあるようなお話です(^^;)

某社製超軽量「玉網の柄」

玉網については、本サイトでも独立した章を取り上げているくらいこだわりがあります。自分ですくってこそ釣り上げた値打ちがあるという思いこみがありますから、操作性のよい玉網=竿やリールより高級品が必要だというのが笑魚の持論です。

というわけで、SHIMANO製の4本継ぎの高級品とチタン枠を愛用し、磯へ波止へと釣りに出かけていました。実際素晴らしい性能でしたが価格が高いのが難点です。しかし四年前のある日、餌屋で車上ドロに盗難に遭ってしまいました。がっくりしましたが、高い物ですからそう簡単に再購入できません。ちょうどその週、三重県尾鷲でS社主催のグレ釣りトーナメントの予選会に出場する予定がありました。予備の玉網はありますが、肝心の柄がありません。小遣いは少ないのですが仕方なく釣具屋に行きました。これはと思う物はやはりそこそこの値が付いています。仕方ないかと出費を覚悟した目に、ポップの文字が飛び込んできました。
「○○社新製品、この価格で驚異の軽さ!」
早速箱を開け手に取ると確かに軽いのです。1万円ちょっとという値段の安さと先端のぶれ加減が気になりましたが、価格の割に塗装がよく振り出しもスムーズです。若干不安を感じつつもそのままレジに直行しました。

さて当日磯に立つとそこそこグレが釣れるのですが、予選を通過するだけの重量は稼げそうにありません。そのうち良型のサバの群がオキアミに居着いてしまいました。キズシにして喰ってやろうと釣ってはみるものの、型がいいので抜き上げられません。例の玉網の出番です。ところがこれがまるでダメ!玉網を取り付けると、店頭でテストしたようには、すっと思ったところへ玉網が届いてくれません。やっと届いても、今度は海水の抵抗やサバ程度の重みでも柄がしなってしまいます。すくうのにてこずるは〜すくっても柄を畳むのにてこずるはで、さんざんでした。その日は低い磯でしたので、余計柄がしなったようです。

「もういや〜」
超軽量は超軟調でもありました。やはり相場を遙かに下回る価格の品物には気をつけた方がいいようです。その後、6mのリョービ製品を購入、まぁ大きな不満もなく現在に至っています。問題の品は、一応ちゃりこ用の予備タモということになっていますが、出番はいまだ少なし…

いまはなきマミヤOP製「尾長グレ専用」

昔深夜に11PMという連日番組がありました。金曜日は大橋巨泉さんが解説する「11フィッシング」というのがあって、ちょうど高度成長にともなって釣りブームが起きた頃ですから、高視聴率を上げていたようです。このスポンサーが当時ナンバー1メーカーだったオリンピックといえば、私と同世代の釣り人ならば、ふんふんと頷かれるのに違いありません。

その後オリンピックはゴルフ分野に手を出し経営が悪化、マミヤに吸収される羽目になりますが、私のようなオジンには懐かしい名前なのです。というわけで、家にはOP製の竿がたくさんあります。なかでもアラミカという素材を使った竿は、ロートルク先調子で魚をじわっと浮かせてくれる優れものです。SIMANOをレギュラーにするまでは、チヌ用の0.6号からグレ用の1.5号まで3本揃え愛用していました(中でも白色塗装された1.5号はちゃりこ一番お気に入りで、数年前に貸したままいまだに返してくれません。もう旧い製品ですがウェルバランスのとてもいい竿です)。そんなある日のこと、いつもの店をのぞくと、なんと尾長専用というのが7割引で売っています。スペックを見ると、確かに近場のグレ釣りに使う代物ではありません。竿の号数でいうと2号ぐらいでしょうが、手持ちのダイワの2号よりかなり強そうです。まぁ安いし好きなアラミカだから遠征用に買っておこうかと、あまり考慮もせずにこれもレジに直行。

その頃、日本海にマダイ釣りによく出かけていました。竿の強さがちょうど大型マダイにいいので、早速釣り場で使ってみましたが、使い勝手がよくありません。重量の割に持ち重りがします。竿のバランスが悪い証拠です。強い割に反発力がありません。レギュラーで使っていたSHIMANOに比べると胴のぶれが大きく、ウキの操作感もどんくさくてピンとこないのです。この竿もそのまま出番がなくなりました。第一太ハリスをかけるようなシチュエーションが釣り荒れた関西ではそうありません。理屈よりもバーゲン価格に釣られてしまうおばさん達と同じです(^^;)

一年に一度だけ出番があります。太刀魚釣りです。玉網を使わず引き抜きますからこのぐらいの強さが必要です。他に使える竿もありますが、家人の冷たい顔の手前、たまには使ってやろうとほこりを払うのです。

某メーカー製「落とし込み用中通しチヌ竿」

一時メバルの夜釣りにはまり、連日のように通いました。同じ釣り場に通うと、その釣り場のポイントや時合いに精通してきますからよく釣れます。となってくると、よりその釣りに見合った道具が欲しくなってくるものです。そこで軟調ハエ竿を改造したメバル専用竿を作ろうと、当時親しくしていた店員のいる釣具店まで出かけました。その店員はカスタムメイドに詳しいので、こちらの意図をすぐ汲み取り「ふむふむ」とメモを取ってくれます。商談が終わり帰ろうとふと売場を見渡すと、某メーカーの落とし込み用中通し竿が目に付きました。夜釣りをする方ならお分かりでしょうが、軽い仕掛けだと穂先へ糸が絡み難儀することがあります。中通しならそんなトラブルは皆無です。

ちょうど実用できる中通しの磯竿が初めて市販された頃でしたから、中通しには興味があります。その竿はウキ止めが通らないいわゆる庄内竿のタイプでしたから、ウキを使うのならばウキ下を3ヒロ以上取れません。持ってみると案配のいい長さですし、非常に軽量です。リールシートも軽量チタン製で高級です。先調子でしゃんとしたはりがあり、好みのタイプです。

「ええやん、さっきのオーダー、キャンセルしてこれにする!」
「その竿、ウキ止めとおらへんで〜」
「夜釣りから、固定の浅いタナでええ、探り釣りにも便利やんか」
「好みやから反対せえへんけど、よぉ折れるちゅう評判やで」
「そらぁ腕が悪いんや、穂先ならともかく波止で竿が折られるようなこと滅多にあるかいな〜、ほほほ」
「………(聞き分けのない子供と一緒や)」

作ろうとしていた竿とは、まったくコンセプトの違う竿ですが一目惚れですから仕方がありません。バーゲン価格ではありませんでしたが、まずは支払いを済ませ、るんるんと鼻歌で帰宅しました。

さて使ってみると問題続出です。中通しですから竿の内部に糸を通さなくてはいけないのですが、竿が細いためワイヤーは通りません。仕方ないので糸をダイレクトに入れるのですが、ナイロンだと腰が弱く中途でつかえてしまいます。太めのフロロのハリスをリーダーにすると通るのですが、今度は道糸と結んだ瘤が引っかかってうまくいきません。時間をかけ数ミリずつ通して行くしかありませんから、もう大仕事です。道糸ハリス通しで使うものと気が付いたのは後日でした。現在の磯用中通し竿は問題なく糸が出てくれますが、この竿は細身の上内部に超撥水加工など施していませんから、仕掛けが飛びません。落とし込み竿のように糸は必要な分たぐって引き出さなくてはいけません。自在にウキを操作できるような竿ではなく、やはり足下をピンポイントで攻める竿でした。これは決してメーカーの責任ではなく、あえて逆らった使い方をした笑魚が間違っていたのです。

しかしそれでも一目惚れの竿ですから、道糸の長さが自在に変えられるノベ竿じゃと無理矢理納得して使い続け、それなりの釣果も上げていました。糸の出の悪さはロッド内部へのシリコンスプレー噴霧や、フロロ系の撥水加工した細い道糸に交換し、やや改良していました。

十数回も使った頃でしょうか、ある晩のことです。夜も更け始めた頃、メバル狙いのエビまきにセイゴが来ました。渋いアタリをそっとあわすとかなりの重量感、いったんは鼻先をこちらに向け浮いてきましたが、いきなり反転して沖へ向かいます。引きの強さから判断すると70cmオーバーは間違いありません。竿は満月です。どんどん沖に向かいますが、糸をゆるめない方がばらさず早く取り込めるので、そのままぐっと竿をタメていると、いきなり頭上でパァンというような大きな衝撃音!!

「ひぇ〜、なんじゃい!?」
例の店員の予言とおり、竿は見事に真っ二つになっていました…

◆ ◆ ◆

まだまだこの手の話はありますし、ウキや小物に至っては書き切れません。あまり書くと家人にますます冷たい顔をされますから、今日はここらへんでお終い。